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営利と非営利をはっきり2つに分けられない理由 「国家や株式会社」がどうしてもできないこと

東洋経済オンライン / 2023年12月12日 9時30分

もっと起源的な話をしてしまうと、例えばメソポタミア文明の発祥は神から権力を与えられた神官が、敵の攻撃や自然災害からみんなの命を守るために城壁をつくったり、川の流れを変える工事をしました。都市文明ではこれが公共事業の始まりとも考えられています。

小さな額のお金でもみんなが出し合って支え合うという公共の形もあるし、権力が介在することで大きな公共事業を行う場合もありますね。

今井:そう考えると営利活動と非営利活動ってはっきり二元的に分けられるものではなくて、その間にだいぶグラデーションもありそうに思いますね。

青木:そうですよね。あと少し違うかもしれませんけど、さっきの三方良しみたいな考え方は、やはり社会の内側の話だと思うんです。でも当時も被差別部落とか、社会の外側とされてきたものもありました。そういう意味で、当時被差別の部落の支援をしている人がいたらそれも非営利活動ということになるのかもしれないですよね。

今井:わかります。もしかしたら非営利ってその時代にない仕組みとか、足りていない部分を支援したりするっていうことなのかもしれないですね。僕自身のことを考えても、国家とか株式会社がどうしてもできないこと、しないことをこの10年以上やってきている感覚はありました。そこはすごく重要だと思います。やっぱり人と人が支え合える仕組みをつくるのが、非営利セクターなのかなって思います。

青木:そうですね、「国家や株式会社がしないこと」っていうのは重要なポイントですね。だから非営利セクターは市場を独占したいとかそういう話ではない。そもそも市場の有無ではなく、課題があるからそれを解決するためにどうにかしてやるっていうことなんでしょうか。

競争ではなく共創の論理で動いている

今井:そうなんです。うちのNPOの話だと、ユキサキチャットみたいなサービスを広範囲で国がちゃんとやってくれるんだったら手を引いてもいいかなって思っています。それは別の課題解決が足りていないことに動こうっていう発想なんです。

あと、そもそも僕は、非営利セクターが市場を独占することはあり得ないと思っています。団体同士で協働するとかノウハウをシェアするとか、できる限り共創的につくっていくことをしないと、本当の意味で課題は解決できません。子どもの支援分野だと、1団体でできることはどうしても限られていますので。競争じゃなくて共創なんです。そこが非営利セクターが株式会社とは違う論理で動いているところだと思います。

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