特集2017年10月4日更新

アメリカ史上最悪の惨事 ラスベガス銃乱射事件

アメリカのネバダ州ラスベガスで現地時間1日、約2万人が集まるコンサート会場に向けて男が銃を乱射し、58人が死亡、500人以上が負傷する事件が発生。現時点での情報を整理してみました。

最新ニュース

12月6日、 米ネバダ州ラスベガスにあるネバダ大学のキャンパスで銃撃事件があり、当局によると少なくとも3人の犠牲者が出た。写真は同大の事件現場に急ぐ捜査当局者(2023年 ロイター/STEVE MARCUS/LAS VEGAS SUN)

ラスベガスのネバダ大で銃撃事件、犠牲者3人 容疑者も死亡

ロイター / 2023年12月7日 8時55分

SteveGorman[6日ロイター]-米ネバダ州ラスベガスにあるネバダ大学のキャンパスで6日に銃撃事件があり、当局によると少なくとも3人の犠牲者が出た。容疑者は既に死亡したという。 [全文を読む]

目次

ホテルの32階からコンサート会場へ乱射

「アメリカ史上最悪」の銃乱射事件に

米国ネバダ州ラスベガスで2017年10月2日に起きた銃乱射事件に関して、地元警察はこれまで59人が死亡し、527人が負傷したことを発表した。米メディアは米史上最悪の銃乱射事件と報じている。
警察によると、犯人はネバダ州に住むスティーブン・パドックという男で、ホテルの32階の部屋から屋外のコンサート会場に向けて銃を発射した。警察が部屋に突入したとき、男はすでに死亡していたという。

その後、犠牲者の数は59人から58人へと訂正されました。

警察当局は3日、当初59人としていた犠牲者数を58人に修正した。

カントリーミュージックのコンサート中に事件発生

事件発生当時、現場ではカントリーミュージックの祭典が開かれていて、歌手ジェイソン・アルディーンのパフォーマンス中に事件が起きました。

マンダレイ・ベイの横では、「ルート91(Route 91)」として知られるカントリーミュージックの祭典が3日間の日程で開かれており、当時会場には多数のファンが集まっていた。
カントリー歌手のジェイソン・アルディーンが、現地時間1日にラスベガスで行われた音楽祭「Route 91 Harvest Festival」でパフォーマンスしていたところ、銃乱射事件が起きた。
事件はジェイソンが最後の曲を歌っていた午後10時頃に起きたとのこと。ジェイソンは銃声を聞くとステージから避難し、無事だったそうだ。

「ホテルの32階の部屋からコンサート会場」の位置関係

事件は、高級ホテル「マンダレイ・ベイ・リゾート・アンド・カジノ」近くで発生。カントリー音楽の野外コンサートが開かれており、犯人は同ホテルの32階から会場を狙って無差別に発砲した。

現場の位置関係を解説すると、見づらいかもしれませんが、三方向に放射状に伸びる特殊な形状の「マンダレイ・ベイ」のホテルの建物から、道をはさんで斜向い(地図上で右斜め上)にあるコンサート会場(地図上で「ラス・ベガス・ビレッジ」の方向)に向かって銃が乱射されました。
下のTwitterの写真は、犯人によって犯行時に割られたという部屋の窓の様子です。

「アメリカ史上最悪」

アメリカのNBC NewsのTwitterでは「アメリカ史上最悪」の銃乱射事件である点を、上のように分かりやすくTwitterで伝えています。

まるで地獄絵図…現場の様子を伝える動画

事件発生の瞬間

上の動画は事件発生の瞬間をとらえたものです。ステージで演奏が行われている最中に「タタタタタ…」という銃声が聞こえ、演者も異変に気付いたのか演奏を止め、観客も「何が起きたのか」とざわつきだします。すると、その間隙をつくように銃撃が再開。以後、断続的に銃声が鳴り響き、さらにパニックが広がっていく様子が伝わります。
下のものはさらにステージに近いところからの動画です。

乾いた銃声…伏せるしかない観客

以下に紹介する動画もSNSユーザーから拝借するなどして、多くのメディアで伝えられているものです。いずれの動画にも、断続的に続く乾いた銃声、それに対して伏せるしかない状況、避難する大勢の観客といった様子が収められています。

目撃者が語る事件の様子

続いては、事件現場に居合わせた人たちの証言をもとに伝えられている事件の様子を、海外ニュースメディアの画像とともに紹介します。

「銃声は永遠に続くようだった」

コンサート会場で事件を目撃した40代の元教師の男性は、米ABCテレビなどの取材に「3回銃声が耳元で聞こえ、一緒にいた友人が胸を撃たれた。銃声が耳から離れない」と振り返った。この男性らは事件発生直後、しばらく恐怖におびえてコンサート会場のステージ下に隠れていたが、重傷を負った友人を運ぶため外に逃げ出したという。別の目撃者は「銃声はずっと終わらなかった。永遠に続くようだった」と語った。

凶弾がどこから飛んでくるかも分からず…

「何てことだ」。立ち見の観客は凶弾がどこから飛んでくるかも分からず、体を伏せるので精いっぱい。乱射は何度も続く。男性の叫び声と女性の悲鳴が交差する中、一部が「今だ、逃げろ」と駆けだした。
CNNによると、現場に居合わせた女性は「銃撃が止まって大丈夫だと思ったら、また始まった」とおびえた様子。ある男性は現場から交流サイトに投稿した動画で「(事件を起こした犯人は)狂っている」と吐き捨てるように言った。

現場は血だらけだった

現場は血だらけだった、と目撃者たちは言う。
「花火だと思っていたら、誰かが血まみれで走り去って銃だと気づいた」と、あるインスタグラマーは書く。彼女は生演奏中だったコンサートの立ち見席にいた。中央の客席から逃れた人々も飛び込んできて、必死に弾を避けた。

発砲は一度に100発か

目撃者はロイター通信に、「一度に100発は発砲があったはずだ。弾を再装填(そうてん)するような間を置いて、さらに銃撃が続いた」と振り返った。

「銃撃音は10分以上続いた」

「銃声がしてから会場はパニックになった」。CNNテレビの取材に対し、観客の男性は当時の様子を振り返った。「まわりで次々と人が倒れていくのが見えたので、これは誰かを狙っているのではなく、無差別に撃っているのだとわかった。銃撃音は10分以上も続いた」と震える声で語った。

「1000発は撃っていたかもしれない」

「千発は撃っていたかもしれない」
スティーブン・パドック容疑者(64)が上層階の部屋から銃を乱射した高級ホテル「マンダレイ・ベイ・ホテル」に滞在中のアルド・グエイチさん(33)は、乱射の様子を振り返った。

「誰もが誰かを助けていた」

ロドリゲスさんによると、その場にいた人たちは、赤の他人の手も取って逃げるのを助けようとしていたという。「恐ろしい経験だった。だが誰もが誰かを助けていた」
自分の子どもではない小さな子を抱き上げる人や「知らない人が乗っている車いすを押していた人たちもいた。できることを何でもしていたんだ」と語っている。

犯人は地元在住の64歳の男

警察が突入した時にはすでに自殺していた

警察によると、実行犯とされる元会計士のスティーブン・クレイグ・パドック(Stephen Craig Paddock)容疑者(64)はカジノホテル「マンダレイ・ベイ(Mandalay Bay)」内の音楽祭会場が一望できる部屋に入っていた。特別機動隊(SWAT)が室内に突入した際には、容疑者は既に自殺していたという。

犯罪歴なし ギャンブル好きの元会計士

元会計士のスティーブン・クレイグ・パドック(Stephen Craig Paddock)容疑者(64)は、ギャンブルに高額をつぎ込む賭博愛好家で、その父親はかつて連邦捜査局(FBI)の最重要指名手配犯とされた銀行強盗だった。
ABCニュース(ABC News)はパドック容疑者について、元会計士でパイロット免許を保有、犯罪歴はなかったと報じている。

ネバダ州在住 女性と同居生活

米メディアによると、女性は9月25日に香港に向けて出国。4日に米国へ戻るという。女性はフィリピン生まれでオーストラリア国籍を持っており、しばしば家族のいるフィリピンを訪れていたとの報道もある。
女性はラスベガスの北西720キロのリノにあるパドック容疑者が購入した家で同居していた。かつてはリノのカジノで掛け金の高い客を相手にするホステスとして働き、離婚歴もある。女性の知人によると、「温和で外向的、優しい人だった」という。

一部メディアでこの女性が「日本にいる」との情報が流れましたが、日本の捜査当局や政府はそれを否定しています。

この女性、マリルー(マリロウ)・ダンレーさんもなかなかに謎な人物のようです。

カリフォルニアでは彼女の名前はマリロウ・ネイティビダド・バストスで誕生日は1962年1月、現在55歳になるが、異なる社会保障番号を使用しているネバダでは、名前はマリロウ・ルー・ダンリーで誕生日は1954年12月、62歳になる。
時には、複数の素性が混じり合うこともある。マリロウは2012年にバストスの姓で破産申請しているが、当時彼女はまだダンリーと結婚していて、しかも銃乱射のパドックとネバダ州リノで暮らしている。リノの自宅の隣人によれば、マリロウはよくカリフォルニアの娘を訪ねていたという。また隣人たちは、長いこと家を空けることが多いダンリー夫妻を「世捨て人」と呼んでいたという。

事件前、女性に1100万円を送金

一方、複数の米メディアは3日、パドック容疑者が犯行前、フィリピンの口座に約10万ドル(約1120万円)を送金していたと伝えた。送金先は不明だが、容疑者の交際相手の女性(62)はフィリピン出身。捜査当局は、フィリピンに滞在中の女性を「重要参考人」として連絡を取っている。女性は捜査に協力しているという。

動機は依然不明、女性を事情徴収へ

とは言え彼女を容疑者と見ているわけではなく、あくまでのパドック容疑者の犯行動機など、捜査に協力してもらうためのようです。

パドック容疑者と同居していた恋人のマリルー・ダンレーさんから参考人として事情を聞くため、連邦捜査局(FBI)がフィリピン滞在中のダンレーさんに連絡を取って米国に戻るよう要請しているという。
「われわれは彼女と話している」と郡保安官は語り、事件の容疑者はポドック容疑者以外にいないと繰り返した。
捜査当局は、ダンレーさんがパドック容疑者から米国を離れるよう促されていなかったかなどについて事情を聞く方針。ダンレーさんはソーシャルメディアのページで、自身を「カジノのプロフェッショナル」で、母親であり祖母でもあると自己紹介している。

警察は「単独犯」と断定

警察は、犯行に及んだのはネバダ州内の高齢者居住地区に住むスティーブン・パドック容疑者(64)と特定、単独で行ったとの見方を示した。

「イスラム国」が犯行声明 真偽は不明

過激派組織「イスラム国」(IS)が2日、関与を認めた。
ISと関連のあるAMAQ通信は「ラスベガスの攻撃はISの兵士が実行した」とし、この人物は「数カ月前にイスラム教に改宗していた」としている。
声明の内容の真偽は不明。存在感を誇示するため、事件に便乗する形で声明を出した可能性もある。

動機は今のところ不明

弟のエリック(Eric Paddock)さんによると、大量殺人の実行を計画しているような素振りは見せていなかったという。
エリックさんは米メディアに対し、家族はショックを受けており、何が兄を犯行に駆り立てたのかは分からないと説明。CBSニュース(CBS News)のインタビューでは「兄は自動小銃を一体どうやって手に入れたのか。従軍歴などもないのに」といぶかしんだ。

自宅や犯行現場から計42丁の銃器を押収

捜査当局は2日未明、ラスベガスから北東に100キロ余り離れたネバダ州メスキートの容疑者の自宅を捜索。19丁の銃や数千発の弾薬のほか、爆発物も発見された。銃撃を行ったホテルの部屋からは、複数のライフルを含む23丁の銃器が見つかっている。

周到な準備・計画の上での凶行か

容疑者が引き金を引いている間はずっと連射できる「全自動」式に改造した自動小銃を使用した疑いも浮上しており、周到な準備・計画の上での凶行だったことが明らかになりつつある。

各界から哀悼の意 事件に対する反応や影響

トランプ大統領「心からの哀悼と同情を表明する」

ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は2日、ツイッター(Twitter)上で犠牲者への弔意を表明した。
トランプ氏は、「おぞましいラスベガス銃乱射事件の被害者と家族に心からの哀悼と同情を表明する。神のご加護があらんことを!」と投稿した。

「悪の権化のような行為」と強く非難

トランプ大統領はTwitter投稿とは別に声明を発表しています。

トランプ米大統領は2日、ラスベガスでの銃乱射事件に関しホワイトハウスで声明を発表し、犯行は「悪の権化のような行為だ」と強く非難した。
トランプ氏は「悲劇と恐怖に見舞われたとき、米国は一つに結束する。これまでも常にそうだった」と表明。「われわれの結束は悪によって打ち壊されることはない。われわれの絆は暴力によって引き裂かれることはない。われわれは、同胞の市民たちが無分別に殺害されたことに対し、大きな怒りを感じている。だがきょう、われわれを特徴づけるのは愛だ。それは今後も、永遠に変わらない」と述べた。

治安対策の強化進むか

米ネバダ州ラスベガスで起きた銃乱射事件は、1月のトランプ大統領就任後、治安面で最大の挑戦となった。事件の真相究明に全力を注ぐとともに、政権は警察を含む法執行機関の強化など、治安対策を進めるとみられる。

各国首脳も弔意

安倍晋三首相「強い憤りを覚える」

安倍晋三首相は2日、米ラスベガスで発生した乱射事件を受け、「多数の無辜(むこ)の市民が犠牲になったことに、大きな衝撃を受けるとともに強い憤りを覚える」とのメッセージをトランプ米大統領に送った。

プーチン大統領「残酷な犯罪にショック」

ロシアのプーチン大統領は2日、米西部ラスベガスで起きた銃乱射事件をめぐりトランプ米大統領に電報を送り、「数十人もの善良な市民らの命を奪った残酷な犯罪にショックを受けている」と述べ、犠牲者の遺族らに哀悼の意を表明した。

このほか、イギリスのメイ首相、カナダのトルドー首相、タイのプラユット首相もトランプ大統領との電話会談などで哀悼の言葉を伝えています。

ライブ出演者などの反応

ライブ中に事件が発生したジェイソン・アルディーン

事件の現場では、カントリーミュージックのイベント「ルート91ハーベスト・フェスティバル」が行われていました。銃撃の瞬間、そのステージ上ではカントリーの大物歌手・ジェイソン・アルディーンが歌っている最中でした。事件の数時間後にアルディーンはInstagramでコメントを出します。

「今夜のことは恐怖を超えるレベルだ。いまだに何て言っていいかは分からないけど、みんなに僕とクルーは無事だということを伝えたかった。今夜の事件に巻き込まれてしまった人たちのことを想い、祈りを捧げます。楽しい夜を過ごすために来てくれただけの人たちが、こんな目に遭ってしまう可能性があると思うだけで胸が痛いよ」

会場では銃声を聞いたアルディーンがひと言も発することなく舞台袖に逃げたという目撃談が出たことにより、彼を非難あるいは擁護する、さまざまな声が飛び交いました。そして彼は再度メッセージを投稿します。

「この24時間、いろいろな感情が俺に押し寄せてきた。恐怖、怒り、痛み、同情心  。他人の命を奪おうとする人間の気持ちは、俺には到底わからない。この国、この世界では最近何かが変わった。それを目の当たりにするのは恐ろしいことだ。この世界は、子どもを安心して育てられない場所になってしまった。あの日、俺たちは民主党でも共和党でもなく、白人でも黒人でもなく、男でも女でもなかった。俺たちはみんな、人間なんだ。アメリカ人なんだ。そして今、一つになって立ち上がる時なんだ。それが、この国を今までよりも良くする唯一の道だ。(中略)このあまりにもひどい事件の犠牲者とその家族を思うと、本当に胸が痛む。あなたたちの苦しみを取り去る言葉を持ち合わせていないことが残念でならない。これだけは覚えておいてほしい。俺はあなたたちと共にある。一つになって、憎しみを捨てるときが来たんだ」

直前まで出演していたジェイク・オーウェン

アルディーンの数分前まで演奏していた歌手、ジェイク・オーウェンは「想像を絶する出来事」を目撃したと語り、誰もどこへ行くべきか分からない状態だったと述べた。

当日の出演はなかったがステージ裏にいたクリス・ヤング

この日の出演はなかった歌手のクリス・ヤングはTwitterに、「銃声を聞きながら、ステージ裏のトレーラーの床にどのくらいいたか分からない。文字通りまだ震えている」と書き込んだ。

ライブ出演バンドのギタリスト、カレブ・キーター

また、ギタリストのカレブ・キーターは、これまで銃規制には反対だったが考えが変わったとツイッターで表明した。

芸能人・セレブなど各界の反応

当事者だけなく、国内外の著名人たちがこの事件に関してコメントを発しています。

アリアナ・グランデ

今年5月に英国で行ったコンサートで自爆テロが発生したアリアナ・グランデ(24)は「胸が張り裂けそう。私たちには愛、結束、平和、銃規制が必要」と訴えた。

レディ・ガガ

ガガさんはツイッター(Twitter)で「これは単純明快にテロリズムです。テロには人種も性別も宗教も関係ない。民主党と共和党は今すぐに団結して」と訴えた。

テイラー・スイフト

人気歌手のテイラー・スウィフト(27歳)も「亡くなった方にどう申し上げていいか言葉がありません。悲しくて折れてしまった自分の心をどう表現したらいいのかもわかりません」と心の動揺を抑え切れていなかった。

バラク・オバマ

「妻のミッシェルとともに、ラスベガスで起きた悲劇の犠牲者のために祈っています。私たちの思いは、犠牲者の方々の家族、そして無意味な悲劇に耐える、全ての人とともにあります。」

その他各界の様々な著名人がコメントをしています。下の記事などを参照にしてみてください。

エッフェル塔消灯

フランスのエッフェル塔は消灯で哀悼の意を示しました。これはラスベガスの乱射事件のほか、同日にフランスのマルセイユで女性2人が刺殺された事件に対する哀悼も含まれているといいます。

フランス・パリ(Paris)の観光名所エッフェル塔(Eiffel Tower)は2日夜、仏第2の都市マルセイユ(Marseille)と米ネバダ(Nevada)州ラスベガス(Las Vegas)で発生した襲撃事件による犠牲者への追悼の意を示し、消灯された。

2015年のパリ同時多発テロの際にネオンが消えたラスベガスの“エッフェル塔”と比較する写真を投稿する人も。

ラスベガスのネオンも追悼の表示

事件発生から2日目の夜を迎えたラスベガス中心街では、普段はきらびやかな広告のネオンサインが犠牲者の追悼と現場に駆け付けた人々への謝意を示す表示に切り替わった。

市民が献血に協力 長蛇の列

負傷者の数が急増したことを受け、警察は市民に献血を呼び掛け。事件翌日に現地のある中華レストランは店をいつもより早く開け、麺料理およそ200食を献血の列に並ぶ人たちに無料で届けたという。また、オーナーの友人の男性も5時間以上並んで献血に協力。男性によると、献血に訪れる人は後を絶たず、さまざまな人種の人が順番が来るのを静かに待っていたそうだ。

プロ野球・日本ハムのレアードが緊急帰国

いとこが事件に巻き込まれ死亡

日本ハムのブランドン・レアード内野手(30)が、いとこのクリスティーナ・ドゥアルテさん(22)が米ネバダ州ラスベガスで1日(日本時間2日)に起きた銃乱射事件に巻き込まれて亡くなったため、あす4日、米国へ帰国することになった。

新作映画のレッドカーペットが中止に

銃撃事件を受け、ハリウッドで3日に予定されていた新作映画『ブレードランナー 2049』(日本公開10月27日)のプレミア上映会でのレッドカーペット・イベントを中止すると発表した。
2日に予定されていた映画『Marshall(原題)』のレッドカーペット・イベントも中止された。

懸念されるラスベガス観光への影響

ラスベガスで起きた銃乱射事件は、観光が支えるネバダ州南部の経済圏に暗い影を落としそうだ。雇用の4割超を観光業が支えているとされる同地域で、事件の影響により観光客が減少する恐れもある。

一方で…銃乱射事件にも屈しないカジノ客たち

カジノホテル「マンダレイ・ベイ(Mandalay Bay)」では、2日の昼過ぎにバーテンダーがハッピーアワーのスタートを告げるとカジノに興じる客たちから歓声が上がった。
カジノフロアでAFPの取材に応じたクックさんは「ここで起きたことを考えないようにしている。事件に巻き込まれた人たちのことを思うとつらい。彼らや彼らの家族のために祈っている」と語った。「でも前に進まないと。事件のことばかり考えていたら、一生、怖がることになる」

惨事で再浮上する「銃規制」強化論争

アメリカで銃乱射事件が起きるたびに巻き起こる「銃規制」の議論。これに関連する記事をいくつか紹介しておきます。

事件が起きたネバダ州は規制が緩め

ネバダ州の銃規制法が全米50州の中でも極めて緩いことも犯行の背景となったとみられる。
ネバダ州では、銃を購入する際に身分証などの提示を必要とせず、州当局への所有の届け出や、許可証の取得制度などもない。
また、銃器を衣服の下などに隠して持ち歩く際は許可証の取得が義務づけられているものの、腰のホルスターに差すなど周囲から見える形で銃を携行することは合法とされている。機関銃に関しても連邦法に基づき正規の登録手続きを行っていれば所有可能だ。

一時期、攻撃用武器が禁止されていたが…

連邦法として半自動小銃の販売を禁止していた時期もありましたが…

そうした武器は、1994年に施行された攻撃用武器規制法で禁止されたが、同法は2004年に失効した。一部の政治家が同法を復活させようと試み、あと一歩のところまで迫ったものの、2012年にコネチカット州のサンディフック小学校銃乱射事件が起きた後も、復活には至っていない。

事件後に銃器メーカーの株が上昇

株式市場では事件後、銃メーカーの株価が上がった。事件を契機に「銃規制の議論が強まる」(米メディア)とみて、規制強化の前に銃器を購入する動きが広がるとの予想を、投資家が持ったためだ。
スミス&ウェッソンの持ち株会社やスターム・ルガーの株価は2日、一時3〜5%の上昇を記録した。

共和党vs民主党 銃規制をめぐる立場の違い

アメリカの銃規制については二大政党、共和党と民主党の立場の違いを知っておく必要があります。
銃所持の権利推進団体であり“ロビー団体”の顔も持つ全米ライフル協会(NRA)の影響下にある共和党は銃規制に対してノータッチの姿勢、一方の民主党は銃規制に前向きに取り組む政党として知られています。

両党の反応はこれまでと変わらず

米ラスベガスで1日に起きた銃乱射事件では死者が少なくとも59人に上り、米国史上最悪となったが、政治家の反応はこれまでの銃撃事件と変わっていない。民主党が銃規制の強化を訴える一方、共和党に規制強化を支持する動きは見られない。

6月に共和党議員団が銃撃されているのに…

NRAの支援を受けているのは共和党議員も同じだ。このため、6月には共和党議員団が銃撃され、幹部の1人が瀕死(ひんし)の重傷を負う事件まで起きているにもかかわらず、「共和党が議会の多数を握っている限り、銃規制強化はほぼ確実にできない」(ワシントン・ポスト紙)のが実情だ。

規制強化につなげようと躍起になる民主党

オバマ前政権が推し進めた銃規制強化を求める運動はトランプ政権発足で下火となり、民主党は今回の事件を規制強化につなげようと躍起だ。
クリントン氏はツイッターに「政治は横に置いて、二度と起きないよう協力しなければならない」と投稿し、銃規制に向けて団結するよう訴えた。また民主党上院トップのシューマー院内総務は「議会がすべきことは、市民を安全に守るための法案を通すことだ」と強調。民主党下院トップのペロシ院内総務は、銃による暴力を調査する委員会を立ち上げるようライアン下院議長(共和党)に求める公開書簡を送った。

バイデン前副大統領「もうたくさんだ。議会とホワイトハウスは行動すべき」

バイデン前副大統領はツイッターに「もうたくさんだ。議会とホワイトハウスは命を救うために今行動すべきだ」と投稿。マーフィー上院議員は声明で「同僚議員が銃産業を恐れて何もしようとしないのはひどく腹立たしい」と指弾した。

トランプ大統領は銃規制論議に消極的

民主党からは銃規制を訴える声が強まる中、昨年の大統領選でNRAの強力な支援を受けたトランプ氏とトランプ政権は規制強化に慎重姿勢を示しています。

サンダース大統領報道官「議論は時期尚早」

サンダース氏は2日の会見で、トランプ氏は「国民の武装の権利」を認めた合衆国憲法修正2条を「強く支持してきた」と指摘。銃規制について問われると「事件の全容が分かっていない段階で、議論するのは早すぎる」と強調した。

トランプ大統領も5分間の演説で銃規制には触れず

事件から一夜明けた2日、トランプ大統領はホワイトハウスから国民に向けて演説し、「純然たる悪の所業だ」と無差別の銃撃を批判した。しかし、約5分間の演説中、銃規制には最後まで触れずじまい。乱射事件が起きるたびに銃規制強化を国民に訴えていたオバマ前大統領とは対照的だ。

「何ともやり切れない話です」

アメリカ在住の作家・冷泉彰彦氏は、今回の事件についてのコラムを次のような一文で締めています。

トランプは銃規制論議には消極的ですし、仮にギャンブルやカジノの問題が議論される場合も、そもそも大統領自身がカジノ業界出身ですから、真面目な議論にはならないでしょう。何ともやり切れない話です。

今回、このページを作成するために現時点でのさまざまな情報に触れましたが、そんな中でも全く見えてこなかったのは犯行の動機です。犯人の人物像について「裕福な男」「父親が重要指名手配犯」といった情報があるものの、いずれも動機に直接結びつくようなものとは言えません。また、犯人が自殺してしまっているため、遺書や声明文などが見つからない限り、動機の解明は難航しそうな気がします。
このような惨事を二度と繰り返さないためにも、動機の解明とともに銃規制の議論も前進してほしいものです。

関連ニュース