アメリカ議会で最活発な議員の去就
Japan In-depth / 2024年4月8日 0時23分
古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・中国関連問題を追及する「中国共産党とアメリカの競合に関する下院特別委員会」。
・マイク・ギャラガー委員長は4月に辞職。
・しかし同委員会の活動は変わらないだろう。
アメリカ議会に通って、その活動を連日、考察していると、外交分野ではやはり中国が最大の課題だと実感させられる。もちろんロシアのウクライナ侵略も主要課題である。アメリカとしてウクライナにどこまで支援するかは、議会でも切迫した課題である。中東でのイスラエルとハマスの戦いも、アメリカ議会では法案審議が熱っぽく展開される。
しかしその種の外交関連の諸課題を俯瞰しても、やはり議会全体でいま最大の熱意や精力を向けているのは中国対策のようにみえるのだ。その背後には、アメリカ合衆国にとって中国こそが自国の根底を揺さぶられる脅威だとする危機の認識があるからだろう。
だからいまのアメリカ議会の上下両院を通じて、もっとも活発にみえるのは下院の中国特別委員会であることはふしぎではない。中国が最大の課題の現議会で中国関連問題を専門に追及するのが、この特別委員会だからだ。ただしこの委員会の正式の呼称は「中国共産党とアメリカの競合に関する下院特別委員会」である。
中国系動画投稿アプリTikTokのアメリカ国内での利用を禁止する法案を下院本会議がこの3月13日に可決したのも中国特別委員会が法案作成段階からもっとも積極的に推した結果だった。
この委員会は3月7日には中国側のアメリカ国内での生物工学活動を規制する公聴会を開いた。中国がDNA(遺伝子)操作を含む新技術を米側から取得して軍事や国内監視の武器に使うことを防ぐという趣旨だった。私も傍聴したが、主題が高度技術なのに熱気に満ちた超党派の審議だった。
なにしろ中国特別委員会は毎週数回も中国政府の新たな動向に警鐘を発するメール情報を送ってくるのだ。私もこの委員会の取材申請名簿に登録したので、委員会の発表文書はすべて送られてくる。
さてこの中国特別委員会のマイク・ギャラガー委員長はこれまたアメリカ議会全体でもっとも目立つ言動の議員だといえる。昨年始めからの新議会でこの特別委員会の創設の先頭に立ち、下院での多数派の共和党を代表して委員長となった。そしてギャラガー議員はその後も中国の膨張への多様な抑止策を民主党側をも巧みに巻き込んで次々に打ち出してきた。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
国際情勢からの日本の憲法改正の必要性(下)アメリカが切望する日本の改憲
Japan In-depth / 2024年5月1日 17時0分
-
ムーレナー米下院議員、中国特別委員長に就任、優先課題5分野を指定(米国、中国、台湾)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月30日 14時45分
-
ニュース裏表 峯村健司 米でTikTok規制法案成立 日本の国会、LINEと韓国ネイバーの「切り離し」に動いた形跡なし…アプリ対策に本腰を
zakzak by夕刊フジ / 2024年4月27日 10時0分
-
米下院歳入委、一般特恵関税(GSP)やデミニミスなどの通商関連法案を可決(米国、中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月22日 13時0分
-
米議会、個人データ保護強化法案で超党派合意 SNSなどに制限
ロイター / 2024年4月8日 11時48分
ランキング
-
1害虫駆除、高額請求トラブル急増 若年層被害多く、ゴキブリ依頼
共同通信 / 2024年5月2日 19時36分
-
2研修で用意された部屋に「タバコの臭いや換気扇のほこり」、20歳代の女性市職員が職務拒否…市が戒告処分に
読売新聞 / 2024年5月1日 6時43分
-
3遺体処理の報酬得て大阪府内で遊興か 〝実行役〟の容疑者2人、那須2遺体事件
産経ニュース / 2024年5月2日 10時46分
-
4トラブル相次ぐ看護学生の「お礼奉公」、系列病院が不採用なら奨学金返還義務?…訴訟に発展
読売新聞 / 2024年5月2日 13時53分
-
5「やっとスーパーに通える」 輪島・白米千枚田の国道が通行可能に
毎日新聞 / 2024年5月2日 18時29分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください