全身性強皮症に抗酸化サプリが有効な可能性 ルイ・パストゥール医学研究センター
財経新聞 / 2024年4月5日 9時26分
全身性強皮症は、皮膚や内臓などの体の組織が硬く繊維化してしまう疾患だ。症状は指先の皮膚から始まり、肺、胃、腎臓などの内臓まで及んでいくことがある。国内の患者数は2万人以上おり、1:12で女性が多い。治療法はまだ確立されておらず、難病指定されている。
ルイ・パストゥール医学研究センターは、抗酸化サプリメント「Twendee X」が全身性強皮症の進行を遅らせる効果があることを、明らかにした。今後治療法の確立への貢献が期待される。
この研究を行ったのは、ルイ・パストゥール医学研究センター抗酸化研究室・犬房春彦主席研究員らの研究グループである。研究成果は、「International Journal of Molecular Sciences」のオンライン版に3月4日掲載された。
全身性強皮症の原因はまだ明らかになっていない。しかし、免疫異常、血管障害、繊維化が関連していると考えられている。正常時には組織を支え弾力を与える働きをしているコラーゲンが増えすぎてしまうことで、組織が繊維化し硬くなってしまう。
Twendee Xは、ビタミンC、L-グルタミン、ナイアシン、L-シスチン、コエンザイムQ10、ビタミンB2、コハク酸、フマル酸の8つの有効成分からなる抗酸化サプリメントである。このサプリメントは軽度認知障害に効果があることがこれまでに判明している。
今回研究グループは、マウスの全身性強皮症モデルとしてHOCl(次亜塩素酸)誘導強皮症マウスモデルを用いて、様々な角度からTwendee Xの効果を確認した。
次亜塩素酸は酸化剤の一種である。全身性強皮症患者では高度酸化蛋白産物(AOPP)濃度が高くなっていることがわかっており、モデルマウスでも同様にその濃度は高い。このモデルマウスにTwendee Xを投与したところ、AOPP濃度は減少し、酸化を抑制することがわかった。
また、全身性強皮症患者で見られる皮膚の肥厚、皮膚、肺でのヒドロキシプロリンの高値や繊維化はマウスにHOClを皮下注射した時や、HOCl誘導モデルマウスでも見られる特徴的な症状と言える。これらの症状に対してTwendee Xを投与したところ、コラーゲンの蓄積、特に肺における蓄積を正常な状態まで減少させた。
これらの研究結果より、Twendee Xは抗酸化作用などにより炎症や免疫に影響することで、コラーゲンの蓄積など組織の繊維化を遅らせる可能性が示された。今後、全身性強皮症の症状を緩和し、進行を抑える治療法の開発につながること期待できるだろう。
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