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ラジオでタレントが「自身のこと」を話し始めた訳 「ハッシュタグ」で大きく変わった番組の作り方

東洋経済オンライン / 2025年2月11日 16時0分

SNSでは、Twitterが「つぶやき」という言葉を使っていたことに象徴されるように、忖度のない素の感想が世の中に向けて発信されます(写真:genzoh/PIXTA)

今、ラジオ番組は連日のようにXのトレンド入りを果たし、20代を中心に再び注目を集めています。しかし、かつて2000年代には難聴取問題や動画配信サービスの台頭により、ラジオは存続の危機に立たされました。そこから現在の盛り上がりへと転じる転機となったのが、リスナー同士の“つながり”を可視化したSNSの普及です。

『今、ラジオ全盛期。 静かな熱狂を生むコンテンツ戦略』では、オールナイトニッポンがV字回復を果たした軌跡について、番組の統括プロデューサー・冨山雄一氏がひもときます。今回は同書から、ラジオが「従来型のマスメディア」から「新たなコミュニティメディア」へと進化し、大きな熱狂を生み出しているのか、その秘訣に迫ります。

SNSで変わった番組のつくり方

僕がニッポン放送に入った2007年の頃には、「ラジオ番組は、あくまでラジオ局のプロが作って、リスナーに届けるもの」という考え方が浸透していました。

番組を聴いてくださるリスナーは大切な存在だけれど、リスナーの意見を聴き過ぎるといい番組は生まれない。そんな価値観が長らく固定されていました。

そもそも、SNSが普及する前の「リスナーの声」の見え方というのは、放送局にかかってくる問い合わせの電話、番組に直接届くハガキやメール、ファックスという、ダイレクトにメッセージを受ける手段しかありませんでした。

わざわざ番組にアクションを起こしてくださる方は、番組へのご意見、特に批判的な意見が多く、だんだんと真正面から受け止めにくくなってしまっていたのが実情でした。

この構造を激変させたのがSNSでした。

SNSでは、Twitterが「つぶやき」という言葉を使っていたことに象徴されるように、忖度のない素の感想が世の中に向けて発信されます。

「面白い」も「つまらない」も全部フラットに見られるようになったのです(なお、「今日の〇〇、いつもよりつまらないなー」とわざわざ投稿してくれるリスナーさんからも、僕は番組愛を感じております)。

「リスナーは基本的にほめることが多い。ネガティブな意見はなく、ポジティブな賞賛しかないから、本当の意味で参考になりにくい」という考えから、番組メールをなるべく見ないようにしているディレクターも多かったです。

しかし、SNSで率直な感想が可視化されるようになってからは、積極的にリサーチに活用するように。リスナーが一番近くにいるファンであり、仲間。さまざまな社内事情などで番組の方向性がズレそうになったときにも、的確なアドバイスをくれる貴重な存在です。

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