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【厚生労働省】異次元の少子化対策 財源めぐる議論が本格化

財界オンライン / 2023年5月18日 11時30分

岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策」の実現に向けた「たたき台」が3月末、まとまった。児童手当の所得制限撤廃や出産費用の保険適用、保育サービスの拡充などを柱に明記。岸田文雄首相は「これから6年から7年が少子化傾向を反転できるかのラストチャンス」として、今後3年間を集中取り組み期間に位置付け、取り組みを加速する意向だ。

 たたき台では児童手当に関し、支給期間を現在の中学生から高校卒業まで延長するほか、多子世帯への増額も盛り込んだ。保育サービスの拡充では、保育士の配置基準を見直すほか、「こども誰でも通園制度」を創設し、就労要件を問わず時間単位の保育が利用できることを目指す。

 今回のとりまとめに関わったある政府関係者は「首相は(少子化問題を)ものすごく勉強している。実情と対策を完全に理解している」と話し、たたき台には首相の問題意識が込められていると強調した。

 ただ、たたき台には政策の裏付けとなる財源は明示されなかった。具体的な財源をめぐる協議は4月に設置された「こども未来戦略会議」などで検討。6月に決定される経済財政運営の基本指針「骨太の方針」までに、子育て施策の予算倍増の大枠を示す方針だ。

 現在、財源として有力視されているのが社会保険で、公的医療保険などの保険料率引き上げを軸に検討が進む見通し。先の関係者は「本来は消費増税で安定財源を確保すべきだが、その議論が封印されている中で選択肢は限られている」と明かす。

 財源だけでなく、2024年度予算編成作業を視野に優先順位をどう付けるかが課題だ。

 厚労省のある幹部は「具体的な制度設計になると、社会保障審議会や中央社会保険医療保険部会(中医協)などでの議論が必須」と強調。「少子化対策だけでなく、診療報酬と介護報酬の同時改定、年金財政検証に向けた協議など今年は課題山積。スケジュール調整だけでも大変だ」と覚悟していた。

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