大河原克行のNewsInsight 第279回 サイボウズの「災害支援プログラム」、能登半島地震で語られたIT支援の実態
マイナビニュース / 2024年4月20日 9時0分
5日目には緊急支援方針を策定し、サイボウズがデバイスの手配を開始。6日目にはスマホ10台と、タブレット20台を確保し、半日をかけて、柴田氏が1人でセッティング作業を行い、使用方法をレクチャーしながら、災害対策本部、自衛隊、警察、消防、医療福祉関係者と連携しなから情報収集を開始することになった。
自衛隊では、デバイスを持って現場で情報を収集し、これまで把握できていなかった自主避難所の場所を地図上にプロット。撮影した写真や、避難所に必要な物資の情報などを、Kintoneを通じて災害対策本部と共有し、それをもとに、ヘリコプターや車などで搬送する一方、怪我をした人たちの搬送なども開始した。ここでは、大学生のボランティアが参加し、SNSなどで発信されている自主避難所などの情報をリスト化し、公式名簿に反映する活動も行ったという。
また、地震発生6日目には、サイボウズの災害支援プログラムが本格稼働。支援パートナーとの連携を開始する一方、野水氏が理事を務める公益財団法人ほくりくみらい基金による助成の採択を開始し、炊きだしなどの準備や運営をスタート。民間支援団体とのミーティングも開始したという。
10日目になると、民間からのシステム構築依頼が増加。パートナーとの連携によってシステム構築を進めていったという。具体的には、団体ボランティア受け入れ調整システム、福祉施設と支援団体の情報共有システム、自治体の特別被災者管理システム、輪島の医療チームの情報共有システム、金沢での1.5次避難先案内システムなど、現場で必要とされるシステム構築を、kintoneなどを利用して進めていったという。
kintoneでは、最新情報にどこからでもアクセスできる情報共有の仕組みと、変化する災害現場の状況に合わせて柔軟にカスタマイズできるアジャイル開発、プログラミングやITの専門知識がない職員でも、ドラッグ&ドロップで簡単に調整や改善ができるノーコード開発が特徴であり、そうした特性が生かされたという。
地震発生から12日を経過すると、被災地の状況はほぼ把握できるようになったが、次に病気や介護が必要な要支援者を対象にした1.5次避難所での人手不足などの問題や、2次避難所の避難者の連絡先がわからないといった課題が顕在化。「団体ごとに避難者名簿をバラバラに管理していたり、名簿類は手書きだったりといったケースがあったほか、デジタル化していても、Excelファイルで管理しているため、どれが最新版であるかがわからないという課題も発生していた」(サイボウズの柴田氏)という。
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