1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

海運のキーワード「内航船」とは一体なにか? 歴史ある「山形県酒田港」に見る地方港の復権

東洋経済オンライン / 2025年2月7日 17時0分

ただし、前述のように、内航船による船舶輸送のさらなる整備については、国が主導する総括的なプランをより強く打ち出すことが必要である。

新たな課題「洋上風力発電の基地港湾」

日本ではこれまで、モーダルシフトやMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)という言葉が、大きな社会変化を及ぼさないまま、先に走ってしまった感がある。

見方を変えれば、内航船など船舶物流においては、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の導入効果が大きいと言える。

そしてもうひとつ、酒田港には今、近未来に向けた大きな話題がある。洋上風力発電の「基地港湾」だ。

国土交通省は2024年4月、港湾法に基づいて「海洋再生可能エネルギー発電等設備拠点港湾(基地港湾)」に酒田港を指定した。

基地港湾では、洋上風力発電の建設のための船舶による部材の搬入・搬出、埠頭における部材の管理、部材組み立てを行う。その洋上風力発電に関わる事業者も決まった。

経済産業省と国土交通省は2024年12月24日、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律に基づき、 酒田港に近い山形県遊佐町(ゆざまち)沖の事業者、「山形遊佐洋上風力」を選定した。

丸紅、関西電力、英国BP Iota、東京瓦斯、丸高の5社で構成される事業者だ。事業計画によれば、発電設備出力は45.0万kW。これは1.5万kWの風車30基分に相当する。

採用する機器は、スペインのSiemens Gamesa Renewable Energy製で、運転開始予定期間は2030年6月を見込む。

洋上風力発電は全国各地で建設が進んでいるが、特に日本海側では秋田、能代、そして酒田・遊佐という南北に続くラインで、実用化見込まれるわけだ。

いま「古代~江戸末期」から5度目の大転換期へ

酒田市では、現在でも陸上の風力発電、太陽光発電、そしてバイオマス発電など、多様な再生可能エネルギーの供給基地が稼働している。ここに、大規模な洋上風力発電が加わるわけだから、酒田港を含む庄内地方にとって「古代~江戸末期」から数えて、5度目と言える大きな転換期を迎えるといえるだろう。

本間所長は、酒田市民について「港に直接、関わる人は少なくなったが、自分の町が港町であるという誇りがある」という。また、工藤副所長は「酒田は、常に新しいものを(柔軟に)受け入れようという地域性がある」と表現する。

内航船へのモーダルシフト、そして洋上風力発電を筆頭とする再生可能エネルギーを活用した、地産地消型の新たなる産業の構築。庄内地方の「ヒト・モノ・コト」が未来に向かって歩む姿を、これからもあたたかく見守っていきたい。

桃田 健史:ジャーナリスト

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください