特集2017年10月13日更新

どっちが本体?豪快・便利に進化する雑誌の付録

もはや付録と呼ぶには豪華すぎるほどのアイテムが付けられるようになった雑誌。最近では各誌で様々な限定アイテムやコラボアイテムが付けられるようになり話題を呼んでいます。話題になった雑誌の付録や、業界の付録競争などをまとめました。

目次

話題になった少年・少女雑誌の付録

手のひらサイズのロボット「TABO8」(ターボ・エイト)

学習雑誌「小学8年生」特別号(2017年12月中旬に数量限定発売)

「小学8年生」は、小学館が発行している小学1~6年生を対象とした学習雑誌です。なんと、付録にプログラミング学習用ロボットがついてくるそうです。

2020年から小学校で「プログラミング学習」が必修化されることを受け、子どもと一緒にプログラムを学ぶ「TABO8」が付録として採用された。
「TABO8」は、タブレットの上で動く小さなロボット。人間がスクリーンにタッチするのと同じように、「TABO8」もタッチすることでタブレットにインストールされたコンテンツと連動する。

2020年から小学校で「プログラミング学習」が必修化されることを受けての付録への採用ということですが、時代の変遷がすごすぎます。この付録、私もほしいです。

iPad上のポイントを追いかけたり、クルクルと回ったり、ピンポンゲームを一緒に遊んだり。予想よりもすごく機敏に動いていて、正直驚きを隠せません。

プリキュアの「おしゃべりじはんき」

「おともだち」2017年9月号

「おともだち」は、テレビキャラクターが好きになりはじめる3~5歳をターゲットにした、1972年に創刊の雑誌です。「ボタンを押すとセリフが流れてジュースが出てくる、紙で出来た自動販売機のオモチャ」というだけでもすごいですが、流れてくる声が「プリキュア」シリーズのキャラクターの声優を起用しているということで、「大人でも欲しい」と話題になりました。

今回、大人たちを驚かせているのは、創刊45周年特別記念号と銘打った2017年9月号(8月1日発売)の付録「おしゃべりじはんき」だ。紙でできた自動販売機のオモチャで、ボタンを押すと取り出し口からジュースが出てくる。

手のひらサイズの卓上掃除機

「ちゃお」2017年4月号

「ちゃお」は小学館が1977年に創刊した月刊少女漫画雑誌です。付録に家電をつけたのは、創刊以来初めてだそうです。580円でロボット掃除機が手に入る時代になったんですねえ。

そんな中、聞き捨てならない情報が耳にはいってきました。それは、少女漫画誌『ちゃお』(小学館)の最新号の付録に、なんど「おそうじロボット」がついてくるという情報!
しかも、お掃除ロボットで有名な「ルンバ」などのように、落下防止センサーもついているとのこと。

くるくるぽんぽんメーカー

「Aneひめ」vol.3

「Aneひめ」は、講談社から年2回発行されているおしゃれな女子小学生向けの雑誌です。今、JS(女子小学生)の間で手芸ブームなんだそうで、毛糸を巻いて作る「ぽんぽん」が手軽に作れる「くるくるぽんぽんメーカー」が付録についています。それはそうと「Aneひめ」という雑誌のタイトルもすごいですね!

"ぽんぽん"は、そのままマスコットにしてかわいいのはもちろん、
つないだり、市販のバッグに貼ったりといろんな展開ができて、
オリジナルのおしゃれグッズがたくさん作れることが、
JSに爆発的に人気となった理由です。

まんが家セット

「ちゃお」2014年3月号、2015年4月号、2016年9月号(他誌にも同様の付録あり)

「ちゃお」の話題になった付録といえば「漫画家セット」。2014年、スクリーントーンや原稿用紙だけでなく、ライトボックスまでついたレベルの高い「今すぐまんが家! パーフェクトコミックセット」が、漫画家にあこがれる子どもだけでなく大人にも話題になるなど反響を呼びました。

さて、そんな『ちゃお』ですが、2014年3月号の付録「ライトボックス」が豪華すぎると昨年ネット上で話題を呼びました。好きな先生の漫画をマネすることができるこの付録に、本来のターゲット層である女子小学生はもちろん、手軽に漫画家気分が味わえると10年、20年ぶりに『ちゃお』を購入する大人が続出したそうです。
先月発売された3月号の『ちゃお』の付録「今すぐまんが家! パーフェクトコミックセット」は、垂涎の的だ。ペン、スクリーントーン、原稿用紙……。そしてなんと! 小型のライトボックスまで付いていた! 紙もの付録が中心だった世代は、二重の衝撃かもしれない。

そして1年後の2015年にはパワーアップした「究極まんが家セット!!」、さらに昨年2016年には「おしゃれまんが家セット」と、いずれも高いクオリティで好評を博しました。

この漫画家セットは、「ちゃお」のオリジナルというわけではありません。下の記事は2014年配信のものですが、2013年に「なかよし」が付録にスクリーントーンを付けてブームのきっかけになったと説明されています。

こうした少女マンガ誌の「マンガ家セット」付録は、昨年から続く流行だ。ブームの始まりは、昨年3月号の『なかよし』の付録だ。初めてスクリーントーンを付けたことで話題となり、対象読者の少女だけでなく、冒頭で述べたような世代の“大人”が食いついた。本屋では品切れが相次ぎ、オークションでは一時高値で取引されたほどだ。実際に使ってみた様子をアップする人も続出し、中にはプロのマンガ家もいた。つまり、かつてマンガ家志望だった大人達において、夢の付録であったのだ。

普段使いに役立つ付録

「DEAN & DELUCA」の保冷バッグ

「GLOW」2017年8月号

「GLOW」は宝島社が月刊発行しているファッション情報誌です。オリジナル付録「ディーン & デルーカ」の保冷バッグは、2012年から続いている人気企画で、今年で6回目だそうです。昨年はこの付録効果で発売から約1週間で約40万部が完売、今年も50万部完売なんだとか。

今年は初の大中小3個セットになっているほか、保冷生地に薄型の新素材を採用。従来の保冷バッグより軽いうえに折りたたんでもかさばらず、使わないときにはコンパクトにたたみバッグに入れて持ち運ぶことができます。

「ジャーナルスタンダード」のレザー調ショルダートート

「InRed」2017年10月号

「InRed」は宝島社が出版する女性ファッション誌です。9月7日に発売された10月号の付録は、ジャーナルスタンダード特製の、大容量な2WAYトートバッグです。普段使いに大活躍しそうです。

マナーバッグ&ふくさセット

「GLOW」2017年11月号

『GLOW』でのマナーバッグの付録は、人気で毎年恒例となっていますが、今年はさらに進化。サザビーとコラボしたシンプルなマナーバッグと取り外しのできるミラーチャーム、パープルのふくさの3点と、最新版・今さら聞けない常識「大人のマナーBOOK」がセットになっています

結婚式やお葬式だけではなく、就職活動や仕事、学校行事でも使えそうです。

大人ネイル12点セット

「GLOW」2017年 9月号

今回の付録は、トップネイリスト渡邉季穂さんがカラーを監修した「uka」プロデュース大人ネイル12点セット。このセットにはトップコートが2種類にネイルカラーが7種類、さらには爪を手入れするためのネイルバッファーとネイルファイル、足指を広げておくための道具トゥーセパレーターが付いてくるのです。こんだけ付いてきて、雑誌の値段は税込み920円って、どんだけ太っ腹なの……?

「SK-II」トライアルセット

「VOCE」2017年11月号

「VOCE」は講談社から発行されている女性向け月刊美容雑誌です。女性向け雑誌の付録として、バッグやコスメ道具と並んで人気なのが化粧品。なかでも「VOCE」11月号の付録は高級基礎化粧品ブランド「SK-II」のトライアル3点セット。編集部の調べによると、トライアルとは言え雑誌代の倍以上の値段になるんだとか。

話題の付録は、大人気の化粧水「SK-II フェイシャル トリートメント エッセンス」(10ml)、新発売の美容乳液「SK-II R.N.A.パワーエアリーミルキーローション」(2.5g)、肌分析カウンセリングチケットの3点セット。
こちらの化粧水は通常160mlで1万7000円。付録の10ml分に換算すると約1063円。美容乳液は50gで1万1500円のため、付録の2.5g分に換算すると575円。合わせると1638円になり、これだけでも雑誌価格(税別690円)以上の価値があります。

自撮りライト

「CanCam」2017年7月号

「CanCam」は小学館が発行している月刊ファッション情報誌です。以前に付録として登場し好評だったハート型の「自撮りライト」が星型になって明るさ調整機能もついて再登場しました。

「自撮り」だけではなく、ありとあらゆる「撮影」に使える! と話題が話題を呼んで超人気&完売となった2月号のふろく、「魔法の自撮りライト」がさらにパワーアップして帰ってきました!

本格スポーツサンダル

「smart」2017年9月号

今回の付録はビーチサンダルではなく、細部にこだわったトレンド感たっぷりのスポーツサンダル。底もしっかりとしていて安定感があり、素足で履いても心地よい。まさに史上最高の1足に仕上がっています。

BEAMS巨大ボストンバッグ

「MonoMax」2016年4月号

「雑誌付録史上最大」をうたった、MonoMaxの創刊100号を記念してBeamsとコラボしたボストンバッグ。MonoMaxは過去にもCOACHの万年筆やBEAMSのレザートートバッグなどの豪華な付録で、モノ雑誌において5年連続で実売部数1位と好調です。

今号の付録は、読者から人気の高いブランド、BEAMSとコラボレーションした「巨大ボストンバッグ」。
雑誌付録史上最大の大きさで、2~3泊分の荷物を詰め込むことができ、軽い素材でありながら耐久性が高く機能性にも優れています。バッグ前面のポケットに本体を折りたたんで収めることができるため、旅行や出張先で荷物が増えた際のサブバッグに使えるほか、毎日の生活で買い物バッグとして使うなど様々なシーンで活用できる万能バッグです。

女性誌の付録競争

付録が雑誌の売り上げを左右する?

すでにご存知の通り、最近の女性誌は毎号のように様々な豪華付録がついており、売り上げに多大なる影響があるようです。
一例としてご紹介すると、9月28日発売の『Oggi』11月号には「グッチ」とコラボしたノートブック「MY GUCCI BOOK」という付録がつきました。

グッチとの史上初コラボレーションによって生まれた豪華すぎるこのノート。触り心地はつるつるすべすべ。エンボス加工されているのできちんと立体感があって、かなり本格的です。ページ数は116ページという大容量。そして意外と嬉しいしおり付き。

するとこの付録効果で「Oggi」11月号は大人気に。そしてなんと、同誌史上初めてとなる重版が決定したのです。おそるべし付録パワー。

付録パワーで?売上2倍にした雑誌

「SPRiNG」は、2016年上半期の販売部数が前年同期比217%。つまり2倍に。2016年に入ってから9カ月連続で前年同期比100%超とすさまじい勢いで売り上げを伸ばしていました。一時は部数の激減もあったそうですが、様々な戦略でV字回復していったその大きな要因として、やはり「付録」を挙げています。

ブランドアイテム付録も、より多くの方が知っているブランドや、手に取りやすいデザイン、使いやすさを重視したアイテムに切り替え、会社の戦略的に発行部数も2倍に増やしたところ、一気に売上部数も2倍以上になりました。

雑誌の販売数は大幅な減少となっているものの…

現在は出版業界にとって、「冬の時代」です。若者を中心とした消費者の活字離れもありますが、電子書籍の台頭で特に紙媒体は苦しい時代となっています。「出版月報」2017年7月号によると、2017年上半期(1~6月期)の紙の出版物推定販売金額はは全体で5.5%減、そして雑誌は8.5%減で「かつてない落ち込み」とまで言われています。「売れた雑誌は単発かつ限定的であり、好調なジャンルはごくわずかだった。」とされていますが、その「ごくわずか」の中に、付録付き雑誌も少なくない数が含まれているようです。

この、豪華な付録がつくと売上が伸びる現象は、ほかのジャンルでも同様。女性ファッション誌では「KERA!」(ジェイ・インターナショナル)などが休刊する一方で、付録が豪華な「sweet」(宝島社)などは、好調である。

「付録」が雑誌購入の決め手に

以前までは読者は、「企画や記事の内容が毎回面白いから」「好きなモデルやライターが載っているから」など、お気に入りの雑誌を決めて提起購入する、というスタイルが主流だったかと思われます。それが下の記事によると、雑誌の付録競争が激しくなった2001年頃から「どんな付録がついているか」が雑誌購入の決め手のひとつになったとしています。

トレンドウォッチャーのくどうみやこ氏によると、「つまみ読み」の兆しが見えはじめたのは、雑誌各社の「付録戦略」が強化されるようになった2001年頃から。それとともに読者側も、毎号決まったお気に入りの雑誌を買うというそれまでのスタイルから、その月の付録や見出しをもとに、購入する雑誌を総合的に判断する流れが強くなったそう。

ファッション雑誌の販売部数ランキング

2017年5月に一般社団法人日本ABC協会より、2016年下半期(2016年7~12月)の雑誌販売部数が発表されました。雑誌付録の王様とも呼ばれる宝島社のシェアはやはり高いですね。

同協会に参加する月刊男性・女性ファッション雑誌(男性・女性ライフデザイン誌)全58誌の販売部数において、株式会社宝島社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:蓮見清一)が発行する女性ファッション雑誌、『sweet(スウィート)』(月間平均販売部数291,928部)、『リンネル』(234,255部)、『InRed(インレッド)』(178,638部)が1位・2位・3位を独占しました。また5位に40代女性誌『GLOW(グロー)』(169,344部)が入り、TOP5誌に4誌がランクインしました。

ついにここまで!200万円の“超高級付録”付き雑誌が登場

最後に紹介するのは、現時点での付録の“究極”に限りなく近いもの。厳密には付録とは銘打ってはいないのですが、雑誌本体以外の付加価値ということで、付録の範疇に入れてもいいでしょう。2015年に発売された「Precious」の特別企画「Million Precious」には、「GUCCIのクロコ・バンブーバッグをカスタマイズオーダーできる権利」が特典としてついていました。部数は、世界でたったの1冊、そしてお値段は税抜き200万円!

第1弾となる『Million Precious』10月号は、GUCCIのクロコ・バンブーバッグをカスタマイズオーダーできる権利付き。世界で1冊のみ、価格200万円(税抜き)で発売です。
今回セレクトをお手伝いするのは、「配色の女王」ともいわれるほど、優れた色彩感覚にファンの多いスタイリスト・大西真理子さん。彼女のアドバイスを受けながら、貸し切りとなったグッチ青山の店内で、36色のアリゲーター、4つのクロージャーから、世界にただひとつのマイバッグがオーダーできるとのこと。歴史的名品バンブーバッグをどうカスタマイズしようか、考えただけでも胸の高鳴りが止まりません。

この第1弾にはなんと500人を超える購入希望者が殺到したそうです。そして第2弾は英国ブランドのダイヤの指輪、第3弾はスイスブランドの腕時計を好みにカスタマイズできて、お値段はいずれも第1弾を上回る300万円超!応募者は850人もあったとか。


今やその有無や内容によって雑誌の売り上げが大きく左右される付録。紙媒体の売れ行きが芳しくないこの頃ですが、限定アイテムやコラボアイテムなど魅力的な付録で今後も消費者の心をつかんでほしいものです。