菅首相辞任へ 総裁選の行方混沌
Japan In-depth / 2021年9月4日 0時50分
■ 総裁選の行方
この最後の質問で二階氏が語気を強めたのが印象的だった。淡々と話している感がある二階氏だが、意外と短気なのか、挑発的な質問には、真っ向から反駁することがままある。
誰が見ても衆院選を目の前にした内閣支持率の低迷が背景にあるのは明白だ。支持率の低迷というより、菅首相の下では選挙に勝てないこと方がより深刻だろう。
今年4月の衆参3選挙。参院広島選挙区再選挙、参院長野選挙区補選では自民党は敗北、衆院北海道2区補選は不戦敗だった。
地方選挙でも負け続きだった。1月の山形県知事選、3月の千葉県知事選、6月の静岡県知事選でも自民系候補が落選した。千葉県知事選に至っては、自民党推薦候補は立憲民主党らが支援した熊谷候補に100万票もの差をつけられた。
7月の東京都議選でも、下馬評では自民党は優勢だったが、都民ファーストが健闘したことで、事実上の敗北を喫した。そしてとどめは、8月の横浜市長選だった。菅首相が全面支援した小此木八郎前国家公安委員長は、立憲民主党が推薦した候補に完敗した。
国民は菅首相を通して自民党を見ている。現政権の政治に多くの国民が不満を抱いていなければ、こんな選挙結果が相次ぐはずがない。
確かに新型コロナ対策は政府にとって「莫大なエネルギーが必要」であることに間違いない。それはどの国どの政権においても同じだ。
日本では、他の国に比べて死者が少ないこと、ワクチンの総接種回数が1億3000万回を超え、うち、1回以上接種者が国民の58%、2回接種者が47.1%(2021年9月3日時点)は、国際的に見て決して悪い数字ではない。
しかし、国民に自粛を強いながらオリンピック・パラリンピックを強行したこと、8月に新規感染者数が急増したこと、緊急事態宣言が延長に次ぐ延長を繰り返したこと、などから、国民の不満はピークに達していた。
私は、菅首相のコミュニケーションスキルに問題があると依然から指摘してきた。官僚の作文を棒読みし、記者会見では記者の質問に真っ正面から答えず、はぐらかす。これを繰り返していたら、国民との間に共感が生まれないどころか、反発が増幅するばかりだろう。結果、自粛要請はほとんど意味をなさなくなってしまった。なぜ、誰も進言できなかったのか、不思議でならない。
首相の権限は絶大だ。緊急事態宣言明けすぐに国会を解散することはテクニカルに可能だった。しかし、自ら伝家の宝刀をあっさり棄てた。それも不可解だったが、次に党人事と閣僚人事に手を付けようとしたのも余りに唐突だった。人事で政権浮揚を図ったのだろうが、これがまた党内にとんでもないハレーションを引き起こした。
この記事に関連するニュース
-
《恐れられる“純ちゃん”の政局勘》小泉純一郎氏、山崎拓氏ら自民重鎮OBの会合に石破茂氏が呼ばれた本当の理由
NEWSポストセブン / 2024年5月15日 19時25分
-
【自民党・内部報告書入手】業界への補助金バラ撒きを進めて「組織票」頼みの解散・総選挙に踏み込む岸田首相
NEWSポストセブン / 2024年5月9日 10時59分
-
岸田首相では「選挙の顔」にならない…誰もがそう思っているのに「総裁再選プラン」がしぶとく残る理由
プレジデントオンライン / 2024年5月9日 9時15分
-
〈 “岸田包囲網”が着々〉茂木幹事長、菅前首相らが水面下でうごめくなか、崖っぷちの岸田首相の次の一手は?「首相は“一か八か解散”しかねない。でも、やったら自民党は終わりだ」
集英社オンライン / 2024年5月9日 7時0分
-
解散総選挙なら野党転落&党分裂も…ヤケクソ岸田文雄首相「自民党道づれ」策謀
日刊大衆 / 2024年4月23日 12時0分
ランキング
-
1内閣支持率低迷26%、自民党の規正法改正対応「評価せず」79%…読売世論調査
読売新聞 / 2024年5月19日 22時0分
-
2上野飲食店経営者夫婦殺害、背景に首謀者への畏怖か 遺体処理から殺人も「断り切れない」
産経ニュース / 2024年5月19日 19時20分
-
3スタバと一線を画す「ルノアール」。“特異なビジネスモデル”を確立も、業績が悪化するワケ
日刊SPA! / 2024年5月18日 8時53分
-
4「明るい子の印象。悲しい」19歳の女子大学生が殺害された事件 知人「ショックと言うか何で…」 26歳男を逮捕「包丁で彼女を刺して殺した」
MBSニュース / 2024年5月19日 17時50分
-
5「結婚後も女性皇族」賛成56% 「旧宮家男子を養子」拮抗 世論調査
毎日新聞 / 2024年5月19日 19時14分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください