朝日新聞と久米宏の天皇発言政治利用 その3
Japan In-depth / 2017年1月3日 18時0分
久米氏は明白に天皇の発言を「憲法改正に反対」という意思表示だと断定しているのである。つまり天皇は安倍晋三政権や自民党の憲法改正への動きには反対だと断じるのである。
久米氏本人もその断定の根拠は前記の推測ゲームのような思いこみしかないことを認めてはいた。それにしても天皇が「象徴」という言葉を何度も使われたから憲法改正には反対だ、という理屈はあまりに幼児めいて響く。
同時に「戦争に反対」だから「いまの憲法を守れ」という結びつけも、日本共産党もどきの虚構の政治プロパガンダを思わせる。日本の自衛の必要は一切、無視しているからだ。防衛力の強化が戦争の抑止につながるという国際安全保障の現実を無視しているといえる。
久米氏のレトリックはそのうえで憲法改正は日本がしなくてもよい侵略戦争を始めることがその動機であるかのように断じるのである。
久米氏はこうしたいかにも偏向した憲法への独善的な自分の意見を天皇の発言がそれと同じなのだ、と事実をねじ曲げているのだった。
ラジオはいうまでもなく公共の電波としての国民共有の公共財である。特定の機関が政府からの認可を得て独占使用するわけだ。だから、その使用には当然、公共性を守ることの義務がともなう。放送法の規定がその一端だろう。そんな公共のコミュニケーションの手段をこんな政治的プロパガンダの拡散に利用してよいはずがない。
久米氏の場合、公共財のラジオと、天皇陛下のお言葉と、その両方の政治利用ということになる。自分の政治的な主張の宣伝に利用していることが明らかだからだ。
(その4に続く。毎日18時配信。全4回。この記事は月刊雑誌「WILL」「久米宏の『妄言』ダシに 朝日の姑息な『天皇利用』」2017年1月号掲載からの転載です)
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