「残念なイケメン」に心がなごむ 不器用さにキュンとくる映画3選
Woman.excite / 2016年2月13日 10時0分
あなたの周りにもいませんか? フツーにしているとカッコいいのに、お人好しだったり気弱だったり不器用だったり、そっちのキャラのほうが目立っているため、イケメン度が薄まってしまっている男性。自分がカッコいいとは思いもよらず、そのキャラゆえに、いろいろやらかしてくれます。せっかくイケメンなのにもったいない。でも、憎めない。
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そんな印象的なキャラクターが主人公の映画を観て、思わずクスクス笑っちゃってください。いえ、時にはゲラゲラ笑ってしまうかも。“困ったちゃん”な要素もありつつ、愛すべき魅力に溢れた彼らの映画は、私たちをほっこり和ませてくれるでしょう。心がしっとり潤う、おすすめの3本をご紹介します。
高良健吾演じるイノセントな「横道世之介」に
温かな幸福感で包まれる
▼横道世之介
監督:沖田修一
出演:高良健吾、吉高由里子、池松壮亮
1987年、長崎県の港町から大学入学のために上京してきた世之介(高良健吾)は、真っ直ぐで、空気が読めなくて、頼まれたら嫌と言えないお人好しキャラ。同級生の倉持一平(池松壮亮)とサンバサークルに入って、太陽の塔みたいなコスプレで踊ったり、お譲様育ちの与謝野祥子(吉高由里子)に好かれたり、年上の女性、片瀬千春(伊藤歩)に頼まれて、男性との別れ話に弟として同席させられドキドキしたり、ゲイの同級生、加藤雄介(綾野剛)とつるんだり…。みんなの人気者になっていきます。
スキーで転んで入院した祥子をお見舞いに行き、恐縮する彼女に「心配させてよ。心配しちゃうのが仕事っていうか…」とねぎらう人の好さ。
夏は故郷の海辺で、冬は雪の降るクリスマス、下宿の前の庭で、世之介は祥子に「キスしていい? じゃ、ちょっと失礼して…」とキス。そんなこと聞く男って最低! と普段なら思うのですが、嫌味のなさはさすがイケメン。かっこいいのにもったいない。でも、空気の読めなさがいじらしい。
こんなストーリーが16年後、友人たちが青春時代を回想するシーンとして描かれていくのですが…。高良健吾のイノセントさ、ある種トリックスター的な存在感が、基本的に“良いヤツ”世之介を見事に顕在化。彼の母親から祥子へ手紙が届くラストシーンは、きっと泣けると思います。派手さはないけれど、じわじわきて、心が清々しくなる映画です。
「小野寺の弟・小野寺の姉」で
向井理演じる気弱な弟キャラに胸キュン
▼小野寺の弟・小野寺の姉
監督:西田征史
出演:向井理、片桐はいり、山本美月
両親を早くに亡くし、二人で実家に暮らし続ける小野寺姉弟は、眼鏡店に勤める40歳のより子(片桐はいり)と、調香師で33歳の進(向井理)。一緒にスーパーに買い物に行ったり、朝晩食事をしたりと、とても仲良し。
こだわりの強い姉に仕切られ、不服でも従ってしまう弟には、育ててくれた姉に頭が上がらないだけでなく、姉思いを決定づける過去がありました。姉は姉で、前カノの好美(麻生久美子)と別れて以来、恋に臆病になっている弟が心配で仕方ありません。
ある日、誤配された郵便物を二人で届けに行ったことから、可愛らしい絵本作家の薫(山本美月)と出会い、より子は進に婚活を促します。のらくらしている彼に、「私は心配してるの。あなたも、もういい年だし…」「いい年は姉ちゃんも一緒だろ」「私のことはいいのっ!」とキレるより子。
一方、眼鏡店に営業で訪れる浅野(及川光博)から、デートらしき誘いを受け、より子は舞い上がりますが、いざ、待ち合わせてみると…。
弟思いでまじめで、時にエキセントリックな姉を演じる片桐はいりの、恐いほどの名演から目が離せません。始終、くすんでもっさりした引っ込み思案な弟を、これまた、もったいなくも、向井理が胸キュンな演技で魅せつけます。日本一、不器用な姉弟の恋と人生に、じーんとするハートウォーミングコメディ。観ると必ず、元気になれます。
「舟を編む」の不器用すぎる編集者を演じる
松田龍平の役者魂が神
▼船を編む
監督:石井裕也
出演:松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー
名前からしてマジメでおかしい、出版社勤務の馬締光也(松田龍平)は、営業部で変り者扱いされていたのが、「右を説明できるか?」と辞書編集部のベテラン編集者、荒木(小林薫)に聞かれ、答えられたのが縁で辞書編集部へ異動。言葉の海を渡る舟に例えて「大渡海」と名づけられた新しい辞書のため、街に用語採集に出かけたり、語釈(言葉の意味)を書いたり、完成まで15年かけ、見出し語24万語の国語辞典作りに没頭していきます。
学生時代からの古い下宿は、廊下まで本だらけ。家主のおばあさんと猫のトラだけが友達だったのに、おばあさんの孫娘、香具矢(宮崎あおい)と出会って恋に落ちます。
編集部のノリの軽い西岡(オダギリジョー)にラブレターの添削を頼みますが、何と手紙は巻紙に筆文字。「何で筆選んじゃったの。戦国武将じゃねえんだぞ」と、のけぞる西岡。書き直すという馬締に「そのまま渡しちゃえよ。インパクトはあるから」とそそのかします。
案の定、読めなくて怒る香具矢。謝る馬締。「手紙じゃなくて言葉で聞きたい、今!」と言われ、たじろぐ馬締に「今は今でしょ。辞書で調べたら?」と彼女。"今"を辞書で引こうとする彼に、「本当に調べなくていいの」。そして、馬締はおずおずと「好きです」と、やっと告白に至るのです。
辞書が中止になりそうになったり、脱字が見つかったり、監修の松本先生(加藤剛)が病に倒れたり、様々な事態を乗り越え、27歳だった馬締は42歳になり、ようやく発刊へ。
辞書(舟)を編集する(編む)人たちの感動エンタテインメントですが、私たちも感動の海を渡ること間違いありません。馬締を演じる松田龍平の歩き方に至るまで不器用な演技は、もはや神。そして、ブキッチョだけど誠実なこういう人、大好きだなあ、と思うのでした。
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