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海運のキーワード「内航船」とは一体なにか? 歴史ある「山形県酒田港」に見る地方港の復権

東洋経済オンライン / 2025年2月7日 17時0分

「新規航路・増便助成」といい、船社が1000万円/航路、海貨業者が780万円/航路を上限として、助成を受けられる。さらに、荷主に対しても、上限100万円の「モーダルシフト等促進助成」も設定された。

「物流の2024年問題」の中で、政府が推奨する地方港の変革の目玉として、内航船による海上輸送に光が当たっている。山形県と酒田市は、このチャンスをしっかり捉えようと積極的な動きを見せているのだ。

山形県港湾事務所によれば、日本海側のコンテナによる内航船(内航フィーダー)の航路が開設されてから、まだ7か月 ほどしか経っていないという。

なぜ「内航船」が注目されるのか?

日本における物流は、明治以降に鉄道輸送、さらに大正から昭和にかけては一般道路でのトラック物流が盛んとなり、さらに高度成長期になって高速道路の整備が進み、長距離トラック輸送が拡大し、今に至っている。

そうした中で、京浜エリアや阪神エリアなど、大規模な港がある太平洋側に比べ、物流の量が少ない日本海側の内航船は、事業性を確保しにくいため発展が大きく遅れていた。

そこに、就業時間に対する法的な制約、トラックドライバーのなり手不足、そして環境対策によるCO2排出量削減など、さまざまな要因が重なり、日本海側の内航船が注目され始めたというわけだ。

山形県港湾事務所によれば、鈴与海運とコスコシッピングラインズジャパンが連携する新航路(酒田~新潟~門司~博多)の活用に対して、問い合わせがあるという。

ただし、物流の2024年問題を機に「事業を拡大したい」と考える日本海側の港湾事業関係者も少なくないため、港同士の競争も激しくなってきている。

各地の声をまとめて聞こうと、物流全般に関する国内最大級展示会である、国際物流総合展(2024年9月10~13日)を取材したが、日本海側の地方港の港湾関係者、また太平洋側の主要港の港湾関係者と意見交換すると、船舶物流の現状に対してポジティブとネガティブの両面からの声があった。

ポジティブ面では、「2024年問題によって地方港に光があたる、またとないチャンス」という声が多い。一方で、「港の間での過剰な競争による(荷や航路の)奪い合いになっては意味がない」と、ネガティブな流れを危惧する意見もある。

そのうえで、国に「陸上輸送に比べて遅れているDX(デジタル・トランスフォーメーション)化を強化した、次世代に向けた具体的なロードマップの提示」を求める声が少なくなかった。

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