フジ「10時間超え」会見に他社が学べる唯一のこと 怒りや反発を焼き尽くす「焦土作戦」は功を奏した?
東洋経済オンライン / 2025年2月4日 16時30分
会見冒頭で「1人2問まで」というルールが司会者からなされましたが、これだけの人数が集まった以上は理に適っていると思います。しかし実際には、1人でえんえんと自説を主張する人、ほとんど同じような質問をする人、禁止された当該女性のプライバシーに直結する質問をする人が目立ちました。
私は別のテレビ局で、会見を見つつ解説するという仕事をしていましたが、私が一番関心のあった事業継続の要である「利益問題」。CMの差し替えによる利益損失やこの先の収益対策、株主対策についてはほとんど触れられていないようでした。
会見に先立って、嘉納会長と港社長が退任することが発表されましたが、想定の範囲であり、会見を通じて特別に新たな情報はなかったと思います。前回の港社長の会見を訂正するように日弁連ガイドラインに準拠した第三者委員会設立という説明があり、このことは進歩ではあるものの、かえって回答を拘束することにもなりました。
そしてこの会見は過酷でありつつも、フジテレビにとっては追い風となる変化もありました。
会見の進行とともにネットやSNSでは、質問者を批判する声もあがり始め、さらには「フジテレビ(経営陣)がかわいそう」というような擁護まで出始めたのです。
怒声でつるし上げる質問者に対し、平均年齢70代の経営陣は、10時間を超える会見に最後まで冷静さを失わず臨みました。こうした姿勢と会見の進行は、それまですべての疑念と批判を一身に集めていた流れを変えたと思います。フジの窮地をアシストしたのは、厳しい“つるし上げ質問”を認めたオープン会見という設定にあったのかもしれません。
怒りや反発を焼き尽くす「焦土作戦」
謝罪会見や釈明会見は、事態の鎮静化こそゴールとすべきだと思っています。世論は、「真実が何か」を求めているように見えて、実は「悪への懲罰を見たい」という心理が強く働いているのが謝罪の場です。
特に近年、謝罪会見がコンテンツの1つのように扱われるようになり、会見の場だけでなく、それを見ているテレビやネットの向こう側にいる視聴者が、そうした期待や関心をもって見るようになりました。
過去には時間制限をし、質疑応答を受けない、一方的にステートメント発表をしただけの会見もありました。ガードでガチガチに固めた対応は事態をさらに悪化させ、結局そのまま表舞台から消え去ることになった有名人もいます。
本来、会見において「時間無制限」「オープン」という形式は、主催社側のリスクになります。しかし今や、自分たちを守るために質問や時間の制限をすることは、その場はしのげてもその先の事業継続ができなくなるようなダメージをもたらすリスクがあるのです。
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