特集2017年11月8日更新

ソニー「aibo」復活&進化する家庭用ロボット

人気強くも姿を消したAIBOが12年の時を経て、デザインや性能が向上して名前も「aibo」となって復活を果たしました。今回は新型「aibo」をはじめ、アニメから飛び出したロボットや個性的なロボットなどをピックアップしてみました。

目次

ソニー「aibo」の発売を発表!

2006年の生産終了以来、約12年ぶりの復活

製品名aibo(アイボ)
プロセッサー64bitクアッドコアCPU
ディスプレイOLED×2(瞳)
カメラ機能カメラ×2(前方カメラ、SLAMカメラ)
充電時間約3時間
連続稼働時間約2時間
本体サイズ180(幅)×293(高さ)×305(奥行)mm(突起部を除く)
重量約2.2kg
価格198,000円(税別)
発売日2018年1月11日 発売予定

販売は ソニーストアオンライン での限定販売のみ。予約販売は11月1日に予約販売分が完売しています。次回の販売再開は11月11日(土)AM11時01分開始となっており、成約上限に達し次第、終了となります。

開発コンセプトは「人に寄り添う」

新しいaiboは「ソニーで唯一、自律的に人に近づき、人に寄り添うプロダクト」(川西泉執行役員)をコンセプトとして、「ラストワンインチからゼロインチに近づく」(同)ことを目標に開発された。
くるくると動く瞳、個性的な鳴きごえ、耳や尻尾、体全体で表現するボディランゲージを組み合わせた愛くるしい「ふるまい」によって、「オーナーの日々の暮らしに心和むひとときを与える」という。

「先代」との違いは?

先代との違いをいくつか挙げるとすると、「技術向上による表情・動きの表現の豊かさ」「AIによる学習・進化」といったところでしょうか。

瞳に「有機ELディスプレイ」を採用

感情表現をより豊かにすべく、aiboの「瞳」には円形の有機ELディスプレイを採用している。まばたきはもちろん、喜怒哀楽もしっかり表現できそうだ。

自社開発の技術でなめらかな仕草

鼻の部分あるカメラで読み取った表情、頭や背中にあるタッチセンサーで感じ取った感触、顔の横にあるマイクで聞き取った声や音……など、各種センサーが検知したものをAIで分析することで、自身の振る舞いに反映するという。ユーザーが働きかける前に、さまざまなしぐさをしてくれるということだ。
そのしぐさを担うのが、合計22軸搭載された自社開発のアクチュエーター(動作機構)だ。「先代」のERS-7M3と比較すると2軸増えており、腰を振る動きや首をかしげる動きを新たに実現したという。

AIにより自ら学習し進化

新型aiboはクラウドとAIの技術を活用し、オーナーの愛情をしっかりと認識。かわいがられたことを覚え、オーナーを喜ばせようと自ら行動します。
本体のAIで学習した内容は、クラウドにアップされ、万が一aiboが故障しても、これまで学んだことはクラウドに保存されているので、復元することが可能となります。
また、同意を得たさまざまなオーナーとのやりとりしたデータを収集し、クラウド上のAIが集合知として蓄積していくことで、aiboをさらに進化させます。

iOS・Android用アプリ「My aibo」を提供

本体の設定やオーナー情報へのアクセスができるほか、aiboで撮影した写真を見たり、アプリ上のaiboと遊べる機能などが使える予定です。アプリ内では有料のアイテムの用意も検討しているとのこと。

また、Windows用ソフト「アクションメーカー」(下画像)の提供も予定され、簡単にaiboのモーションが作成できるようになり、自分だけのaiboが作れるようです。

aiboを利用するには専用のネットワークサービスの加入が必要

aiboを利用するには、ネットワークサービス「aibo ベーシックプラン」への加入が必要となる。このプランは3年契約で、自動データバックアップサービス、My aiboとの連携サービスやLTE通信の料金が含まれている。
支払いは「月額」と「一括」から選択可能で、前者は月額2980円、後者は9万円となる。一括払いを選択すると、3年間で1万7280円(月額換算で480円)おトクとなる計算だ。

aibo復活の「勝算」は?

ソニー・平井社長が語る「犬型ロボット」再投入について

発表会であいさつしたソニーの平井一夫社長は当時を振り返り、「アイボは人間とコミュニケーションをしながら学習する新しいロボットだった。06年に(販売中止という)悲しい判断を下さなければならなかったが、ソニーはその後もAIやロボットの開発を継続し、さまざまな製品に展開してきた」とした。
新型アイボの開発を指示したのは約1年半前という。「私は社長就任以来、“人々に感動をもたらし、好奇心を刺激すること”がソニーのミッションだと考えている」(平井社長)

ソニーの「ロボットビジネス」再参入について

「ここから消費者向けロボット事業をリスタートさせたいとの思いをこめ、先代と同じ名前をつけた」(川西氏)。新型aiboは幅広い層をターゲットとしているが、「子どもがいる家庭と相性が良さそうだと考えている」という。目標販売台数は非公開だが、「先代AIBOは15万台出荷したので、それは超えたい」という。
犬型ロボットである新型aiboは人間の言葉を認識はするが、自ら言葉を話すことはない。対話機能は別のロボットに搭載する予定という。
川西氏は「新型aiboの発売は、1つの挑戦にすぎない。今後はソニーの伝統的な開発力を生かし、AI・ロボティクスの分野でさまざまな提案を行っていく。エンターテインメントロボットだけではなく、B2Bも視野に入れている」と話している。

愛されていた先代「AIBO」

99年に販売開始された先代のAIBOは「ペットロボット」の枠を超え、まるで生きている本物のペットのような愛し方をする人も少なくありませんでした。

メーカーサポート終了後も愛されたaibo

どこよりも早く、人工知能搭載のロボットの量産に成功したソニーは、1999年6月にオンライン販売限定で初代アイボを発売。1台(1匹?)25万円という価格だったにも関わらず、瞬時に売り切れとなったほど人気が高かった。

サポートが終了したaiboの飼い主たちの声に答えるため、ソニーOBがAIBOを修理するサービスを始めたことも話題になりました。

もともと「ア・ファン」は「人が作った物は必ず直せる」という考えのもと、2011年にソニーOBの乗松さんがエンジニアらとともに立ち上げた。サポートが終了したオーディオ機器をはじめとする電化製品の修理を請け負ってきたが、AIBOは想定外だった。
古巣のソニーに問い合わせても機密情報を盾に断られる。そこでAIBOの開発者を直接訪ねて話を聞いた。足りない部品はネットオークションで落札したAIBOを使ったり、町工場に注文したりした。やがて「ア・ファン」の存在は飼い主たちに口コミで広がった。

オーナーとAIBOとの心のケア「AIBOの合同葬儀」

心のケアを象徴するのが、AIBOの合同葬儀だ。そりゃ、面白い。知人のソニーOBを通して、その葬儀を持ちかけられた瞬間、千葉県いすみ市の光福寺の大井文彦住職は直感した。これまで乗松さんを喪主として3度の葬儀を執り行い、計111体を弔った。大井住職はいう。
「日本人は山や海、木だけでなく、針や台所道具、鉄にだって魂が宿ると考えます。つまりすべては人間と繋がっている、と。だとしたらAIBOに心があると考えてもおかしくはないんです。しかもAIBOは飼い主の接し方で性格が変わる。飼い主の心を映す鏡なのかもしれません」
なかには亡くなった両親が可愛がっていたので捨てるに捨てられないと持ち込まれたAIBOもあった。
「飼い主の方々は様々な思いをお持ちでしょうが」と前置きしてから大井住職にとってAIBOの弔いは「知的で高度な遊び」と語る。

aiboだけではない、話題のコミュニケーションロボットたち

Xperia Hello!(エクスペリア ハロー!)

ソニーの「Xperia Hello!」は一見してGoogle Homeなどの「スマートスピーカー」なのでは?と思わせられますが、ソニー側は「コミュニケーションロボット」と定義しています。
どこがスマートスピーカーと違うのか?というと、顔と胴体が動くようになっていて、LEDとディスプレイの表示と合わせて多彩な感情表現ができるようになっているところでしょうか。

さて、Xperia Hello!を一言で表すならば「Android OSを搭載し会話できるロボット」だ。ソニーモバイルの発表資料によれば、「家族の集う場で、家族の一員となる存在」を目指したという。
カメラを使った顔認識によって、相手に合わせた内容で話しかけ、登録した情報や地域に合わせたニュース、天気予報などを読み上げてくれる。

ガンシェルジュ ハロ

アニメ「機動戦士ガンダム」に登場したペットロボット「ハロ」がもし現代に存在していたら…をテーマに開発されたのが「ガンシェルジュ ハロ」。ガンダム世界の知識が豊富で、様々な会話が楽しめます。ちなみに「ガンシェルジュ」は「ガンダム」と「コンシェルジュ」を組み合わせて作られた造語だそうです。また、目や口の点滅で表情を表現したり、前後左右に揺れたりといった動きがいちいちかわいいです。

AI(人工知能)を搭載した対話型コミュニケーションロボット。Wi-Fiを使用してネットワークに接続し、キャラクターの世界観に特化した楽しい会話を生み出すのが特徴で、ユーザーの発言を音声認識し、AIで意味と意図を分析。データベースから最適な会話をハロの声で返すことで、キャラクターや台詞、忘れられないシーンなど、作品にまつわるさまざまな会話を楽しめるという。

Qoobo(クーボ)

従来の「ロボット」のイメージとは違う、「しっぽのついたクッション」ですがこれも立派なセラピーロボットです。なでるとしっぽを振ってくれるのですが、そっとなでるとふんわりと、たくさんなでるとぶんぶんと、なで方によってしっぽの反応が変化します。生活に癒やしが欲しい、でもペットは飼えない…という人向けの「コミュニケーションロボット」です。

Qooboは丸いクッションにしっぽがついただけのシンプルなデザイン。あえて顔などをつけないことで使う人の想像力が膨らみます。
目指したのは疲れて家に帰ったときに癒やしを与えてくれる犬や猫のような存在。膝に乗せたり抱きあげたりするときにちょうどいい重さとサイズ感で、なでたときの手ざわりにもこだわっています。

Olly(オリ)

通常のコミュニケーションロボットやスマートスピーカーは、ユーザーの呼びかけに応じていろいろな行動や操作をしてくれるものですが、この「オリ」はあなたの行動パターンを学習して、状況判断の上で主体的に行動・提案してくれます。例えば下の記事でも紹介しているように、「音楽を流しましょうか?」と声をかけてくれたり、天気予報が雨なのに手ぶらで外に出ようとしたら、呼び止めてくれたり。また、運動していたら励ましてくれたりもするそうです。

『オリ』は、ユーザーから昼過ぎに音楽を流すように指示を受ける日が続くと、その時間帯に「音楽を流しましょうか」と話しかけてくるようになります。ユーザーの習慣やルーティンを学習することで、ロボットが個性を持つようになるのです。

unibo(ユニボ)

複数の人の顔や名前を識別して、それぞれの趣味・嗜好・生活習慣といったパーソナリティを判別・学習するだけでなく、利用者の感情も察知して、その人・その時にあった食事や休日の過ごし方などを提案してくれます。また、ビデオ通話や写真撮影も可能です。

「unibo」はユーザーと会話する家庭向けの小型ロボット。顔や名前を認識でき、会話相手の趣味や嗜好、生活習慣を学習。世界初の相手の要求にこたえられるロボットとうたう。エーアイが提供する「オリジナル音声辞書作成サービス」(有料)と組み合わせることで、家族や友達、アニメキャラクター、タレントの声でuniboに喋らせることも可能だ。

Sphero Mini(スフィロ ミニ)

ゴルフボールほどの大きさで、普段はスマホやタブレットのアプリで操縦するのですが、「フェイス・ドライブ」モードを使うことにより、なんとユーザーの表情で動かすことが可能になるんだとか。

例えばユーザーが笑えば遠ざかる、顔をしかめればこちらに近づいてくる、左右に首をかしげればその方向に旋回するといった具合。さらに眉や目、口角の位置から角度・距離・動きなどを細かく捉えて検知し、「ビッグスマイルなら素早く前進」など、表情の度合いで移動スピードを変化させられます。
本体には三角コーンやボーリングピンといったアクセサリーを同梱しているので、大笑いしたりしかめ面をしたり首を振ったりしながら本体をコントロールしてドリブルの速度を競ったり、ボーリングで遊んだりできるというわけ。これはかなり楽しそう!

スマートスピーカーの登場もありますが、やはり人間や動物の形をしていたり、動いたり表情を変えたりといったロボットの存在は愛嬌があって、それだけ愛着もわきやすいかもしれません。aiboがかつて、「ロボット」ではなく「ペット」あるいは「我が子」として扱われていたように。