特集2017年10月30日更新

相次ぐ不祥事で信頼揺らぐ“日本のモノづくり”

9月末からわずか1カ月の間に日産自動車、神戸製鋼所、SUBARU(スバル)と、国内製造業大手の不祥事が相次いで発覚。品質管理が軽視され消費者の安全が脅かされるとともに、世界に誇ってきた「メイド・イン・ジャパン」の品質への信頼が大きく揺らぐ事態になっています。

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悪質な神戸製鋼に対して、被害者のJR東海が発した深いメッセージ

まぐまぐニュース! / 2017年11月24日 4時45分

我が国を代表する企業のひとつ、神戸製鋼所による品質データ改ざん問題。8月の判明以来次々と明るみになる「不正」に、国内外が騒然となりました。 [全文を読む]

目次

9月29日、日産が国内全工場での検査不備を公表 

約120万台のリコール実施

日産自動車は2017年9月29日、製造車の最終工程にあたる完成検査を無資格者が実施していたとして、軽自動車を除く全21車種、計約6万台の販売を一時停止すると発表した。

「完成検査」を資格のない「補助検査員」が一部実施

日産は国内にある6カ所すべての完成車工場で、社内で認定を受けた「完成検査員」がすべき完成検査を、資格のない「補助検査員」が一部実施していたと発表した。
完成検査とは、ライトの点灯状況、ハンドルやブレーキの利き具合など安全性を出荷前に最終的にチェックする作業。道路運送車両法に基づき、国を代行する形で自動車メーカー各社が実施することが認められており、社内の研修を受けて認定された従業員が検査すると決められている。

10月6日に約116万台リコール 25日に追加リコール

検査不備を受けて日産は10月6日に約116万台のリコールを発表。しかし、「再発防止策を講じた」と発表したあとも無資格検査が一部工場で続いていたことが発覚(後述)したため、25日に新たなリコールを届け出ました。

日産自動車は6日、無資格者が完成検査の一部を行っていた問題で、安全性などを再点検するため、初回の車検をまだ受けていない2014年1月6日から17年9月19日までに製造された計38車種、約116万台のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。
日産自動車は25日、資格のない検査員が完成検査を行っていた問題で、計30車種、3万8650台の追加リコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。
これにより、無資格検査関連のリコールは、約120万台となった。

リコールによるコスト負担は約250億円か

10月2日に行われた会見で日産の西川廣人社長は今回の件で発生するリコール費用は「ざっくり250億円」との見通しを示しています。

基本的に部品の交換は前提としていない点検ですが、121万台ともなれば、その対策費は嵩むことは自明。現時点では「ざっくり250億円」を考慮していると西川社長は会見で語りました。

国土交通省の抜き打ち検査で9月に発覚

無資格者による検査でも書類には有資格者の押印

日産の不正は、国交省が9月18日以降に実施してきた6つの完成車工場への立ち入り検査で判明した。同省によると、補助検査員が完成検査を行っていたにも関わらず、検査結果を記録する書類には完成検査員の印鑑を押印していたほか、検査にあたった従業員には必要な研修を受けていない期間従業員も含まれていたという。

「偽装」を指摘する記事も

国土交通省の立ち入り検査で、有資格者が検査していたように書類を偽装していたことが明らかになった。組織ぐるみで悪質な行為を繰り返していた可能性があり、経営責任を問われる事態に発展しそうだ。
新聞各社の報道によると、工場では書類上は実際にはやっていない資格者が検査したように偽装するための印鑑を貸し出すなど、組織ぐるみで法令を無視する気マンマンだったふしもあるという。

石井国交相「型式指定制度の根幹を揺るがし極めて遺憾」

石井啓一国土交通相は3日の閣議後会見で、日産自動車で無資格の従業員による完成検査が実施されていたことについて「自動車の使用者などに不安を与え、かつ自動車の型式指定制度の根幹を揺るがすものであり、極めて遺憾だ」と述べた。

問題発覚後も無資格者検査が一部で継続

日産自動車が新車出荷前の完成検査を無資格者が一部行っていた問題で、9月に国土交通省から不正を指摘され、西川廣人社長が今月2日に謝罪会見した後も、一部の工場で11日まで無資格者が一部検査を続けていたことが分かった。
無資格者による検査が一部続いていたのは、追浜工場(神奈川県横須賀市)と栃木工場(栃木県上三川町)、日産車体の湘南工場(神奈川県平塚市)、日産自動車九州(福岡県苅田町)。さらに同4工場では、本来、国交省へ事前に届け出たラインで実施しなければならない完成検査の一部の項目が、届け出とは違う場所で行われていた。弁護士など第三者を中心とするチームや社内の調査で発覚した。

全6工場で国内向けの出荷などを停止

今回の再発覚により、日産と日産車体を含む全6工場で生産している国内市場向けの全車両について、完成検査業務・車両出荷・車両登録の停止を決定した。

西川社長「言い訳のしようがない」

問題の再発覚を受けて西川社長は19日に再び会見を開き、「大変申し訳ない」「不徹底という以外、言い訳のしようがない」などと述べました。

問題発覚後も不正が続いた理由について、同社長は「過去からずっと続けてきたことをいきなりダメと言われても改められなかった」などと、長年の習慣を即座に修正する難しさを指摘する一方、自身の経営責任については「再発防止を徹底して正常な生産に戻す。顧客の信頼を回復し、会社を成長軌道に戻すことが責任」と述べた。

11月初めに調査結果を報告する方針

新車の無資格検査で揺れる日産自動車は、スキラッチ副社長執行役員が会場で記者会見し、社内調査の結果を11月初めに国土交通省に報告する見通しを示した。

10月8日、神戸製鋼所が製品の品質データ改ざんを発表

当初は「アルミ・銅」製品の一部だったが…

神戸製鋼所は8日、自動車や航空機などに使われているアルミや銅の製品の一部について、強度などを示す検査証明書のデータを書き換え、顧客と契約した製品仕様に適合しているように見せかけ出荷していた不正が判明したと発表した。

不正は「10年前から組織的に」 国産旅客機MRJや新幹線などにも供給

強度や耐久性のデータを改ざんした製品がMRJを開発した三菱重工やトヨタ自動車など200社の企業で採用されていたことを紹介。同社は8日にデータ改ざんがあったことを認め、梅原尚人副社長が記者会見で謝罪するとともに、「10年前から改ざんが日常的に、組織的に行われていたとみられる」と明かした。一方、三菱重工は「MRJの開発には影響しない」とコメントしている。
データが改ざんされていたのは、2016年9月から17年8月末までに神戸製鋼が出荷したアルミ製品や銅製品など。広報担当者によると、同社がこの期間に出荷したアルミ・銅製品の4%に相当し、出荷先は約200社にのぼる。

11日、鉄粉・ターゲット材でも不適切行為と発表

神戸製鋼所は11日、アルミ・銅製品の性能データを改ざんした問題で、これ以外にも、鉄粉とターゲット材でもデータの書き換え等の不適切行為が行われていたと発表した。
同社の高砂製作所で製造した鉄粉製品において、顧客との間で取り交わした条件を外れた製品の検査データを書き換えていた。
もう1件は、コベルコ科研のターゲット材。ターゲット材とは、光ディスクの材料。顧客数は70社で出荷枚数は6611枚。顧客との間で取り交わした検査の未検査・検査データの書き換えが行われていた。

会長兼社長「信頼度はゼロに落ちた」 新たな不正事案発生にも言及

神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長は12日、経済産業省内で記者団に対して、アルミ・銅製品などで性能データを改ざんしていたことについて「品質不正で神戸製鋼の信頼度はゼロに落ちた」と厳しい現状認識を示した。
その上で、まだデータの突合せ作業が終わっていないことから「今後、新たな不正事案が発生する可能性がある」と述べ、実際に国内外で複数の「疑わしい事案がある」ことを明らかにした。

13日、主力事業の鉄鋼製品でもデータ不正と公表

神戸製鋼所は13日、これまでに性能データ改ざんが発覚したアルミ・銅製品などに加え、グループ会社においてさらに銅合金管・モールドなどの9製品で検査データ書き換えなどの不正行為があった、と発表した。

納入先は約500社に 福島第二原発にも納入

対象となる納入先企業はこれで約500社に達した。守秘義務があるとして具体名は明らかにしなかったが、海外企業も含まれている。また、実際には使われていないが、東京電力の福島第二原発にもデータをねつ造したチューブが納入されていたことも判明した。
新たに発覚した改ざんには、鋼線やステンレス鋼線が含まれる。いずれも神鋼が看板とする線材製品だ。

20日、自主点検で隠蔽工作があったと発表

内部告発で判明

神戸製鋼所は20日、製品の性能データ改ざん問題で、不正行為が明らかになったにもかかわらず、自主点検や緊急監査の際に報告していなかった事案があったと発表した。一部管理職を含むグループ従業員が行っていたという。
山口県下関市の長府製造所では、アルミ製品の寸法が注文の仕様書の寸法をはずれていたのに、検査データを書き換えて出荷していた。この事実は2017年8月までの同社の社内調査では報告されていなかった。その後、社内の相談窓口に内部告発があり、10月19日に不正の事実を確認したという。
長府製造所では工場の管理職を含む従業員が不正の発覚を恐れ、工場の自主点検や本社の緊急監査でもデータ書き換えの事実を報告していなかった。

JISマーク表示製品で不適切な行為も

神戸製鋼は同日、JIS(日本工業規格)マーク表示製品で不適切な行為があったと発表。これについて、梅原尚人副社長は「JIS規格外での書き換えは法令違反になる」との認識を示した。
新たにJIS違反の疑いが浮上した銅製品は神奈川県の子会社が製造する空調用や給湯用の銅管で、8日に発表した一連の不正な品目に含まれていた。その時点で神戸製鋼は「法令違反はない」と主張していたが、JISの認証機関である日本品質保証機構の審査を10月19日から受け、「JISを満たしていないものがある」と指摘されたという。

26日、子会社の工場でJIS認証取り消し

神戸製鋼所は26日、アルミ・銅製品などの品質データ改ざん問題で、子会社の工場が一部製品の日本工業規格(JIS)認証を取り消されたと発表した。
JIS認証を取り消されたのは、子会社のコベルコマテリアル銅管の秦野工場(神奈川県秦野市)。民間認証機関が品質管理体制を調べ、基準を満たしていないと判断した。

新たに4件で不正の疑い

鋳物や減速機などで不正の疑いがある4件の事案が新たに判明。
新たに不正の疑いがあるのは、本社の機械事業部門が手掛ける塗膜処理サービス、グループ会社の神鋼造機(岐阜県大垣市)が扱う鋳物と減速機、コベルコ科研(神戸市)の試作合金。製品の仕様を満たすよう、検査データを改ざんするなどしていたという。

出荷先の8割で安全性を確認

神戸製鋼所は26日、性能データを改ざんした製品を出荷した525社のうち、約8割の437社で一定の安全性が確認されたと発表した。残り88社のうち、26社は海外の企業だという。

10月27日、スバルも無資格検査を発表

不正が30年以上前から常態化

自動車大手SUBARU(スバル)は27日、完成した車両の安全性をチェックする「完成検査」を、無資格の従業員が行っていたと発表した。
社内で認定されていない複数の従業員が検査する不正が30年以上続いていた。

25万台以上のリコールを検討 費用は50億円強

無資格者による検査を経て出荷された車を持つ顧客の安心・安全を確保するため、初回の車検がまだ済んでいない計12車種、約25万5000台のリコール(回収・無償修理)を実施する予定。リコール費用は50億円強となる見通し。

日産の事案を受けて実施した社内調査で発覚

国土交通省が9月29日、日産の不正問題を受けて自動車各社に社内調査を指示。これを受けたスバルの調査では、完成検査員に登用する前の研修中の従業員が本来関わってはいけない完成検査に従事していたことが10月3日に分かり、直ちに是正したという。

日産と同じく書類には有資格者の押印で「偽装」

スバルは、9月に無資格検査が発覚した日産自動車と同様、資格を得るため研修中だった従業員に検査工程を単独で担当させていた。検査書類への押印に、認定検査員から借り受けたはんこを使用する点も共通していた。
だが、吉永氏は「代行の範疇(はんちゅう)だった」と述べ、書類偽装には当たらないとの認識を示し、無資格従業員にも検査能力があったと強調。

吉永泰之社長「規定の不備。正しいと思ってやった」

「社内規定の不備だった」「正しいと思ってやってきた」。新車の無資格検査が発覚したSUBARU(スバル)の吉永泰之社長は27日、本社(東京都渋谷区)で開いた緊急記者会見で、悪意はなかったと強調した。検査自体は「相当にきちんとやっている」と自信を見せた一方、生産した車両については「安全といえばおかしいし、安全でないといえばもっとおかしくなる」と述べた。

「日本のものづくりの不安要素になることに忸怩たる気持ち」

スバルの吉永泰之社長は都内の本社で記者会見し、「自分の会社が日本のものづくりの不安要素になることに、忸怩(じくじ)たる気持ちがある」と述べ、謝罪した。

わずか2日前には「メイド・イン・ジャパン」の信頼毀損を「非常に心配」と発言

不適切検査発表のわずか2日前となる25日には「東京モーターショー」の会場で、日産や神戸製鋼所の不正問題も踏まえ、吉永社長は以下のように発言していました。

日本にとって大事なものづくりの信頼が損なわれていることを非常に心配している。ものづくりのそれぞれの現場は本当に一生懸命やっているので、当社自身、そして日本全体で(信頼を維持し、高める対応を)しっかりとやっていかなければならないと強く感じている。

不正を知ったのは10月11日 「隠そうとしたつもりはない」

吉永社長がこの事実を知ったのは、10月11日。しかし翌12日には社内調査の状況について記者から問われた際、「今のところ問題ない」と発言していた。スバルが事実を発表したのは、その2週間以上先の27日。遅すぎるタイミングだ。これについて吉永社長は「隠そうとしたつもりはない。無資格検査を止めたことや、国交省とやりとりがあるので、30日までに答えを出せばよいと思っていた」としおらしく釈明した。

ほかの自動車メーカーは大丈夫?

トヨタ、ホンダなどは「問題はない」と国交省に報告済み

日産、スバルと続くと、「ほかの自動車メーカーも無資格検査をやっているのでは?」という疑念が湧きますが、スバルの問題発覚に結びついたように、国土交通省が国内自動車メーカーに対し、同様の問題がないか調査して1カ月以内に報告するよう指示しています。

国交省は、日産の不正を踏まえて自動車メーカー各社に10月末までに完成検査の状況を調査し、不正がないか報告を求めている。日産、スバル以外のトヨタ自動車、ホンダなど6社は27日までに同省へ「問題はない」との報告を済ませている。

「日本製の神話は崩壊」の声も…揺らぐ日本のモノづくり

ここ数年、日本の製造業では不祥事が相次いでいます。三菱自動車の燃費試験不正、タカタ製エアバッグのリコール問題、東芝の不正会計問題、不祥事ではありませんが三菱航空機のMRJ開発遅れとそれに伴う債務超過、などなど。かつては高品質・高性能の代名詞だった日本の製造業の信頼が大きく揺らいでいます。
ここからは各界からの反応、コラム記事や海外の反応を伝える記事の中から気になったものを紹介します。

政治家や同業他社からの反応

世耕弘成経済産業相「個別の会社の特異な問題。他の現場に広がらないように」

日本の産業の担当省庁と言える経済産業省の世耕弘成大臣は、相次いだ不祥事について何度も発言をしています。
まずは20日の閣議後の会見で。

企業の不祥事が相次いでいることに関して「今後、原因究明が行われる中で、ガバナンスの問題なのか、経営陣の現場の掌握に問題があるのか明らかにして、産業界全体で共有し、二度と起こらないように取り組むことが重要」と語った。

24日の閣議後の会見で。

日本の製造業への不信感が海外に広がっているとの質問に対し世耕氏は、「今回は個別の会社の特異な問題。他の企業、他の現場に広がらないようにしていく」などと話した。

26日の公開インタビューで。

世耕弘成経済産業相は26日、英エコノミスト誌による公開インタビューに参加し、神戸製鋼の不正データ問題について「特殊なケースだ」と指摘しつつ「東芝や商工中金などでは社外取締役が形骸化している」とし、日本企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)は「課題がある」とした。

石井啓一国土交通相「日本のモノづくりに対する信頼を揺るがし遺憾」

自動車の整備事業やリコールなどを管轄する国土交通省の石井啓一大臣も何度か発言しています。
こちらもまずは20日の閣議後の会見で。

製造業で相次いで不正が発覚していることについて石井国交相は「高品質で安心・安全と評価されてきた日本のモノづくりに対する信頼を揺るがす事態で、極めて遺憾だ。徹底的に原因を究明し、再発防止策を講じるなど、1日も早い信頼回復に向けて取り組みを進めてほしい」と重ねて要請した。

日産に続きスバルの不正も発覚した27日の閣議後会見では、完成検査の見直しに言及しています。

国内自動車メーカーで相次いで無資格者による完成車検査が発覚していることを受け、「完成検査を確実に実施するため、見直す点がないか検討していきたい」と述べ、検査制度の見直しを検討する考えをあらためて示した。

元神鋼社員の安倍晋三首相「誠実な責任感を取り戻してほしい」

安倍晋三首相は衆院選の投開票が行われた22日夜のテレビ番組内で次のように発言。

神戸製鋼や日産自動車の社内不正が多発し日本の産業界に対する不信感が広がっていることについて「誠実な対応を取り戻してほしい」と述べるとともに、「日本のモノづくりの信頼回復に向け、政府と産業界が一丸となって取り組んでいきたい」と述べた。

ちなみに安倍首相は政界進出前、神戸製鋼所に勤務していて、「品質を高めていくために職場で知恵を出し合い、汗を流すのが日本のものづくりの強さだった」と自身の会社員時代を振り返っています。

菅義偉官房長官「産業界全体で調査結果の共有を」

27日午後の会見で。

「産業界全体で調査結果を共有し、同様の事案が他で起きないように努めることが大事だ」と強調した。
菅長官は「個別の会社の特異な問題」とも指摘し、関係企業に徹底的な原因究明と再発防止を要求。

トヨタ自動車・豊田章男社長「再発防止をし続けることが日本のものづくりの強み」

23日、次世代タクシー「ジャパンタクシー」の出発式で。

記者から神戸製鋼所の性能データ改ざんについて問われ、間違いが起きたときは「一歩立ち止まり、『現地現物』で全員が心をひとつにして、安心・安全を確保するために動くことだ」と述べた。
製造業は「人が営んでいることであり、ある程度ばらつきもある」とし、間違いが起きたときは二度と起こらないように再発防止をし続けることこそが「日本のものづくりの強みだと思う」と語った。

27日、東京モーターショーの会場で日産とスバルの問題を受けての発言。

全社員で真の原因を追究して再発防止をすることも「日本のモノづくりの強み」と指摘。状況に応じて検査の方法を見直す必要性も示唆し、国と民間企業が協力して「より安心安全を守る方法を探っていく」との考えを示した。
昔は世界に日本のモノづくりに対する信頼などなく、先人の努力があったからこそ今の信頼があるとし、「現役のわれわれも今の評価よりもこれからの評価のために今、何をするかを皆、考えていくべきだ」と強調した。

ホンダ・八郷隆弘社長「製造業として非常に問題で遺憾」

25日、東京モーターショーの会場で。

「(神戸製鋼と日産の不正という)一連の件は、製造業としては非常に問題で、遺憾に思う。従来の日本のものづくりは現場が強いということが強みだった。もう一度、日本のものづくりが強くなるよう、われわれマネジメントとしては、製造現場に足を運んで現場がしっかりできるような環境を作ることを肝に銘じてやっていきたい」

三菱自動車・益子修CEO「間違いが起こらないシステムをいかに作り上げるか」

25日、東京モーターショーの会場で。

日産、神戸製鋼だけでなく、われわれも去年、非常に大きな問題を起こした。間違いが起こらないシステムをいかに作り上げるか。人間が犯す間違いをシステム化でどれだけ防げるのか、私たち自身の問題として取り組んでいかなければいけない。

不正が相次ぐ原因は?

各社とも原因究明や社内調査を行っている段階であるため、はっきりとした原因は明らかになっていませんが、いくつかの記事では原因を憶測するものもあります。それらをいくつか紹介します。

日本の企業は家族経営だから?

日本の大企業はなぜ簡単に不正を隠蔽するのか。
「家族経営だからです」とは危機管理コンサルタントの田中辰巳氏(リスクヘッジ代表)だ。
「日本人は自社を『ウチの会社』と呼ぶように会社への帰属意識が強いため、上司などの不正に気付いても報告できない。“上司のおかげで出世できた”という儒教的な発想も大きい。こうした『村意識』が今も続いているのです。しかも自分たちは大企業で信用力と技術力があるから、多少の不正をしても会社に傷はつかないとタカをくくっている。中小、中堅企業の社員よりずっと危機感が脆弱なのです」

完成検査で不具合が見つかる可能性が低いから?

日産の問題についてのコラム記事です。

なぜ、再度社長が再び謝罪し、さらにブランドイメージを大きく損ねかねない不正検査が横行していたのだろうか。背景には、実際の現場では完成検査により不具合が見つかる可能性がかなり低いということもあるかもしれない。

人員不足?

人員不足が原因ではないかと指摘する記事は多くありました。

問題の背景として、「日産は検査員の数が足りず、やりくりしていたのではないか」という声は同業他社に根強い。実際、日産で資格を持つ検査員は約300人なのに対し、国内生産が日産より少ないマツダは約600人。日産では長く経営トップを務めたカルロス・ゴーン会長の下、世界の工場で生産効率を競わせてきた。その過程で、国内工場の生産効率を高めることに注力しすぎ、法令遵守体制が次第におろそかになった可能性も否定できない。

ただし日産の西川社長は、2日の会見では人手不足が原因という見方を否定。一方で、19日の会見では検査員の不足が背景にあることも認めたといいます。

拡大戦略の中で人手不足が原因ではないかとの見方に対しては、「人手が足りなくなる中で起きたのではない」と否定した。
10月19日に再び記者会見を開いた西川社長は、「日本のものづくりは、現場の自立性や強さが基本だ。ただし、それを管理する側がお任せでいいというわけにはいかない」と述べ、現場任せにしすぎたことが一因であるとの認識を示した。そのうえで、検査員の不足が背景にあることも認めた。

日本のモノづくりの強み「あ・うんの呼吸」では通用しなくなった?

こちらはスバルについての記事。

なぜ無資格検査が起きたのか。それは、生産現場のルールが形骸化していたことに起因する。スバルの長い歴史の中で引き継がれ、常態化してきた現場での悪しき慣習が、今回日産の問題をきっかけに明るみになった。知識や技術を継承する中で明文化されない「暗黙知」や「すり合わせ」によって回っていた現場は、日本のものづくりの強さともいえる。
だが、グローバル化によってマニュアルによる明文化や契約の厳格化が求められる今の時代、あらゆる業務は「あ・うんの呼吸」では通用しなくなっている。

「完成検査」の制度に問題が?

上で石井国交相が「完成検査の見直し」に言及したことを紹介しましたが、この完成検査について問題があると指摘する声も。
ただ、完成検査には新車をすみやかに出荷できる利点があるといいます。

完成検査員がどういった研修や技量を持っているかは、各自動車メーカーに任されているものの、「検査に必要な知識及び技能を有する者のうち、あらかじめ指名された者」という国交省の指針がある。その指針を順守し、国交省に代わって自動車メーカーが完成検査をするからこそ、1日に何台もの新車をすみやかにラインオフできるわけで、決して不正をしていいというわけではない。
日産の問題では、「検査に必要な知識及び技能を有する者のうち、あらかじめ指名された者」という国土交通省のざっくりとした通達にも問題があるという指摘もあるし、完成検査員になるまでの規定はメーカー任せになっている。
国土交通省や石井啓一大臣は、一部報道によると完成検査の見直しに触れているようだが、曖昧な通達内容は見直す必要があるのかもしれない。

神鋼に染み付いた偽装・隠蔽体質

神戸製鋼所については、もともとあった偽装・隠蔽体質が指摘されています。

神鋼は1990年代以降、総会屋利益供与や違法献金を含め、何回も不祥事を繰り返している。昨年6月にグループ会社でステンレス製品の日本工業規格(JIS)違反が表面化した後も改ざんが続いていたということは、同社にしみ付いた偽装・隠蔽体質は極めて根深い。
1999年の総会屋利益供与、2006年の工場排煙データ改ざん、2009年の違法献金(社長辞任)も含め、不祥事を繰り返す企業体質の抜本的改革も必要だ。

「弱小」メーカーゆえの焦り?

こちらも神戸製鋼所について。

ブルームバーグは、近年、日本の鉄鋼メーカーでは大手同士の統合が進んでおり、神戸製鋼はその流れの中で「弱小から消えゆくプレイヤーになりつつある」と指摘。ライバルにない建設機械などの多角経営が強みではあるが、最大手の新日鉄住金やJFEホールディングスなどに挟まれて焦りがあったのではないかと分析している。

ほかにも神戸製鋼所の品質データ改ざん問題に関するコラムは非常に多く目につきました。

「メード・イン・ジャパン」への信用失墜か 海外からの反応

欧米メディア「日本全体の信頼低下を招く」

ロイターは、タカタ、日産の不祥事と共に三菱自動車の燃費不正問題、東芝の粉飾決算スキャンダルを挙げ、「長年高品質な製品で世界をリードしてきた日本企業の評判をさらに傷つけた」と、神戸製鋼の発表に対するアナリストの見方を示している。フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、旭化成建材の杭打ちデータの偽装問題にも触れ、やはり日本の製造業全体の信頼が損なわれつつあると指摘している。

ロイター「Keiretsu(系列)システムの崩壊」

ロイターは、日本メーカーに相次ぐ不祥事の要因として「系列システムの崩壊」を挙げています。

かつて、日本メーカーは「Keiretsu(系列)」という独特の仕組みに支えられ、収益と品質を維持してきたとロイターは指摘する。しかし、「国内市場の縮小と国際競争の激化に苦しむ中、ケイレツに頼っていた製造業者は現代のコンプライアンス・スタンダードを満たせなくなった」と見る。
系列システムの崩壊により、大手メーカーは部品を供給する子会社やサプライヤーへの投資を減らし、品質チェックにも時間を割かなくなったことが、品質管理体制の低下や不正の横行の要因だと、ロイターに答えた識者は指摘する。

これらのほか、下の記事ではカタール、イギリス、アメリカ、ドイツ、ロシア、インドなど世界中のメディアや有識者の報じ方、見解がいくつも紹介されています。

中国メディア「信じられない」「日本の信頼に甚大なダメージを与える可能性」

10月9日、環球網は、神戸製鋼所が日本の国産旅客機MRJなどに供給していたアルミニウム合金や銅製品のデータを改ざんしていたことについて、「信じられない」との見出しを付けて報じた。
アナリストは「神戸製鋼所のスキャンダルは、長きにわたり高品質で定評のあった日本の製造業の信頼に甚大なダメージを与える可能性がある」と指摘しているという。

中国メディア「神の領域にあった日本の製造業が転落した」

中国メディア・新華社は11日、先日発覚した神戸製鋼所の品質データ改ざん問題について、「神の領域にあった日本の製造業がもはやその地位から転落した」との見方が出ていることを伝えた。

中国ネットユーザー「勤勉で厳格な日本人というイメージが一気に崩壊」

中国のネットユーザーからは「仕事に対して勤勉で厳格な日本人というイメージが一気に崩壊した」という失望の声や、「ネット上で毎日のように日本のことを褒めそやしているヤツらに聞きたい。これでも日本にはニセモノやインチキがないと言えるのか?」「これが日本人本来の性格。日本には善良で誠実な文化などないのだ」といった手厳しいコメントが寄せられている。

アンケート「日本製神話は崩壊した」75%

10月12日、日本の神戸製鋼所のデータ改ざんを受け、中国メディア・環球網が「日本製の神話は崩壊したと思いますか?」というネットアンケートを実施している。
13日昼の時点で「崩壊した」が971票(75%)、「していない」が320票(25%)となっている。

こういった中国メディアの論調を伝える記事は山のようにあったので、URLだけ一気に紹介しておきます(これでも一部です)。

「日本製造業の神話が崩壊」に異なる見解も

一連の問題に対して中国では「日本製造業の神話が崩壊」との報道も見られているが、中国の自動車情報サイト・汽車之家が26日に掲載したコラムでは違った見解が示されている。
一連の問題は日本の自動車産業に影響を与えることは間違いない。ただ、これらの問題は国が検査して発覚したものではなく、企業自らの調査により分かった問題だ。このことからも、「日本企業内部の監督機関が機能している」ということがわかる。

韓国メディア「日本の恐ろしい回復力に注目」

韓国紙は失敗の原因を見つけて、問題を解決する日本の「回復力」に注目している。
「日本はいつも失敗から学び、より強くなったという点を忘れてはならない。2009年のリコールにより、すぐにでも倒産しそうだったトヨタは完全に復活した」とも強調。「『日本製』の神話は揺れているが、われわれはその現象より、失敗の原因を見つけて、問題を解決する日本の恐ろしい回復力を直視しなければならない」としている。

今回、日産、神戸製鋼所、スバルの3社を並べて紹介しましたが、記事をまとめていて気付いたのは、神戸製鋼所の記事が圧倒的に多いことです。これは、いずれの不祥事も品質管理に関することながら、BtoCの日産とスバルに対してBtoBの神戸製鋼所の不正は各所への影響があまりにも大きいからのようです。新幹線から防衛産業、海外の自動車・航空機メーカーに至るまで約500社に影響が及んでいるというのは、まさに日本のモノづくりへの信頼が揺らぐ危機的状況と言えるでしょう。
一連の不祥事で「メイド・イン・ジャパン」の信用失墜が懸念されているものの、韓国メディアが指摘しているように、しっかりと問題の原因を究明して対策を施し、「恐ろしい回復力」を見せて不祥事発覚前よりも厚い信頼を獲得できるよう、各社には努力してほしいところです。

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