営利と非営利をはっきり2つに分けられない理由 「国家や株式会社」がどうしてもできないこと
東洋経済オンライン / 2023年12月12日 9時30分
青木:ものすごいざっくり言っちゃうと、株式会社とかグローバル企業、それへのブレーキとしてSDGsがあるんでしょうけど、全て西洋的な文脈なのではないかと思います。
でも近江商人の「三方良し」的な価値観は日本的文脈なのか東アジア的なものなのか、どのくらいの汎用性があるのかわかりませんけど、少なくとも西洋的なものとは異なるんでしょうね。
それに関連しますけど、この前この本の著者の平川さんとお話ししたときに、西洋にはないけれど日本にあるものとして「暖簾」があるとおっしゃっていました。かつては会社が傾くとその暖簾を質に入れて運営資金を調達していたというふうにおっしゃっていて。
だから暖簾って本来は目に見えない信用というものを可視化したものなのだと思うんです。ビジネスにおいて数値化できるものと数値化できないものってありますよね。数値化できるものが収支だとすると、信頼は数値化できません。
今井:非常に面白いですね。東洋的ビジネスというか商売に、現代社会の矛盾や格差を是正するようなカギがある気がしました。そこに日本の企業経営者が語れる文脈がもっとありそうですね。そういう意味では日本の経営者が、この株式会社の500年の歴史に乗っかりすぎているっていうところもありますよね。
青木:さらにのりさんに聞きたいこととしては、非営利と公共についてどう考えていますか? 同じものなのか違うものなのか、いかがでしょうか?
今井:難しい質問ですね(笑)。学術的な文脈ではなくて自分の中でのイメージになってしまいますが、非営利の活動が公共を一部つくってきたと思っています。
医療とか学校教育など公共的なものの一部は、民間がつくってきた歴史がある。
例えば、日本だと大原孫三郎が児童養護施設の原型になる孤児院をつくっているし、別の事例だと大阪の橋なども挙げられます。寄付だったり、贈与と言っていいのかわからないけど、市井の人たちがみんなでお金を出し合って、公共というものをつくってきたという事例が多くあります。
今の福祉制度とか、行政がやっていることが公共的なものだとすると、それはまず非営利という形でつくられて、その後で公共的なものになっていったというのが僕の理解でした。
営利と非営利のあわい
青木:みんなでお金を出し合うことが公共的なことだとすると、かつては伊勢講とか、富士講というものがあって、富士参りとか伊勢参りといった参詣のために、地域でお金をプールしておいて順番に出かけていったということもありますね。これも非営利と公共がつながっている事例です。
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