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【自賠責保険】車検なしバイクは100円アップに決定 賦課金額は車種別に決めたわけじゃない ライダーが気付かない意外な事実

バイクのニュース / 2023年1月17日 17時0分

自賠責保険料に上乗せされる新たな賦課金額が、国交省の検討会で決定しました。1台あたり平均125円、排気量250cc以下のバイクは100円です。バイクだから少し安い、わけではありません。その理由は、新たな賦課金が交通事故被害者救済事業の拡充に使われるという目的にありました。

■自賠責保険の新たな賦課金額、車種の違いではない本当の理由

 自動車保険は、事故を起こした時の万が一の備えです。加入が強制される自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、被害者に保険金が支払われるだけでなく、いわゆる植物状態に陥る遷延性意識障害など重い後遺障害に対しても、専用の療護施設が用意されるなど支援策の財源となっています。

「特定原付」となる電動キックボードも、自賠責加入で賦課金を負担「特定原付」となる電動キックボードも、自賠責加入で賦課金を負担

 また、任意の自動車保険に無い制度として、加害者不明のひき逃げや無保険車の事故被害者への補償も、保険料の中に含まれる「賦課金」としてユーザーが負担しています。今回決まった新しい賦課金は、この古い賦課金とは別モノです。

 新しい賦課金は脊椎損傷や高次脳機能障害など対象を拡大した被害者支援、家族が高齢で介護ができなくなった「介護者なきあと」を見据えた支援などの財源として考えられています。

 賦課金額は、車検なしのバイクは100円。乗用車、軽自動車、車検ありのバイクは125円。タクシー、トラック、バスは150円。国土交通省の「今後の自動車事故対策勘定のあり方に関する検討会」(座長=藤田友敬・東京大学大学院教授)で決まりました。

 賦課金導入の法案審議で、1台150円を限度に決めることになっていたため、その範囲での決着。当初、一律の賦課金額が想定されていましたが、車種別の負担になりました。しかし、この区分の本当の理由は、車の大きさによるものではないのです。

■自賠責は他人を守る保険、とくにバイクでは運転者は守られない

 自賠責保険と任意の自動車保険には決定的な違いがあります。任意保険は、車両や路上の標識などの物損も補償されますが、自賠責保険は人的被害に限定、その中でも被害者だけが補償されます。つまり、自損事故による運転者は加害者が運転者自身なので補償対象外です。

新たな賦課金は2023年4月から発生する自賠責保険契約から新たな賦課金は2023年4月から発生する自賠責保険契約から

 自賠責の原則は最低限の補償に限定し、年齢や事故回数などのリスクに関係なく、一律で安く。これをバイクで見ると、どうなるか。

「バイク乗車中の死亡事故は多い。しかし、保険金の支払いが少ない。だから、新たな賦課金も安く設定した」と、国土交通省自動車局は説明します。生活の足の維持費を抑えることに配慮したわけではありません。

 バイクの死亡事故は自損事故の割合が多く、一度の事故で被害が大きくなる大型車と比較して、そもそも他人に被害を及ぼすことは少ない。逆に乗用車は、シートベルトやエアバッグの装着、衝突軽減ブレーキなどの装備が進み、乗車中の事故は減りました。反面、他人への被害という意味で、減少の決め手はありません。

 ここで改めてライダーの保険について考えてみます。とくに小排気量のバイクの場合、とりあえず自賠責に加入しているから、最低限の補償はあるだろう、という思い込みがあるのではないでしょうか。

 自賠責だけの加入でも、相手車両がある場合は、相手の自賠責保険から保険金が支払われる可能性があります。しかし、その一方でバイクは、死亡事故の減少幅は小さくても、保険料や賦課金が安くなるほど保険金支払いは少ないということです。

 ちなみに、年間の死亡事故件数は減り続けていますが、バイク死亡事故は目立っています。

 例えば、2022年に全国ワーストだった大阪府の場合、144人の死亡のうちバイク乗車中は39人。状態別割合では最も多くなっています(自動車乗車中は28人)。

 バイク事故死者が多くても、保険料の賦課金が安くなるバイク。ほかの車種より安いことばかりを手放しでは喜べません。

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