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「結婚しないと老後は孤独」という発想の落とし穴 結婚関係なく「3人に1人は60歳で独身」という現実

東洋経済オンライン / 2024年4月13日 11時40分

まとめると、結婚しようがしまいが、男女ともほぼ3人に1人は60歳の還暦を迎える時点で独身であるということであり、たとえ結婚しても男性の1割、女性の2割は還暦祝いを一人で迎えることになるかもしれないのです。

還暦独身率の長期推移を見ると…

この還暦独身率と婚歴有還暦独身率を1920年からの100年間の推移で示したのが以下のグラフです。

実は、大正時代の1920年から戦後復興期でもある1950年代までは、還暦独身率は男性で約2割、女性で4割強もありました。この時期は皆婚時代で生涯未婚者はほぼなく、離婚も少なかったので、そのほとんどが死別による独身者が多かったようです。

単純に全体の平均寿命が延びた分だけ、60歳時点での独身率が減り続けたわけですが、それは裏を返せば、戦前は老後に一人ぼっちに戻っても、寿命の関係で「一人で生きる期間」は短かったことになります。しかし、男女ともに平均寿命が80歳を超える現代においては、60歳で一人に戻ったとしたら少なくともあと20年は一人で生きていく必要があることになります(高齢再婚でもしない限りは)。

むしろそうした「老後一人ぼっち」という覚悟ができているのは、未婚者及び婚歴有でも女性のほうだけで、現在既婚の男性は「妻が看取ってくれる」と安心しきっている場合が多いのではないでしょうか。だからこそ、定年退職後に熟年離婚などを突きつけられると、一気に話し相手のない生活となり、元既婚男性のほうが途方に暮れるのです。

婚歴有の還暦独身率・都道府県ランキング

さて、そんな婚歴有の還暦独身率ですが、都道府県別の違いについても見てみましょう。男性の1位は、宮崎県、次いで沖縄、福岡と続きますが、トップ10の中に、九州沖縄勢が6県も含まれます。一方、女性の1位は沖縄県、次いで青森、宮崎と続きます。男女ともトップ10は、宮崎、沖縄、福岡、鹿児島、高知、愛媛、北海道、大阪でほぼ共通しています。反対に、男女共通して婚歴有の還暦独身率が低いのは、滋賀、福井、長野あたりとなっています。

このランキングを全国平均値との差分で独身率の高いプラスを赤系、マイナスを青系で色分けするとエリアごとに興味深い結果が浮き彫りになります。

婚歴有の還暦独身率が高いのは男女ともにほぼ近畿から先の西日本に集中し、反対に低いのは東日本に集中しているという点です。

離別と死別の独身者といっても60歳時点では男女とも死亡率は少ないので、これは離婚によって独身となった割合に大きく影響されます。実際、都道府県の2020年の特殊離婚率との相関を見れば、男性0.4976、女性0.4231と男女とも正の相関が見られます。東日本の中で北海道と青森だけ独身率が高くなっているのも、それらふたつの地域の離婚率が高いことで説明ができますし、滋賀や福井の独身率が低いのもそもそも離婚率が低いからと言えます。

独身率に男女で10%ポイントもの差がつく背景

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