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「残念な記者質問」批判殺到の訳を数学的に解明 「品」ではなく「スキル」に注目しても稚拙だった

東洋経済オンライン / 2025年2月5日 11時0分

一方で、次のような質問であればどうでしょう。

「私は営業職で、ずっと顧客獲得に苦しんでいます。どうすればうまくいくのでしょうか。明日からすぐにできることをヒントとしていただきたいです」

このように質問していただけると、とても答えやすくなります。まずこの人物は営業職であること。そして顧客獲得に悩んでいるという背景があることが事前情報としてインプットできます。

この事前情報があることで、「どうすればうまくいくのでしょうか」という質問にようやく意味が生じます。そしてその後に「明日からすぐにできることをヒントとして……」と聞かれているので、具体的に何を返答してほしいのかが明確です。そして何より、「どうすればうまくいくのでしょうか」という質問の意図が明確になります。

この事例をモデル化して、答えやすい質問の型として示してみます。

①前提や背景を伝える

②質問を端的に伝える

③期待することを伝える

①から②の質問に意味づけができ、③により②の質問の意図が伝わります。このような型で質問をすることで、期待する返答が得られる可能性が上がります。さらに、わかりやすい質問ができると、質問相手が抱く印象もぐっと良くなります。

もしあなたが質問される側だった場合も、先ほどの型が活用できます。すなわち、要領を得ない質問や「質問」しかしていない質問をされた際には、「そのご質問の前提や背景を教えていただけますか?」「ご質問内容は○○ということでよろしいでしょうか?」「どのような意図でそのご質問をなさっているか教えていただけますか?」というように、確認をしてから回答するようにすれば良いのです。

これらの質問をする際に、「いただいた質問にしっかりお答えをしたいので」というエクスキューズを入れられれば完璧です。

実際、私もインタビューや質疑応答などで意味や意図のわからない質問をいただいた際は、私は必ず上記の3つを質問しながら確認するようにしています。裏を返せば、この3つがクリアにならない状態では質問に回答することはしません。なぜなら、相手の思惑や期待と違うことを返答して評価を下げるのは、シンプルに損だからです。

数学のように話せ

冒頭で話題にした会見はもちろん、企業研修や講演の質疑応答などの場で痛感するのは、「相手が答えられるように質問する」という発想の欠落です。「こんな質問の仕方では相手はどう答えたら良いかわからないだろうな」という想像力が絶望的に足りないのです。この絶望的という表現は、決して過剰表現ではありません。

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