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【2025年をどう占いますか?】答える人 日本郵船会長・長澤仁志

財界オンライン / 2025年1月10日 18時0分

長澤仁志・日本郵船会長

日本の造船技術の復活へ
「海事クラスター連合」を結成

 ─ 国際情勢下で国をまたいだ海運事業を展開している日本郵船会長の長澤仁志さん、2024年の業績は好調でした。

 長澤 かつての海運業界では世界のGDP(国内総生産)の成長率の3倍くらいの海上荷動きの伸びがあったのですが、今は3%前後とGDPと同じくらいの伸び率となっており、24年の海上荷動きも3%ぐらい伸びました。

 大きかったのはハマスとイスラエルの衝突です。この衝突で紅海を通行できず、喜望峰へ迂回する動きとなりました。その結果、航行距離が延びて、ほぼ全ての船種の需要が逼迫しました。

 加えて、パナマ運河の渇水が発生し、パナマ政府が通行を制限しました。一挙にスタック(遅延)が起きて、この点からの船舶の需要が上がったのです。ですから、荷動きそのものは3%の伸びでしたが、運賃が大幅に上がったわけです。

 ─ では、25年の見通しは。

 長澤 様々な経済指標の予測を見ると、24年と同じくらいの3%台の伸びになるのではないかと。ただ非常に難しいのは、トランプさんが公言している関税がさらに課されるかどうか。もし実行されれば、海上荷動きとしては相当な逆振れになることは間違いないと思います。

 特に北米で販売する自動車を生産する拠点となっているメキシコからの輸入品にも関税を課せば、相当な影響が出るだろうと。

 ─ 25年も引き続き緊張感が求められますね。一方で脱炭素に向けた取り組みにも注力していますね。

 長澤 はい。国際海事機関が50年のカーボンニュートラルを宣言しており、全ての海運事業者はその実現に向けて努力をしていくことが大前提です。その中でも我々はファーストランナーという立場をしっかりキープしてやっていきたい。

 そのためには船舶の燃料にゼロエミッションのアンモニアやグリーンメタノール、水素などの燃料を使えれば一番良いのですが、全く実績がない。その中で24年夏にアンモニアを燃料とするタグボートにアンモニアを補給することができました。

 26年にはアンモニアを燃料にしてアンモニアを運ぶタンカーが竣工予定です。それまでの過渡期はLNGを燃料にする船舶を増やしていく予定です。30年には40隻近くが、このような船舶になる計画です。

 ─ 造船業はかつて日本がトップでした。海運会社としてどう復活に関与しますか。

 長澤 日本の海運会社3社と造船会社などと共同して7社連合を結成しました。CO2を回収して液化し、それをどこかに運んで埋める二酸化炭素回収・貯留技術です。

 こういった船舶はまだ世界にないので、これを日本の「海事クラスター連合」でやっていこうと。日本の海事クラスターが強くないと、経済安全保障の面でも将来大きな不安を残しますからね。

ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト・矢嶋康次の視点「商売敵から仲間」

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