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「君たちはどう生きるか」アカデミー賞へ虎視眈々 北米首位デビューで宮崎駿ファンの期待に応える

東洋経済オンライン / 2023年12月11日 13時15分

「Los Angeles Times」のトップ批評家ジャスティン・チャンは、『君たちはどう生きるか』を、今年の個人的ベスト映画の2位に挙げる。彼にとっての首位は山田太一の小説を原作にしたアンドリュー・ヘイ監督の『異人たち』で、チャンは、「宮崎駿は私たちにどう生きるのかを、アンドリュー・ヘイはどう愛するのかを問いかける」と書いた。

この映画について「半自伝的なタッチがあるのが非常に感動的。とはいえ、あまり深読みしすぎるべきではないだろう。彼の作品にパーソナルなタッチがなかったことはないのだから」と書くチャンは、映画の前半で眞人が自分の頭に石をぶつけてわざと怪我をするシーンに触れ、「ここには、宮崎の映画のハートにいつもある、恐れのなさ、無慈悲さがある。彼はキャラクターに深く共感するからこそ、暴力というリアリティからも目を背けないのだ。それらの愛するキャラクターが喜びを感じる可能性を否定しないのと同じように」とも述べる。

「San Francisco Chronicle」のトップ批評家G・アレン・ジョンソンの評価も、4つ星満点中の4つ星。この作品を「天才クリエイターの頭の中を直接映し出すもので、彼の最高作のひとつ。もしこれが宮崎の最後の作品なのだとしたら、なんとすばらしいフィニッシュなのか」と褒めた。

一方で、「Wall Street Journal」のカイル・スミスは、「絡み合うストーリーはやや複雑で、宮崎の最高の作品からはほど遠い」ととらえている。

北米で理想的なスタートを切ったところで次に気になるのは、アワードレースでどこまで健闘するかだ。先にも述べたように、GKIDSはアカデミー賞レースを意識し、投票者の記憶に残りやすいこの時期を選んで公開している。

投票者向けの試写も9月ごろから何度も組み、決して派手ではないが、着実にキャンペーンを展開してきた。アカデミー賞のノミネーション発表は1月13日、授賞式は3月10日とまだ先だが、今のところ、この映画は、ニューヨーク批評家サークルとロサンゼルス映画批評家協会、ボストン映画批評家協会から最優秀アニメーション映画賞を受賞。ナショナル・ボード・オブ・レビューの「2023年のトップ10映画」のひとつにも選ばれている。

しかし、同じナショナル・ボード・オブ・レビューが選ぶ最優秀長編アニメーション映画賞は、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』に奪われた。各批評家賞とアカデミー賞では投票者がまるで被らないので、それだけを基に完全な予測はできないものの、傾向の参考にはなる。

アカデミー賞長編アニメ賞のライバルは?

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