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安倍首相の真珠湾訪問を中国が非難――「南京が先だろう!」

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月28日 17時50分



 この愛国主義教育により、「日本軍を打倒したのは中国共産党軍である」という歴史捏造を開始した。

 そして「中華人民共和国は、日本軍を打倒したことによって誕生した」という、もう一つの歴史捏造も始めるようになった。

 日本の敗戦は1945年8月15日。

 中華人民共和国が誕生したのは1949年10月1日。

「1949-1945=4」という「4年間」はデリートされてしまったようだ。

 毛沢東・中国共産党軍は、この4年間の間に、蒋介石・国民党軍を打倒して中華人民共和国を誕生させたというのに、中国共産党軍が勇猛果敢に日本軍を打倒して中華人民共和国が誕生したという「抗日神話」を創りあげるようになったのである。

 特に習近平政権になってからの反日政策の強化は凄まじい。

「南京大虐殺」記念日などを次から次へと国家記念日に昇格させただけでなく、昨年は建国後初めて、国慶節(10月1日の建国記念日)にではなく、抗日戦争勝利記念日(9月3日)に軍事パレードを行ったことは、まだ記憶に新しい。抗日ドラマを毎日放映するなど、まるでたった今、日本軍を打倒した(抗日戦争が終わった)ばかりのような勢いである。中国共産党がいかに勇猛果敢に日本軍と戦ったかを強調するようになる。

 それはなぜなのか?

 ひとつは、中共幹部の腐敗や貧富の格差により危なくなった中国共産党による一党支配体制を維持するためであり、もう一つはグローバル化やITの進歩により、海外のネット情報が中国大陸にも容易に入り込むようになったからである。

 中国共産党にとって不都合な党の歴史の真実が、世界のいくつかの国の研究者によって明らかにされ、それを海外にいる華人華僑たちが知るようになった。その情報を、大陸にいるネットユーザーも「壁越え(情報を遮断するGreat Fire Wall、万里の防火壁を特殊技術で越えること)」によって見ることができるようになっている。

 そのため習近平政権は、異常なほど言論弾圧を強化している。

 2013年に出された「七不講(チーブージャーン)」(7つの言ってはならないこと)の中には、「中国共産党の歴史の過ちに関して語ってはならないし、教育機関で教えてもならない」という趣旨の項目がある。



 要するに、彼らが70年にわたって隠蔽してきた「中国共産党の歴史の真相」が明るみに出るのを恐れているのである。

 もちろん、日本は二度と再び、あのような戦争を繰り返してはならない。

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