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黒門市場「インバウンド肉串」へのモヤモヤの正体 金のない日本人の「静かな排除」が拡大している

東洋経済オンライン / 2025年2月9日 8時45分

近くの居酒屋と比べると1割から2割ほど値段が高く、ちょっとした居酒屋感覚で利用すると、料金はかさむ。そのうえ、チャージ料金も発生しているため、歌舞伎町の居酒屋としては比較的高めの値段になっている」とある(白紙緑「【特別ルポ】ついに撤退した店舗も…オープン当初は大賑わいだった『東急歌舞伎町タワー』の悲惨な現状」)。

施設全体の商品・サービスの料金が少し高いわけである。

大阪「黒門市場」もニセコ化?

こうした流れは東京だけで起こっているわけではない。

例えば、大阪の日本橋にある商店街「黒門市場」も同様の事態となっている。ここは、大阪に格安航空が就航した2011年以降に外国人観光客が増え、今ではそこにいる多くの客が外国人観光客だという。

そして、そこで売られているウニやカニなどは、一般的な日本の市場の価格からすると目が飛び出るような値段。

私も現地を訪れてみたが、中には神戸牛の串焼きが1本4000円、カニの足は4本で3万円と、一般的な感覚からすると信じられないような値段の商品も売っていた。

こうした店の多くは、コロナ禍で閉店した後に作られ、商店街の振興組合に入っていないお店で、明確に外国人観光客だけをターゲットにしているという。

こうして見ていくと、近年のインバウンド向け国内観光地では、ニセコ的な高価格の設定がかなり意識的に行われていることがわかる。その結果、客層の「選択」が発生しているのだ。

こうした商品の値段が国際的な相場からみて高すぎるのかどうかは、難しいところだ。

特に「豊洲 千客万来」の場合、さまざまな品目において物価高が進行している現在では、こうした商品の値段が高騰するのは当然のこと。産経新聞(2024年3月10日掲載)によれば、施設の担当者は「できるだけ良い素材を使って良い商品を提供するのが店側の考えで、不当に高額な価格設定にはしていない」と述べている。

加えて、千客万来には高価な商品だけが集まっているわけではない。比較的安い値段の商品が集まった店もあれば、食べ歩きをするための屋台もあって、選択肢は幅広い。価格選択の多様性は担保されている(その点で「選択と集中」をしきれていない問題もある)。

また、東急歌舞伎町タワーが「さまざまな『好き』の想いとともに街の未来や文化、延いてはさらなる多様性を紡いでいくこと(MASH UP)を目指します」と、「多様性」を謳う施設作りを行っている。

あるいは、黒門市場などでも、いわゆる「インバウンド向け」に高額の商品がある店はいくつかの店舗に限られており、地元民向けの店も多く存在している。つまり、事業者側は、必ずしもインバウンドだけに向けた施設ではないとしているのだ。

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