「日本の下水道管」を劣化させている6つの要素 埼玉県八潮の事故はまったく他人事ではない
東洋経済オンライン / 2025年2月4日 8時0分
埼玉八潮市で道路が突然陥没する事故が発生してから約1週間。いまだに陥没した穴に転落したトラックの運転手の救出活動が続いている一方で、周辺地域では節水が呼び掛けられる事態となっている。
穴の大きさは1月30日未明までに最大幅40メートル、深さ15メートルにまで拡大。陥没の原因は地下10メートルに埋設されていた下水道管の破損と考えられている。この下水道管は1983年に敷設されたもので、鉄筋コンクリート製の直径4.75メートルの管。耐用年数は約50年とされているが、すでに42年が経過しており、老朽化が懸念されていた。
2022年度には2600件の道路陥没
国土交通省によると、 2022年度末時点で全国の下水道管の総延長は約49万キロメートルに達する。そのうち、法定耐用年数(50年)を超えた管は約3万キロメートル(総延長の約7%)であった。しかし、この数字は10年後には約9万キロメートル(約19%)、20年後には約20万キロメートル(約40%)に増えると予測されている。
すでに、2022年度には全国で2600件の道路陥没事故が発生している。現在のところ、小規模なものがほとんどで、100センチ以上のものは2%にとどまる。しかし、今後下水道管の老朽化が進むと、今回のような大規模な陥没事故が頻発するリスクが高まると考えられる。
下水道管の大きさは、直径25センチから8.5メートルに及ぶ。上水道管は常時水に満たされているが、下水道管は大雨の時以外は空洞部分が大きい。つまり、地下に巨大な空間が広がっているのである。そこが一度破損すると、周囲の土砂が一気に引き込まれ、地面が崩れ落ちてしまう。放置するのは極めて危険だ。
今回の事故に伴い、埼玉県は、広範囲に節水を呼びかけ、120万人に影響が出ている。これは今回の事故が流域下水道で発生したためだ。下水処理を目的とした下水道には、1つの市町村で行う公共下水道と、2つ以上の市町村がまとまって行う流域下水道の2つの方式がある。
流域下水道は、処理施設を集約することで人件費や運転経費などを節約できることに加え、処理場の数を減らし効率的な施設配置を行うことで、必要な用地面積を節約できるというメリットがある。また、広域的な処理区域を持つため、下水の量や質が均一化され安定した処理が可能になる。
一方で、広域をカバーする施設は規模が大きい分、今回のように故障や災害時の影響範囲も広くなる。バックアップ体制が不十分な場合、周辺地域全体に長期間にわたって影響が及ぶ。
下水道が使えないと生活にどんな影響がある?
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