営利と非営利をはっきり2つに分けられない理由 「国家や株式会社」がどうしてもできないこと
東洋経済オンライン / 2023年12月12日 9時30分
東インド会社を起源とする500年の歴史を持つ「株式会社」制度。なぜ、このような制度が生まれ、現在まで続いているのか。その謎に迫った『株式会社の世界史──「病理」と「戦争」の500年』(平川克美著)をめぐって、NPO法人を運営する今井紀明氏と、人文系私設図書館を運営する青木真兵氏が「営利と非営利」の視点から語る。
身体という限界を持たない法人
今井:『株式会社の世界史』の著者・平川克美氏は国家よりも大きな存在となりつつある株式会社の行く末として、株式会社同士の闘争が国家を利用した武力行使になるという暗い予想をしていました。
実際にそうなるかはともかく、この500年近い歴史の中で株式会社がいかに人々に浸透し、いつの間にか巨大なものになってきたかを実感とともに読みました。そしてそういう暗い未来予想の中で、NPOは何ができるのかを考えたいと思いました。
青木:僕が一番ポイントだと思っているのは、株式会社は身体という限界を持たない法人であるというところです。だから無限に「利」というものを求めてしまう。資本の自己増殖っていう言葉もありますけど、欲望に歯止めが利かなくなってしまいます。会社は人間が立ち上げるものですが、どこかのタイミングで利益を上げ続けたいマシーンに人間が使われ続けるようになってしまう。
特に90年代以降の新自由主義は、ハード面でもソフト面でもインフラを破壊し格差も広がってしまったという問題があると思っています。その延長線上に、国家を超えたグローバル企業がますます利益を追求することで公共的なものを破壊し、ますます人びとが生きづらい社会になってしまった。
民間のセーフティネットをつくっているD×Pの活動は、こういう状況下でなんとか人びとが生きられる社会にしていこうということなのだと、本書を読んだことで逆に合点がいきました。
青木:もう一つ、あまり本書には直接言及されていませんが、やはり株式会社の発展の背景にはテクノロジーの発展があります。
産業革命の初期は水力とか蒸気機関によって機械は動いていたわけですけど、20世紀初頭になってくると工場が電化されてきたり、動力源として石油が登場してきます。どんどんテクノロジーも発展し、例えば相対性理論が出てきて原爆が開発されるようになります。20世紀以降のテクノロジーの進展が速すぎて人間がついていけなくなってしまった。この点も欲望が人間を超えてしまった原因だと思っています。
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