「TV放送を食うサブスク」の頭打ちが続く納得事情 約220万台の視聴ログでわかった視聴者ニーズ
東洋経済オンライン / 2023年12月19日 18時30分
インターネット接続テレビの普及が加速している。インテージの2023年のアンケート調査によると、全国の42%の人々がテレビをインターネットに接続して使用している。
過去の記事では、インターネット経由での動画配信の普及とテレビ受像機の利用形態(「データが証明『YouTubeに食われる放送局』の実態」)や民放の広告ビジネスに与える影響(「データで判明『TV揺るがすサブスクの脅威』の本質」)を考察した。
本稿では、コロナ禍に急成長した有料動画配信サービスに浮かび上がってきた課題や、インターネットにつながるテレビの可能性を、実際の視聴データを基に考える。
テレビ放送を視聴する時間は半分未満に
まず、スマートテレビにおけるテレビ放送と動画配信の最新状況を確認しよう。マーケティング利用の許可を得て収集されたインテージのスマートテレビ視聴データ「Media Gauge(メディアゲージ)」の中で、動画配信も含めて分析可能な約220万台(2023年9月時点)の視聴ログを分析し、スマートテレビ1台あたりの1日の平均視聴時間の推移を示した。
動画配信の視聴時間はコロナ禍が落ち着いてきた2023年以降も上昇し続け、テレビの電源が入っている時間の3割にも達している。対照的に、テレビ放送の視聴時間は2020年にはコロナ禍での在宅時間増加に伴って一時的に上昇したものの、その後は減少トレンドに戻り、テレビの電源が入っている時間の半分を割った。
視聴量が伸び続け、いずれは完全にテレビ放送に置き換わるようにも見える動画配信だが、さらに詳細にデータを見ていくと「成長の壁」も見えてくる。
動画配信の成長の壁を示唆する1つ目のデータが、有料動画配信サービスの視聴時間の頭打ちだ。次の図表では、スマートテレビにおける動画配信の視聴時間を無料のサービスと有料のサービスに分けて直近4年間の推移を示した。
YouTube、TVer、ABEMAを含めた無料広告型のサービスの視聴時間が伸び続けている一方で、NetflixやAmazon Prime Video等を含めた有料配信は2022年に頭打ちとなっている。
コロナ禍での巣ごもり需要の解消に伴って、有料動画配信サービスが伸び悩んでいるのは世界的な傾向だ。「一気見」というオンデマンド視聴ならではの新たな視聴スタイルとともに成長してきた有料配信サービスだが、ドラマや映画のようなまとまった時間を要求するコンテンツに費やせる時間そのものが限界に達してきているようだ。
ほとんど普及しない、朝の動画配信視聴
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