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世界初!オプジーボ等の効果を免疫チェックポイント関連因子から予測 非小細胞肺がんの治療方針検討に役立つ研究成果

Digital PR Platform / 2024年4月11日 14時5分

【研究詳細】
研究グループは、バイオマーカーの探索を行うために、以下のコホート研究※6 を実施しました。
・コホートA:進行性非小細胞肺がんの患者50例に対して、オプジーボ(ニボルマブ)の有効性のバイオマーカーを探索する医師主導治験(Nivolution試験)
・コホートB・C:抗PD-1抗体薬もしくは抗PD-L1抗体薬の治療を受けた進行性非小細胞肺がん患者を、後ろ向きに解析※7 した研究
・コホートD:細胞障害性抗がん剤の治療を受けた非小細胞肺がん患者を、後ろ向きに解析した研究
・コホートE:分子標的治療の治療を受けた進行性非小細胞肺がん患者を、後ろ向きに解析した研究
すべての患者の血液を採取し、得られた血漿からシスメックス株式会社の全自動免疫測定装置HISCLTMを使用して、可溶性PD-L1、PD-1およびCTLA-4といった可溶性免疫チェックポイント関連因子を測定しました。その結果、腫瘍のPD-L1発現が高い、もしくはT細胞の浸潤が多い腫瘍がある患者では、可溶性免疫チェックポイント関連因子の濃度が高いことと、抗PD-1/PD-L1抗体薬に対する不応答性が相関することがわかりました。特に、可溶性PD-L1と可溶性CTLA-4の濃度の組み合わせから、抗PD-1/PD-L1抗体薬の不応答性を高い精度で予測できることが明らかになりました。しかし、細胞傷害性抗がん剤や分子標的治療を受けた患者には、この関連性が見られませんでした。
さらに追加研究として、近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)腫瘍内科、京都大学医学部附属病院(京都府京都市)呼吸器内科、和泉市立総合医療センター(大阪府和泉市)腫瘍内科にて、抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体による治療を受けた患者(コホートB、C)の治療前血液から、可溶性免疫チェックポイント関連因子を測定したところ、コホートAの研究と結果が一致し、免疫チェックポイント関連因子から、抗PD-1/PD-L1抗体薬の治療効果予測が可能であることが示されました。
また、腫瘍のサイズ、腫瘍組織内のPD-L1発現、および腫瘍組織と末梢血CD8+T細胞(CD8という特異的なタンパク質を発現するがん細胞傷害性T細胞)の遺伝子発現の解析から、可溶性免疫チェックポイント関連因子の濃度が高い患者のT細胞では、免疫疲弊因子※8 の遺伝子発現が高いことが明らかになりました。このことは、血中の可溶性免疫チェックポイント関連因子の濃度は、がんを攻撃するT細胞の疲弊度合いと関連していることを示唆しています。
本研究により、可溶性免疫チェックポイント関連因子の濃度はT細胞の過疲弊に関連しており、特にPD-L1とCTLA-4の組み合わせにより、抗PD-1/PD-L1抗体薬への不応答性患者を特定できることが明らかになりました。現在、進行性非小細胞肺がん患者における抗PD-1/PD-L1抗体薬の効果予測バイオマーカーとして腫瘍組織のPD-L1発現が臨床で使用されていますが、その精度は十分ではありません。本研究における血漿中の可溶性免疫チェックポイント関連因子測定は、腫瘍組織のPD-L1発現のバイオマーカーを補完できる可能性があり、将来の治療戦略において有用であることが示唆されました。

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