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黒門市場「インバウンド肉串」へのモヤモヤの正体 金のない日本人の「静かな排除」が拡大している

東洋経済オンライン / 2025年2月9日 8時45分

インバウンド向けに、海鮮丼や肉串を販売する店が、観光地に増えています。なぜモヤモヤしてしまうのでしょうか?(筆者撮影)

おにぎりが1000円、カツカレーは3000円、リフト券は1日1万500円……。

ニッポンであってニッポンではない場所「ニセコ」。訪れる人の多くがインバウンド客で、日本語よりも英語の看板が目立つこの場所は、「選択と集中」によって独自の成功を収めました。物価の高さに複雑な気持ちになる人もいるでしょうが、実は日本を見渡すと、同じように"ニセコ化"が進んでいる場所は少なくないことに気づきます。

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家の谷頭和希氏の新著『ニセコ化するニッポン』より一部抜粋してお届けします。

注目されるニッポン・テーマパークの「高額っぷり」

最近のインバウンド向け「ニッポン・テーマパーク」がそれまでと異なるのは、そこで売られている商品やサービスの値段の「高額っぷり」が必ずセットで報じられることだ。

【画像7枚】極はなんと7800円! 築地・千客万来で販売される「インバウン丼」

例えば、「豊洲 千客万来」。この施設については開業当初から、以下のような内容のニュースが飛び交っていた。

「インバウン丼だ」海鮮丼が1万5000円! 豊洲市場にオープンの新スポット 外国人観光客らでにぎわう(FNNプライムオンライン、2024年2月1日)

「インバウン丼」とは、「インバウンド」と「どんぶり(丼)」をかけあわせた言葉で、外国人観光客に向けている非常に高額な海鮮丼などを総称してこう呼ぶ。

千客万来がオープンしたぐらいから、ネットを中心としたミーム的な言葉として広がりはじめ、最近では一般名詞として定着してきた感じもある。確かに、場内には1万8000円のうに丼もあるという。

豊洲市場に隣接し、新鮮な海鮮が食べられるのが千客万来の「強み」である。その「強み」をもっとも享受したいのはインバウンド観光客だということになる。

彼らに向けて選択された値段設定、そして彼らが楽しめるような空間作りに集中した結果が、千客万来なのかもしれない。まさに「ニセコ化」がわかりやすく発生しているのだ。

海外富裕層を狙い撃ち? 新宿には超高級ホテル

また、「東急歌舞伎町タワー」でも同様の現象が起こっている。特に、高層階にあるホテルは、宿泊料金が一室300万円を超える部屋もあるぐらいで、こちらも話題になった。

加えて、このビルが誕生して1年ほどたったあと、現地を訪れたルポによれば「ビル内の居酒屋のメニューは、特段高いというわけではないが、新宿の大衆居酒屋の料金より、少しばかり高く感じてしまう。

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