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なぜ今?「フジにCM出す企業」が見込む"勝算" キンライサーや夢グループが出稿する本当の狙い

東洋経済オンライン / 2025年2月10日 14時0分

具体的な見返りを期待しているかはさておき、CMを続けている企業は、「いまのうちにフジテレビに恩を売っておこう」という意図は少なからずあるのではないかと思う。

他にも、テレビCMの放映には、取引の促進、従業員の士気向上、人材採用効果――といったさまざまな効果がある。最近、BtoB企業がテレビCMを放映している事例が目立つが、彼らは短期的な売り上げ向上のためではなく、さまざまな副次効果も考えたうえで広告展開を行っている。

CMの費用対効果はむしろ上がっている

テレビCMの運用支援サービスを行っているノバセルによると、1月中旬から同月末にかけて、AC差し替えを行わず、フジテレビでCMを出稿し続けている企業の指名検索(製品やサービスや企業名での検索)効率は、他局よりも高いという結果が出ている。

現在は、放映CM数も減っており、ACジャパンのCMやフジテレビの番組宣伝のシェアが高まっている中で、企業のCMは相対的に目立つ存在となっている。その点においては、CMの費用対効果はむしろ上がっているといえるかもしれない。

CM枠の料金は、一般に視聴率に紐づいて決まるので、通常は大幅な値下げは行わないはずだ。しかしながら、大量にCM枠の在庫が生じている状況では、値下げも余儀なくされているのではないだろうか(ただし、広告会社にいても、実際の広告枠の取引額は担当者でないとわからないので、公表されることはないだろうが……)。

そうだとすると、フジテレビのCMの費用対効果はさらに高まっていることになる。「名より実を取る」という判断で、フジテレビへのCM出稿を継続・再開したり、新たに出稿したりする企業があってもおかしくはない。

「全面的なCM再開」への道のりは遠い

筆者はかねて主張してきたが、フジテレビにCMを出す、出さないは各社が独自の判断のもとに行えばよいことで、他社の動きにむやみに追随することは好ましくないと考えている。

ただし、フジテレビでのCM放映を決断する企業は、あくまでも限定的なものにとどまると思われる。また、一部企業のCM復活は、応急措置的な意義はあっても、根本的な解決を導くものではないことも留意しておくべきだろう。

誰もが知っているような大手企業のCMが流れるようになるまでは、「フジテレビは復活した」とはとうてい言いがたいが、これらの企業の多くは、「第三者委員会の調査報告を待ってから検討する」といったことを異口同音に述べている。

3月末に第三者委員会の調査報告が上がってくるが、それで終わりではない。そこから経営陣の刷新と、組織改革の発表がなされることが求められる。フジテレビ内ではすでに社内改革への着手が始まっているが、3月末までに一定の成果を出すことも求められるだろう。

CM完全復帰までは、まだまだ遠いというのが実際のところだ。

西山 守: マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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