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山火事にならない?「野焼き」が現代に復活の理由 春を告げる野焼きは全国で100カ所以上で実施

東洋経済オンライン / 2025年2月9日 7時15分

小貝川河川敷の野焼き作業。左奥にクヌギ林が見える(撮影:河野博子)

少しずつ、寒さが緩んできた。草原の火入れ、山焼きとも呼ばれる「野焼き」が2月1日、利根川流域の小貝川の河川敷で行われた。かつては牛馬のエサや屋根材の確保に欠かせなかった草原や湿原。野焼きはその維持のために行われてきた。

【写真を全部見る】火事にならない?野焼きの実態

近年、各地で復活し、現在全国100カ所以上で行われている。なぜ野焼きをするのか。植物や生きものは大丈夫なのか。野焼きのメカニズムとともに、「復活」のなぞに迫る。

小貝川河川敷に100人以上が集合

1日午前9時15分。小貝川河川敷の「野焼き第1ポイント」となったクヌギ林とその周辺に、ガスバーナー、ジェットシューター(水が入った袋を背負い、手にしたノズルから水を噴射する消火や防火用の機材)、草を刈る刈払機、そして竹製の熊手や鉄製のレーキを手にした人たちが散って、作業を開始した。

パチパチと音をたて、オギ、オオブタクサ、ヨシといった草に火が広がる。刈払機がブルル、ガーとうなり声をあげ、時折シャキーンという金属音も響き渡る。

人々が配置に着く前、堤防の上の集合場所で、ミュージアムパーク茨城県自然博物館の名誉学芸員、小幡和男さんが手順を説明しながら、注意を呼び掛けた。

「火に巻き込まれることを避けて。延焼食い止めよりも命が大事」「輻射熱で顔をやけどしないように、気を付けて」

火が広がるスピードは速い。「ジェットシューターの人、来てください!」。女性が叫ぶと、水が約20リットル入るオレンジ色の袋を背負った人が走る。熊手やレーキを持った人たちは、草をたたいて火を消したり、時には広げたり。

クヌギの林の中で、国立環境研究所の西廣淳さんが声を上げた。「熊手を持っている人は、固まった草葉を広げるように崩してください。火が同じところにじっととどまると、地面の中の根っこが焼けるので。火がほかに移るように燃えていないところに動かしてあげてください」

小幡さんは、市民の環境活動に力を入れてきたことで知られる植物の専門家。高校で生物を教えた後、茨城県自然博物館、霞ケ浦環境科学センターで活躍した。西廣さんは、国立環境研究所気候変動適応センター副センター長で、生態系に配慮した気候変動対策などの研究で知られる。二人は野焼き作業現場を駆け回り、きめ細かな指示を繰り出した。

野焼きはこのほか河川敷の2カ所で作業を行い、約2時間半で無事終わった。

25回目になる小貝川野焼きの発端

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