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医師会VS財務省「診療所の良好な経営」巡る対立 私たちの日々の暮らしにどう影響を及ぼすか

東洋経済オンライン / 2023年12月12日 7時30分

ちなみに現役世代の保険料の負担は年々増えているのが、以下の資料を見てもわかる。

財政制度等審議会財政制度分科会の資料では、協会けんぽの場合、2000年の医療保険料率は8.50%だったが、2012年からは10.00%となっている。2040年の推計値は11.80%だ。

別の資料となるが、健保組合の場合も2000年は8.50%だったのが、2012年には一度8.34%に減ったものの、2022年には9.26%に上がっている。

ここに介護や年金の保険料が加わると負担は一気に膨れ上がる。

では、収入と保険料を比較してどうかというと、2012年~2021年度の保険料の負担の伸びは年2.6%に対し、賃金の伸びは年0.9%にとどまり、保険給付の伸びのほうが、我々の収入の伸びを上回っている。

実は、ほとんど賃上げが行われていなかった時期も、診療報酬改定はプラス改定となっている。建議には、「過去20年間、医科診療所(入院外)(以下単に「診療所」という。)における1受診当たり医療費(報酬単価)は、物価上昇率が低迷する中にあっても、ほぼ一貫して増加してきた」と記されている。

具体例として、2000年度から2019年度にかけて「消費者物価指数は3%の上昇にとどまるのに対し、診療所の報酬単価は26.5%増加してきた」、2019年度から2022年度にかけては両者の乖離が顕著に拡大。「診療所の報酬単価は+14%と、この間の物価上昇率+3%を大幅に超えた水準で急増している」などとしている。

「国民は、社会保険料にあまりにも関心がなさすぎた。賃金から引かれているもので最も大きいのが社会保険料、所得税や住民税などとは比べものになりません」(土居教授)

12月中旬に診療報酬改定の結果が出る

医療は私たちの健康や命を守るために欠かせないものだ。だが、それによって日々の生活が圧迫されるのでは本末転倒だ。税と同じように、保険料についても我々はもっとじぶんごととして考えていかなければならないのではないだろうか。

まずは12月中旬に厚労省が公表する診療報酬改定の結果を注視したい。

鈴木 理香子:フリーライター

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