貨物列車の運転席「同乗取材」で見た乗務のリアル 青函トンネル通る、JRの長大編成コンテナ列車
東洋経済オンライン / 2025年2月10日 6時30分
新中小国信号場まではJR東日本の管轄だが、その後の木古内まではJR北海道、木古内(北海道上磯郡木古内町)から函館貨物駅は道南いさりび鉄道という3社の路線にまたがる。信号システムもATS-SN、Ds-ATCなど4種類あり、運転士はそれぞれの信号システムについて熟知している必要がある。三橋運転士は「ATS-SN、機能よし」「速度26km、よし」と逐一声を出している。プラネッツの音声も入ってくるので、運転室内は声であふれている。黙々と運転していると思ったが、その予想は外れた。
小雪模様の中、油川、蓬田などの駅を通過し、時折在来線とすれ違いながら、14時20分に新中小国信号場に到着した。ここから新幹線と在来線の共用区間に入る。新幹線の2本のレールの内側に在来線用のレールを一本敷いて両者が走れるようにした「三線軌条」という特殊な線路が共用区間であることを示している。9個のトンネルを抜けると、いよいよ青函トンネル。ピーッと汽笛が鳴った。入り口の上には「青函隧道(ずいどう)」と書かれていた。
いよいよ青函トンネル内へ
トンネル内は気温が約20度、湿度が80〜90%で年間を通してほぼ一定に保たれている。窓が急激に曇った。信号などの標識は少なく、運転士もプラネッツも静かだ。時速85〜90kmの安定した速度で進んでいる。
遠くに小さな光が見え、ぐんぐん近づいてきた。最初は新幹線E5系かと思ったが、すれ違い時に見えたのは白地に赤いラインの入った車体。「イーストアイ」と呼ばれるJR東日本の検測用新幹線車両だった。東北、北海道、北陸などさまざまな路線で使われるが運行スケジュールが公表されることはない。青函トンネル内での遭遇は稀有な体験であった。
トンネルに入って8分後くらいに竜飛定点を通過し、さらにしばらく進むと、「眠気対策を取りましょう」とプラネッツが音声で促した。実際は運転士の動作を機械が検知しているわけではなく、運転士の作業が少ない区間などで定期的に音声を発しているという。三橋運転士は眠気対策として、濃いめのコーヒーを携帯しているとのことだった。
その後、北海道側の吉岡定点を通過した。竜飛定点と同様に明るく照らされていた。さらにE5系とすれ違い、トンネルに入ってからおよそ40分後、遠くに白い靄のようなものが見えた。トンネルの北海道側出口のすぐそばに川があり、外気との温度差で水蒸気が出ているのだ。幻想的な光だった。列車がトンネルを抜け出ると、北海道の大地は西陽で輝いていた。
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