特集2017年4月27日更新

Twitterを超える?!最近話題のSNS「マストドン」

最近話題のSNS「マストドン」。日本のネットユーザーの間で、最近急速に注目を集めています。Twitterライクながらも、Twitterの弱点をカバーする“ポストTwitter”的な存在かもしれません。でもまだ、そんな「マストドン」について知らないことも多いので、その魅力を探っていきましょう。

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マストドンって、いったい何?

Mastodon(以下マストドン)とは、SNSの一種です。Twitterのように短文を気軽に書き込め、他者の書き込みも気軽に閲覧出来ます。Twitterとの大きな違いは、サイトが1つではないということ。「インスタンス」という、いわゆるサーバを誰でも作ることができるのです。また、文字数もTwitterが140文字までなのに対し、500文字までと比較的文字数を気にせず書き込むことができます。

「マストドン」の機能はTwitterとほぼ同じ。アカウントを作り、他のユーザーを探してフォローすると、そのユーザーのつぶやき(トゥート)がタイムラインに表示されるようになります。
しばしば「分散型Twitter」と言われますが、その特徴を表すなら掲示板とTwitterを合わせたようなサービスともいえます。
何かしらの共通点や目的を元に集まった人々が交流する様は、往年の掲示板やチャットをほうふつとさせます。自分に合った村(インスタンス)を探し、そこに居住し、村人(ユーザー)と交流する、時には他の村人とも――それがマストドンの醍醐味(だいごみ)の1つかもしれません。

マストドンの「魅力」は?

インスタンスに「同じ趣味の人」が集まる

マストドンでは、インスタンスで話題を分けることにより、それらの情報の取捨選択を容易にしている点が最も特徴的である。既に特定の趣味別のインスタンスが数多く存在しており、この意味では古くはパソコン通信における「フォーラム」、またFacebookでいう所の「グループ」と似たような機能を果たしている。

だから眺めているだけでも楽しい

一方、マストドンのローカルタイムラインは、先にも触れたようにそのインスタンスの特徴に合った人たちが集まり、トゥートが流れてくるため見ているだけでも楽しい。Twitterは誰かをフォローしない限りはツイートが流れてこないが、マストドンは登録した瞬間からローカルタイムラインの様子をのぞいて雰囲気を知ることができる。

漂う「お祭り」感

「mstdn.jp」でローカルタイムラインを見ていると、「新しいおもちゃ」にユーザーはみんな夢中だ。下品だったり、バカバカしかったりする書き込みも多い(もとい、それが過半数)。
だが、どこか「祭り」的一体感が漂っている。17日夜、ユーザー数が6万人を突破した瞬間には「6万人来た!」と一斉に書き込まれ、ぐっと盛り上がった。多くの人が指摘するように、かつてのツイッターを思わせる空気があって、記者にとっては居心地のいい空間だった。

流れが早く、知り合いも少ないから「毒が吐きやすい」

もう1点、ハマる要因がある。それは、Twitter・Facebookで投稿できないような “個人的な独白の場” としての活用だ。先に挙げた知り合いを発見する喜びと相反するのだが、「知り合いが少ないからこそ毒づいてやろう」という気持ちにもさせられる。未開のSNSだからこそ、自分だけの場にしたいというユーザーもいるのではないだろうか。
わかり易い言葉で例えるなら、「ネット上の隠れ家」もしくは、「SNSの秘密基地」といったところだろうか。インスタンスが増えれば、さらに隠れ家が増えることにもなるだろう。Mastodonは今後も加熱していくのかもしれない。

マストドンのデメリットは?

最大の特徴「インスタンス」がネックに?

しかし、マストドンでもっとも懸念されている点は、個人でも立てられるインスタンスにパスワードを抜かれてしまうのではというセキュリティ面での問題である。
仮にパスワードに他のサービスと同一のものを使い回していた場合(もちろん推奨されることではない)、他のサービスでは十分なセキュリティ対策を立てられていたとしても、マストドンのインスタンスからパスワード情報が漏洩した場合、大きな脅威となりえる。もちろん他のサービスでも完全に安全とは言えないが、少なくとも企業体がサービスしている場合はコンプライアンス上の問題もあるため、それなりの対策が立てられている「であろう」と推測される。

マストドンの最大の魅力であり特徴でもある「誰でもインスタンスを立てられる」システムですが、セキュリティの問題はどうしてもついてまわる問題かもしれません。しかも、サーバ分散型のため、悪意のあるアタックを受けパスワードが流出した場合、「誰が責任をとるのか」という懸念もあります。そのあたりは今後解決されていくのでしょうか。

マストドンで使われる用語解説

インスタンス

サーバ。マストドンを始めるときに自分でインスタンスを選ぶ必要があります。

連邦(連合)

インスタンス同士のつながり。

トゥート

投稿。500文字までのテキストや画像を投稿できます。

ブースト

Twitterで言うリツイート。

CW(コンテンツワーニング)

投稿時に「CW」を選ぶと、トゥートの注意文(例:「ネタバレ注意」など)を表示でき、「もっと見る」をクリックするとトゥート本文が表示されます。

リモートフォロー

他インスタンスのユーザーをサーバーを跨ぐ形でフォローすること。

NSFW

「Not suitable for work」の略で、「職場では見てはいけない」コンテンツという意味。「Not Safe For Work=職場閲覧注意」と記している記事も。

他のワードについても、以下の記事などで紹介されていますんで、ご覧ください!

Twitterとの違いは?

前述したとおり、書き込みできる文字数はTwitterの140文字に対し500文字まで。また、画像や動画も投稿が可能なのはTwitterと同様です。また最大な特徴は「オープンソース」と「分散型」という点でしょう。

何よりTwitterとの大きな違いは「オープンソース」であるという点。「分散型」をうたうマストドンでは、誰でもサーバ(インスタンス)を立ち上げることができ、どこか1つにトラブルがあっても、他のインスタンスが生きていればサービスを継続することが可能となっています。また、運営会社の倒産により突然のサービス終了……といった事態も避けられます。

引用や鍵アカウント、退会機能もなし

Twitterに似たユーザーインタフェースを持つマストドンですが、アカウントに鍵をかけたり、誰かのトゥートを引用してコメントをつけたりはできません。現時点では「退会機能」もありません。複数のインスタンスを使うヘビーな丼民は、スマホアプリ上でのマルチアカウントを切望したりもしています 。

初期のTwitterの雰囲気を感じる人も

「Twitter老人会みたい」――いまのMastodonの日本のユーザーの雰囲気をこう評する人もいる。Webが好きな人だけが集まってわいわいがやがや話し合い、炎上事件もなかった2007年前後の黎明期のTwitterに似ており、その雰囲気の再来をなつかしんでいる30代以上のユーザーも多いようだ。mstdn.jpを手弁当で運営する@nullkalさんへの寄付が集まったり、日本のユーザー同士のオフ会が企画されるなど、コミュニティとしての盛り上がりもみせている。

やってみよう!マストドン

マストドンの始め方と使い方

インスタンスを決めよう

マストドンを始めるには、まずは「インスタンス」を決める必要があります。前述したとおり、オープンソースで誰でもインスタンスを立てられるため、趣味や仕事を同じくする人が集ったり、地域ごとだったり、たくさんの「マストドン」が存在しているわけです。

日本国内のマストドン大手と言えば、次の3つが挙げられると思います。

mstdn.jp…国内最大クラスにして日本のマストドンブームの火付け役になった存在。
Pawoo(パウー)…イラスト系SNS「pixiv」を運営する「ピクシブ」によるインスタンス。
friends.nico「ニコニコ動画」を運営するドワンゴによるインスタンス。

「同好の士」を探したかったり、同じ地域の人と語り合ったりと最初から目的のある人はそれに沿ったテーマのインスタンスを探せばいいですし、まずはマストドンの雰囲気を味わいたい、という人は大手を選んだ方がいいかもしれません。

登録してみよう

インスタンスを選んだら、「ユーザー名」「登録するメールアドレス」「パスワード」を記入して「参加する」ボタンを押してみましょう。登録アドレスあてに、確認メールが来るはずです。今回Gmailで試してみたところ、なかなか来ないのでおかしいな?と思ったら迷惑メールフォルダに入っていました。メールが来なかった人はその辺も確認してみたほうがいいかもしれません。

確認メールが届いたら、本文中の「メールアドレスの確認」をクリックして表示されたページの「ログイン」をクリック!

この画面が表示されたら、登録完了です。

これがメインとなる画面。4カラム構成となっています。右端が自分のプロフィールとトゥート(書き込み)欄、「ホーム」が自分と自分がフォローしたアカウントによるタイムライン。「通知」にはフォローされたりトゥートをお気に入りに登録されたりといったお知らせが表示されます。左端の「スタート」メニューにある「ローカルタイムライン」ではそのインスタンスの全トゥートを、「連合タイムライン」では所属しているインスタンスの人がフォローしている、マストドン全体での公開投稿(連合に関しては、全トゥートではないみたいです)を見ることができます(大手のインスタンスのタイムラインはものすごい勢いでコメントがトゥートが流れていく様子はちょっと壮観で、これがマストドンの醍醐味である、とも言えます)。

「トゥート」してみよう

右端のフォームから投稿します。画像や動画の投稿も可能です。公開範囲の設定や、上で説明した「コンテンツワーニング」、警告表示も行うことができます。

早速トゥートしてみました。誰もフォローしていないのに、「通知」欄にあっという間にお気に入りやフォローの通知が表示されて、ちょっとびっくり。こうしてトゥートしつつ、ローカルや連合のタイムラインで気に入ったアカウントがあればフォローして「ホーム」のタイムラインに追加していく、というのがマストドンの基本的な楽しみ方になります。

「見るだけ」専用のサービスも

いきなりアカウントを登録するのは…という方のために、アカウントの登録不要でインスタンスのタイムラインが見られる「Mastodon Timeline Peeping Tool」というサービスも登場しました。

Webサイト上に表示されるフォームにインスタンスのドメイン名(例えば「mstdn.jp」や「pawoo.net 」)を入力して「ストリームを開始する(ローカル)」「ストリームを開始する(連合)」を選択すると、それぞれのタイムラインが表示される。
タイムラインは1秒間に20トゥートまで読み出しして投稿日時と共に表示できる。「ストリームを停止する」を押せば、トゥートを表示したまま停止もできる。

日本は世界有数のマストドン大国!?

マストドンのインスタンスリスト「Mastodon instances」では、世界中のインスタンスの状況を知ることができます。このページの「Users」でソートすると、Pawooが世界1位、mstdn.jpが2位、そしてfriends.nicoも4位と日本のインスタンスが上位を占めています(4月27日11時現在)。少なくともユーザー数に関してはマストドンが一番盛り上がっているのは日本、と言ってよさそうです。
この他にも様々なインスタンスがあります。記事になっているものを中心に紹介していきます。

世界最大「Pawoo」はなぜ生まれた?

4月27日現在で10万人を超えるユーザーを抱え、世界最大のインスタンスとなった「Pawoo」は、イラストや漫画、小説などのSNS「pixiv」を運営するピクシブが立ち上げたインスタンスです。なぜマストドンなのか、マストドンで何をしたいのか…?

「ピクシブは創作活動を支えることをミッションとしています。そのためなら何をやってもいいことになっていて、作品発表の場として『Booth』『pixivFACTORY』『pixiv Sketch』などを提供してきました。それらに加えて創作活動の場もサポートしていきたいという思いがずっとあり、マストドンはそれになり得るプラットフォームなのではないかと考え、ピクシブとしてやろうということになりました」

マストドン人気の火付け役がドワンゴ入社

マストドン人気の火付け役となったmstdn.jpの運営者「nullkal」さんが、「friends.nico」を運営するドワンゴに入社というトピックスが。2つのインスタンスの統合はないとのことですが、どのような効果が生まれるのか?楽しみです。

ドワンゴは先にマストドンインスタンスfriends.nicoを立ちあげていますが、friends.nicoとmstdn.jpは統合しない方針。mstdn.jpは引き続きさくらインターネットを利用するとしています。nullkalさんは学生さんで、「いちおう大学のほうは休学という形にしてあります」とのことです。

鹿しかいないインスタンス!?

インスタンスの中には、同じ地域在住者向けというものもあります、その一つ、奈良県民向けのインスタンス「奈良トドン」がなんだかおかしな方向に…。

すでにユーザー数は500人近いのですが、参加している名前は「鹿」「山鹿」「鹿なるもの」「かろうじて鹿」「人だったヘラジカ」などなど鹿めいたものばかり。参加者のトゥート(投稿)が流れるローカルタイムラインには、「せんべえうめぇ」「パリパリッ」「なあに、奈良が落ちても宮島があるさ」「俺はこのまま鹿のままでいいのか」と、鹿視点の発言が並んでいます。ここは奈良公園なのか……?

いま見たらインスタンス名も「鹿トドン」に変わってました…。

オタク女子の楽園?「otajodon」

オタク女子が年齢、ジャンルを問わず気軽に会話できる場としてオープンした「otajodon」。マストドンとオタク女子の親和性は高かったようで、ユーザー数も1,000人を超える人気ぶりのようです。

―― 意外とユーザー同士の交流が活発なんですね。もともとオタク女子仲間だった人たちが多い?

アオヤギ 私もそう思ってたんですけど、他のインスタンスから来てくれた全然知らない人たちも多いです。

Twitterで鍵アカウントにしてたような人たちが、「ここは自由で居心地がいい」「アットホームな雰囲気がいい」と言ってくれて。やはりTwitterだとオープンすぎるので。

ラジオとマストドンの相性は?ニッポン放送「TUNER」

ニッポン放送もマストドンのインスタンス「TUNER」(チューナー)をスタート。マストドンとラジオの相性はどうなんでしょうか。

 「ラジオを中心とした自由なコミュニケーションを楽しめる場」としてニッポン放送が提供するのが「tuner.1242.com」(通称:TUNER/チューナー)だ。
 ラジオといえば、「何か別の作業をしている間に片手間で聴くもの」「1人部屋の中で静かに聴くもの」というイメージがあるが、その感想を誰かと共有したいと思う人は多いはずだ。
 タイムラインは他局番組のファンも交えた、まったりとした雰囲気で進んでおり、ニッポン放送の古いネタを引っ張り出してくるアカウントも最近開設され、さらになごやかな感じになってきている。

さて、「マストドン」に興味は出ましたでしょうか。Twitterなど従来のSNSサービスの良さを踏襲しつつ、「インスタンス」という要素も取り入れて、現在は新興サービスならではの新鮮な活気が感じられます。「マストドン」で新しい発見や出会いがあるかもしれませんね。

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