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ラジオでタレントが「自身のこと」を話し始めた訳 「ハッシュタグ」で大きく変わった番組の作り方

東洋経済オンライン / 2025年2月11日 16時0分

深夜27時からの放送枠「オールナイトニッポン0(ZERO)」は、以前はすべてのパーソナリティ共通で「#ANN0」という1つのハッシュタグを使っていたのですが、これも「#あのANN0」、「#JO1ANNX」など、パーソナリティごとに個別に設定。

この小さな改革によって、ラジオリスナーだけでなく、彼らそれぞれのファンにも見つかりやすくなり、やがてリスナーの熱量の形成へとつながっていきました。

2010年代前半は、メディアとの付き合い方にかなり悩んだ時期がありました。

ラジオの生放送中に、ツーカーのリスナーと分かち合う「密室」の雰囲気のなかで話して盛り上がった会話のなかの、言葉だけが面白おかしく切り取られてネットニュースに上がる。目を引く見出しが拡散されて、ラジオの文脈を知らず、わざわざ聴きに来ようともしない人たちからのネガティブコメントが集まってSNSで“炎上”する。

パーソナリティのなかにはネットの反応に敏感になり、ナーバスになる人も出てきました。

「新しいニュース」が生まれる場所

とはいえ、「ニュースにしないでください」と言ったところで止むわけもなく、どうにか策を打たなければ……と考えていました。

そして、生まれたのが逆転の発想。いっそのこと「ニュースになる」という前提で、ラジオを作ると考えることにしたのです。

ラジオの生放送は、会員制の個室のなかで語られる密室トークではなく、通りすがりの誰もが立ち寄れる公開トークであることを、パーソナリティに再認識してもらったうえで話してもらうように。

むしろ、「自分を応援してくれる皆さんに知ってほしいことを、きちんと自分の言葉で語れる場」として、オールナイトニッポンの時間を活用してもらいたいのだと伝えました。

この価値観が徐々に浸透していった結果、パーソナリティご自身の結婚の報告や、お子さんの誕生など、個人的な大切な報告をオールナイトニッポンの放送で語ってくださる例が増えていきました。

おめでたいご報告以外にも、何か世間を騒がす出来事があった後に、自分の言葉で説明をしたいというときの発信場としてオールナイトニッポンを使ってもらえるシーンが増えていきました(もちろん説明できないケースもあります)。

名前も知らない記者たちの質疑に応えるやりとりを通して、世間一般に意思表明する「記者会見」のスタイルよりも、まずは普段から自分の話を聴いてくれているリスナーに対して自分の言葉で語るほうが、ご本人にとっても納得感があり、安心感もあるのだと思います。

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