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東京都・宮坂副知事が見た「自治体DX」理想と現実 都の外郭団体で未曾有のシステム大移動を支援

東洋経済オンライン / 2024年4月3日 7時50分

今回の標準化では、裏側のセキュリティが強くなる、災害時に便利になる、新しい行政サービスが迅速に立ち上げられるといった意味があると思うが、急に豪華な住民票が出てくるという話でない。利用者からすると、生活が極端に変わることはなく、逆に変わったことを意識されないように(問題なく)移行できるかが大事だ。

「イチかバチか」で進めてはならない

――過去に例のない大事業なだけに、システム移行に伴うトラブルへの懸念はありますか。

いちばん大事なのは「安全第一」だ。1割の自治体が「怖い」と言っているのに、イチかバチか思い切っていこう、というタイプの仕事ではない。

自治体ごとに職員の仕事も変わり、システムは変わったけど職員が対応できなければ本末転倒だ。「これなら安全に移行できる」という状態で進めないといけない。後ろに行けば行くほど、現実的で柔軟な対応が必要だ。

――「2025年度」という期限は、コロナ禍にあった3年半前、菅政権下で急に決まりました。この期限自体に無理があったのでしょうか。

長期プロジェクトは、大規模で複雑なものが多く、それを妥当に見積もること自体が難しいし、正直やってみないとわからない。この手の話はできないところに目が行きがちだが、(コロナ後に)着実に行政のデジタル化は進み、都も含めて随分変わった。もちろん課題はあるが、コロナ以降に国のトップが「ここに行くぞ」と決断しなければ実現できなかった。

一概に、最初から国が間違っていたということは絶対ないと思う。

――そもそも、システムを標準化する利点をどう考えていますか。

「標準化」は、システムが複数でもデータが互換性を持つ、ということだ。代表的な標準化はインターネットで、世界中で標準化されているから世界中でつながる。標準化すれば標準化するほど、いろんなものがつながるので、行政の効率化を進める意味でも、やったほうがいい。

一方、よく話がごっちゃになるのが、「標準化」と「共通化」の話だ。「共通化」は「1個のシステムをみんなで使おう」といった話で、これもこれでやればいい。

これまで62区市町村同士で議論することなく、隣で何をやっているかわからなかったが、今回の話をきっかけに共通化の動きも出ている。例えば、AI議事録はどの自治体でも使うが、みんなで1個のものを決めて使ったほうが安くなるかもしれないし、得意な職員が隣の町に教えにいくこともできるだろう。

それぞれの自治体が閉じて考えるのではなく、もっと情シス同士でつながって共同でできることは、いろいろとやるべきだと思う。

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