仮面ライダー初回放送から53年!一文字隼人が明かす秘話…命がけヘリ撮影、滝との友情、バイク免許は?
よろず~ニュース / 2024年4月3日 15時0分
歴史的な変身ポーズを披露する仮面ライダー2号・一文字隼人役の俳優・佐々木剛=東京・大山の居酒屋「バッタもん」
昭和から令和まで半世紀以上にわたってシリーズが存続している「仮面ライダー」。その記念すべき初回放送は1971年4月3日だった。CS放送・東映チャンネルでは2日から〝初代〟シリーズ第1作の「4Kリマスター版」放送が始まった。同作で大ブームとなった「変身ポーズ」のパイオニアである仮面ライダー2号・一文字隼人を演じた俳優・佐々木剛(76)に「今だから話せる」裏話を聞いた。
初代ライダー・本郷猛を演じた藤岡弘、が撮影中のオートバイ転倒事故で重傷を負い、その代役として劇団の同期でもあった当時24歳の佐々木が第14話「魔人サボテグロンの襲来」(7月)から登場。一文字はフリーカメラマンという設定で、初登場時、立花藤兵衛(小林昭二)に「お前、ショッカーの一味だろ」と警戒されると、「ショッカー?俺はシャッターなら専門だけどね」と、いきなりダジャレをかましてカメラをパチリ。そんな陽性キャラで子どもたちのハートをつかんだ。
日本の特撮ヒーロー番組において初となる変身ポーズを体現した一文字。藤岡はバイク走行中に変身したが、佐々木は立った状態で両腕を大きく動かしながら「変身!」と叫ぶポーズで社会現象を巻き起こした。
「バイク免許」に関する逸話がある。
佐々木は「バイクの免許がなくて運転できないから、変身ポーズができた…という話になってるけど、それが本当か、誰も俺に直接聞いてこなかった。免許はなかったけど、実は運転できたんです。昔の田舎(新潟県出身)では子どもの頃からバイクに乗っていた」という。
特撮ドラマ「超人バロム・1」の主演俳優・高野浩幸は「僕が仮面ライダーに出演した時、佐々木さんのバイクの後ろに乗せてもらい、家まで送ってもらいました」と証言。佐々木は「そうなんだよ。でも、その後、ある有名俳優が無免許でバイク事故を起こして大騒ぎになっていたのをテレビで見て、『これはまずいわ』…と思って、27歳の時に免許を取った」と明かした。
当初はスーツアクターも兼任した。「初登場で魔人サボテグロンと戦う仮面ライダー2号については、僕が中に入ってます。最初はどれくらい大変なのか分からなかったけど、本当に見にくいし、動きづらいし、熱かった。初代も藤岡が入ってたけど、バイクで大ケガをしたから、主演俳優に疲れさせちゃいけない、スーツの中にも入っちゃダメということになった」
佐々木は朝日放送製作のドラマ「お荷物小荷物」、NHK連続テレビ小説「繭子ひとり」との掛け持ち出演だった。「金土日は大阪、月火水木は東京。往復しながら、その間に半日で仮面ライダーをやった。撮影時間が少ないから早めに変身していた」とも明かす。
「決死の撮影」も忘れられない。
「飛び立つヘリコプターの足の部分に一文字隼人として飛びつくシーンがあった。ヘリの下の部分は太くて、鉄棒のようにつかめない。指が回りきらず、指を引っかけてぶら下がった状態。すーっと機体が上がると、振動と風圧で指がずれてくる。やばい、落ちる、早く降ろしてくれと思っても、下の方で助監督が『旋回~』って、ほんとに旋回しやがった(笑)。あの頃は30分間、ヘリを借りて7万円だったかな。予算が少ないので、1回止めてエンジンをかけ直すと、それだけ燃料もかかるから、休まずにそのままやって。あれ、落っこちてたら、どうなってたか分からない。仮面ライダーもなくなってたかも」
第1作には生身の人間として怪人と戦ったFBI東京支部の特命捜査官・滝和也という男がいた。演じた俳優は千葉治郎(後に矢吹二朗に改名)。千葉真一の実弟だ。80年代に引退し、芸能界から離れて自然の中で仕事をした。
佐々木は「ジローちゃん、大親友だよ。ほんとにまっすぐな男。今も元気です」。佐々木が東京・大山で営む居酒屋「バッタもん」には来店した千葉のサイン色紙が飾られていた。「咲いたとて 誰れにも見られず 山里に けなげにゆれる 雑草の花」。その人柄が垣間見えた。
藤岡が復帰しても、佐々木は引き留められ、2人ライダー体制で出演した後、当初の約束通りに降板した。
「看板を藤岡に返してあげたかったから。嫌で降りたんじゃない。その証拠にゲスト出演のオファーは1度も断ってないからね。ゲストだけで34本出てますよ。呼ばれるのが大好きなの。出番が少ないのに、もらうギャラは一緒だから(笑)。それはともかく、ライダーは故郷に帰るようなものです」
昨年9月旗揚げの団体「怪獣プロレス」に高野らと共に参戦中。悪の首領「地獄博士」というキャラクターになりきり、4月7日の第3弾興行(東京・浅草花やしき 花劇場)にも映像で登場する。
「5月7日の誕生日で77歳の喜寿ですよ」。19歳から続く俳優人生において「仮面ライダー」はかけがえのない作品。「最初、こんなに続くとは誰も思わなかった。それが50年を超えてるんだからね」。アジア圏など海外から店を訪れるファンも多い。来店客の求めに応じてエピソードを披露する、その弁舌は今も健在だ。
(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)
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