EVに本腰を入れ始めた【トヨタ】2026年に150万台レベルへ
財界オンライン / 2023年5月2日 11時30分
テスラの半分の期間で
自動車の電動化で「全方位外交」を掲げるトヨタ自動車。世界の顧客に多様な選択肢を提供する「マルチパスウェイ」を用意する戦略のうちの1ピースである電気自動車(EV)の方向性を打ち出した。
『住友商事』通勤用EVなどをリースする新会社を設立
「クルマがこれからも社会に必要な存在であり続けるために、クルマの未来を変えていく必要がある」─。4月1日付で社長に就任した佐藤恒治氏は強調する。そのための2つのテーマとして「カーボンニュートラル」と「移動価値の拡張」を挙げる。
そのうち注目されるのが前者。「EVが想定外のスピードで進んでいる」(関係者)からだ。佐藤氏も「バッテリー電気自動車(BEV)に対する具体的なファクトを示すことが十分にできていなかった」と反省する。
トヨタの電動化は主に①ハイブリッド車の販売を新興国を含めて強化②プラグインハイブリッド車の選択肢を増やし、電池の効率を上げてEV航続距離を200キロ以上にする③BEVを2026年までに10モデル投入し、販売台数を年間150万台へ引き上げる④中型・大型トラックといった商用車で燃料電池車を量産化するといったもの。
「今の時点でEVを造って販売しても赤字になるだけ」(幹部)と言われる中、26年には次世代BEVも投入する。航続距離を2倍にし、開発・生産の工程を半分に削減する。そのために、開発、生産、事業の全権を委ねたリーダーが率いる専任組織を新設することも表明した。
「半端ないスピード感が求められる」とアナリストは指摘する。というのも、現在のトヨタのEVの年間販売台数は2万台超。米テスラが2万台規模から100万台規模のEVを生産・販売し、2ケタの営業利益率に到達するまでに約9年かかっている。トヨタはそれを半分でやってのける計算になるからだ。
「トヨタが本気を出せば、いつでもひっくり返される」と外資系EVメーカーの首脳は身構える。ただ、トヨタにとってもEV戦略に合わせたサプライチェーンの構築など、電池の調達や取引先メーカーとの連携が更に重要になってくるだけに、佐藤氏には慎重かつ大胆な経営のかじ取りが求められてくる。
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