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結局のところ「信長」は革命児だったのか、否か 時代により揺れ動く評価と家臣たちの不遇

東洋経済オンライン / 2025年2月7日 12時30分

だからパレートの法則を使って、あえて信長が滅んでいくような話にしたんですけど。合理的な判断が正しかったとしても、それで世間がついてくるわけではないというのはすごく思っていて。

信長のなかでそういう合理的な判断があったと仮定しましょう。それに対する戦いでもあったというのが通説だし、僕もそういう部分はあったと思います。なぜこれはこうじゃなくてはいけないのか、という疑問と反発ですよね。でも人間、そうは合理的になれない。

たとえば株取引の世界では、いまはAIとかディープラーニングが進んでいて、高速でAIが売り買いしているんですよ。でも、完璧とされるようなプログラミングがなされたセッティングがあったとしても、やっぱり株価の暴落はくるし、ヘッジファンドはその性質上インデックスファンドという平均値を上回ってくるはずなのにそうはならない。

なぜか? やっぱり基本的に人間は合理的ではないからでしょう。合理性を求められても、理屈のうえでは確かに正しいのだとしても、やっぱりどこかついていけない。だからAIをいくら株取引に持ち込んでも、最終的にはおそらくインデックスファンドという何の変哲もない時価総額加重平均に収斂(しゅうれん)していくでしょう。

そういう意味で、信長の悲しさ(?)というのはいつも感じます。

出世させるからもっと働け? まあ当然です。外資系企業などはみんなそうです。ただ外資の場合はどんどん入れ替えを行うけど、日本人のウェットな感覚にはいつまで経ってもなじまないだろうな、という印象はぬぐえませんね。

早島 垣根さん、さすがだなと思いますね。端的にいえば、信長は統一したルールで統治しようとした、ということなんですよ。道も同じ幅で統一させますし。

垣根 合理的ですからね、そっちのほうが。規格を統一したほうが、おさまりがいい。お金にしても単位にしても。

早島 それを、たぶん従来の戦国大名は徹底しなかったんでしょうね。

垣根 信長って、ある種の文明をつくりたかった人なのかもしれないですね。

精緻な「検地マニュアル」を残していた明智光秀

早島 僕も『明智光秀』に書いたのですが、当時は枡などの大きさもバラバラだったんですよ。そういう度量衡や道路の規格を統一しようとするのは、政策というより思想じゃないかと。

ところが一方で、ひとりの人間なのでやれることには限界があって、信長の場合は光秀や羽柴秀吉や柴田勝家などにやらせるんですよね。当然そこでムラが出てくる。ひとりの人間では細かいところはチェックできないですから、配下に命令する。

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