1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. パソコン

大河原克行のNewsInsight 第279回 サイボウズの「災害支援プログラム」、能登半島地震で語られたIT支援の実態

マイナビニュース / 2024年4月20日 9時0分

13日目には、石川県から復旧復興を進めるためのデータ統合戦略が発表され、EYE-BOUSAIを中核に、データを活用した精度の高い戦略構築が可能になったという。また、医療関係者との連携などにより災害関連死の防止、介護福祉関係者との連携による避難所での生活支援などを優先事項とした取り組みも始まったという。

「2週間を経過するとQoLが重要な問題となってきた。ダンボールベットやパーティションがない避難所、暖房が行き届いていない避難所の改善のほか、栄養バランスを満たす食料支援などが重要になってきた。そのための情報活用が進められるようになった」(サイボウズの野水氏)

3週間目には、1.5次避難所介護プロジェクトが、厚生労働省および石川県健康福祉課の連携によって始動。24時間365日体制で避難所への介護士派遣が開始され、kintoneによって、スタッフの派遣調整やチェックイン管理が行われるようになったという。
○経験を糧に、今後の災害に向けた取り組みがはじまる

地震発生から約100日を経過した現在では、現地で使われているシステムはほぼ自走していることから、サイボウズでは、今後の災害に向けた取り組みを開始。内閣府との連携により、1.5次避難所の介護支援システムを流用し、避難所支援者派遣システムの実証実験を開始しているほか、2024年4月からは、東京都や調布市との取り組みを通じて、能登でのシステム構築をモデルケースにした汎用システム化を目指しているところだ。

被災者の立場や、災害支援を行った立場から、サイボウズの野水氏と柴田氏は、次のように語る。

野水氏は、「被災者対応にあたる自治体職員が被災した結果、初期段階では、その役割を民間が担わざるを得ない状況が生まれた。防災訓練では、マイナンバーを利用した名簿のデジタル化などが行われていなかったため、安否確認がスムーズに行われなかったことも課題に感じた。さらに、クレジットカード募金の着金は1カ月後になるため、初期段階で支援者の資金が限られるという課題も感じた」と述べた。

また、柴田氏は、「初期段階では、自治体の職員が被災したため、県が持つシステムに情報が集まってこないという課題があり、防災情報システムが機能せず、次の戦略が打ち出せないという状況に陥った。また、データ連携の難しさがあり、どこかしらの情報連携がひとつでも機能不全になると全体が動かないという点や、物資輸送システムでは項目が細かすぎて、初動時の不足物資へのニーズとはミスマッチになっていたこともわかった」と指摘した。たとえば、避難所で下着が欲しいといった場合も、男性用、女性用、S、M、Lの枚数をそれぞれ細かく指定しないと物資が提供されないシステムとなっており、被災直後の避難所で、そこまで指定することの難しさを課題にあげた。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください