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量子もつれの情報伝達速度には限界があった 京大らの研究

財経新聞 / 2024年4月6日 16時51分

加速する量子もつれの伝搬の概要図(画像: 京都大学の発表資料より)

 「量子もつれ」とは、対の関係が成立している粒子は、それらをどんなに引き離しても、片方の粒子状態を変化させれば、その対である相方の粒子状態も瞬時に変化するという現象を指す。

 これは量子もつれ関係にある粒子間では、情報伝達が無限大の速度で行われることを意味するが、京都大学と理化学研究所の共同研究チームによって、量子もつれにおける情報伝達メカニズムの考察の結果、情報伝達速度は無限大ではなく限界があることが示された。

 量子もつれは、応用次第では電波通信では到底実現できない高速通信が可能になる。例えば太陽と地球で通話する場合、太陽にいる友人に地球から電話で語りかけた言葉は、8分以上かかって相手に届く。太陽にいる友人が応答し、地球でその声を聴くには、さらに8分以上かかり、まともな会話にならない。だが、量子もつれが応用できれば双方の声が瞬時に届き、リアルタイム通話が実現可能になるかもしれないのだ。

 今回、共同研究チームが明らかにしたのは、ボーズ粒子における量子情報伝達メカニズムで、ボーズ粒子では情報伝達の加速が起こることを見出したという(いっぽうフェルミ粒子では量子情報伝達速度は一定だ)。

 補足すると、素粒子にはボーズ粒子(スピンの値が整数値をとる粒子)とフェルミ粒子(スピンの値が1/2など半整数の値をとる粒子)があり、ボーズ粒子の代表例は光子、フェルミ粒子の代表例は電子だ。

 ボーズ粒子では、多くの粒子が同じ状態になることが可能で、量子もつれ情報が含まれる場合、情報伝達速度が粒子の数に比例して速くなり、情報伝達が加速度的に起こる。共同研究チームは、量子コンピュータで量子ビットを操作し、目的の量子系をデジタル的に模倣するデジタル量子シミュレーションにより、ボーズ粒子系の量子もつれの生成量を定量的に評価することを可能にした。

 その結果、ボーズ粒子における量子もつれの情報伝達速度には、限界があるとの結論に達したが、限界値は明かされていない。ただし、その限界値が光速よりけた違いに大きいことだけは明白だ。

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