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二ツ星の世界的レストランで働く29歳の若きソムリエールのキャリアの話。

Hanako.tokyo / 2023年11月27日 15時0分

二ツ星の世界的レストランで働く29歳の若きソムリエールのキャリアの話。

差し出す人は、学ぶ人。

なぜ、ワインを差し出す人を職業に選んだのか。〈フォーシーズンズホテル丸の内 東京〉のフレンチレストラン〈SÉZANNE〉で働く松本有佑子さんに尋ねると、

「私は『はやく名を馳せたい、ひとかどの人物になりたい』と思っています。小さな頃から、母が仕事をする姿を見せてくれていて、働くことの素晴らしさを教えてくれました。自分を磨くことで、他人に影響を与えられる。高校時代、英語スピーチコンテストで優勝したとき、努力した自分への喜びより、バックアップしてくれた先生や周囲の人が純粋に喜んでくれる姿を見て、その姿こそが私を突き動かす原動力だと知ったんです」
 
みんなの喜ぶ姿こそが、仕事の、そして自分のモチベーションとなる。松本さんのすごいところは、その芯にはやくから気づいたこと。

少ない休日の予定は3カ月先までいっぱい。気になる飲食店、生産者を巡る。今回はワインショップ&バー〈lulu〉へ、ナチュラルワインの勉強も兼ねて。

「サービスをする楽しさは高校時代、ホテルのバンケットでの手伝いで知りました。新卒でウェディング・レストラン事業の会社に就職。3年働いた頃にレストラン部門の担当に。そこでワインを扱うことになり、サービスマンの先輩の助言をいただきながら、ソムリエを目指して、勉強を始めました。2年ほどたって、自分がやりたいと思っていた新店舗立ち上げを経験。そろそろ次のステップを踏み出したい! と思っていた頃、山梨にワイン造りを経験しに行った先で、ワインに精通されている方が、ソムリエとして初めて働いた〈モノリス〉のシェフをご紹介くださって」
 
ワインを通して知り合う人々が、選択肢を与えてくれる。

真剣なまなざしでワインを見る松本有佑子さん

「サービスの勉強をしようと、プライベートで〈SÉZANNE〉に食事に出かけたとき、〈モノリス〉の石井剛シェフに偶然お会いして、〈SÉZANNE〉チームを紹介していただき、その後、お声がけいただいて。はじめは〈モノリス〉でもっと勉強をしたい、とお断りしたのですが……。英語必須で、一ツ星から二ツ星を狙おうという、今まで働いたことのない環境であれば、きっと自分を飛躍させてくれると思ったんです」
 
周囲との関係性をまず考える。そして、自分自身を前進させることも考える。実直に悩み、素直に大人に相談する。自然と、彼女に関わる人間が応援してくれる環境が作られていく。そして、その期待に応えるべく、休日も、そして仕事を終えた後も、寸暇を惜しんで、老舗フレンチレストランとワインバーで、働き学んでいる。

「早くひとかどの人間になって、恩返しをしたいんです。世界に認められるソムリエールになれば、なかなか手に入らないワインも扱えるようになる。応援していただいた方々に、そういったワインをサービスできるような存在になりたい」

ソムリエ試験には2年間の独学ののちに合格した松本さん。今も仕事を終え、夜中に帰ってからの勉強を怠らない。効率も大事だが、遠回りしても着実に、がモットー。

サービスマンという職業に就く人は、通勤時間であろうと、日常生活だろうと、いかなるときもサービスマンであれ。以前読んだ、大先輩のソムリエ・田崎真也さんの著書の言葉も彼女のベンチマークとなっている。

「〈ロオジエ〉で働く井黒(卓)さんのワインのサーブを見ていても、基本を踏まえながら、臨機応変なテクニックを駆使して、そのワインが持つ素晴らしさを提供しています。〈SÉZANNE〉もそうですが、お客様にワインを最高に楽しんでもらえるよう、自分の仕事が増えても、心配りを張り巡らせる先輩方の姿勢を、常にメモさせていただいています。自分は、ソムリエールの芯を作っているところですが、いつか『松本有佑子が差し出すワインを飲みに来たんだよ』と言ってもらえるような存在になりたい。ほかにも、海外で修業したい、人材育成もしたい、レストランも立ち上げたい。はい、野望は口に出しておきたいと思います(笑)。いつか実現するために」
 
強い意志とチャーミングな笑顔。おいしいワインは、こういう人たちが差し出している。

photo_Satoshi Nagare text_Hanako

No. 1226



No.1226 『もう少しだけワインのことを知りたい』 2023年10月27日 発売号

今日も町のレストランやワインスタンドには人があふれ、そこにはにぎわう場に欠かせないアイテムとなったワインが。楽しく飲む!が正解。でも、楽しければ楽しいほど、後日“この前飲んだおいしかったワイン、何だったっけ”となることはありませんか?それはとてももったいないことだと思うのです。今よりもう少しだけワインのことを知ることができたら、自分にとっての“おいしいワイン”を忘れずにいられるようになるかもしれません。 教科書は、町のグラスワインにワインショップに並ぶボトル。必要な知識・教養をまとめた「ワインがもっと楽しくなる基礎 …



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