「赤羽再開発」飲み屋街一掃よりも大きな問題 説明なくシナリオ示す北区に住民が不信感
東洋経済オンライン / 2023年12月12日 11時40分
先行する第一地区では、地上26階の店舗と約300戸の住宅からなる高層建築物が建つことになっている。第二地区、第三地区はメインストリートである赤羽一番街の赤羽小学校寄り、その向かい側と考えればわかりやすい。
第一地区は既存建物も比較的大きめのビルが中心だが、第二、第三地区は小規模な、赤羽らしい飲み屋が密集するエリア。今のところ、この2エリアは準備組合が設立された段階だが、このまま、計画が進行すれば赤羽の飲み屋街はタワーマンションに変わり、小学校はタワマンに囲まれることになる。
それに対して区のまちづくり推進課が出している「赤羽駅周辺地区まちづくりだより 赤羽PRESS創刊号」は「赤羽小学校の教育環境への配慮」と題した文章を掲載している。
「(前略)事業により建設される再開発ビルにより、日影やビル風などによる小学校の教育環境への影響が懸念されます。また、赤羽小学校は施設の老朽化により、校舎の建て替え時期を迎えているとともに、再開発ビル(集合住宅)からの生じる就学児童を受け容れることができる施設規模に拡充することが求められています」
タワマン3棟が建って環境が悪くなり、校舎も古く、拡充も必要だと説いた上で書いてはいないものの、暗黙のうちに導かれるのは移転である。
ちょうど近隣にはもう1つ、老朽化で建て替えを検討すべき建物がある。昭和57年(1982年)に建設された、築41年になる赤羽会館だ。道を挟んで向かいには赤羽公園があり、これらをまとめて建て替え、複合施設とすれば効率的ではないか。
そうすれば一等地である赤羽小学校の跡地を他の目的で使えることになる。跡地を売却すれば建て替えなどにかかる費用は賄えるという計算も成り立つかもしれない。
地元の協議会は移転におわす計画を否決
だが、これに対して地元からは反対の声が上がっている。2023年9月に地元の町会、商店街会、学校などが参加して開かれた「赤羽駅東口地区まちづくり全体協議会総会」では、幹事会がまとめた赤羽小学校の移転に含みを持たせたまちづくり提案を反対多数で否決。公園存続を決議し、区にその旨を要請した自治会もある。
同時期に2つの住民団体が赤羽小学校と赤羽公園は今の場所のままに整備することを求める署名2100余筆を区長に提出した。
それでも区は計画を諦めていないのだろう。2023年11月に配布された赤羽PRESS第2号では赤羽小学校周辺の再開発検討地などについて5つのシナリオを掲示。そのうち、シナリオ5は第二、第三地区と小学校を一体で計画するというものだった。小学校の敷地は現在の半分ほどとして書かれている。
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