定年後の再就職「成功する人・しない人」の決定差 従来の知識・やり方を手放すことも時には大切
東洋経済オンライン / 2024年4月17日 7時50分
経営者でも大学教授でも士業などのスペシャリストでもない。普通の元会社員や公務員が定年後、新たなセカンドキャリアをつかむためにはどうしたらいいのか。
【写真】「自分自身を正しく、等身大で見ることが大切」と語るパソナマスターズ・代表取締役社長の中田光佐子さん
*本記事の前編「"普通の"元会社員ほど定年後「仕事がない」切実」はこちら
年齢に対する「思い込み」がある
シニアの再就職を数多く支援してきた、パソナマスターズの代表取締役社長・中田光佐子さんは、「第一に、自分で自分にかけた無意識のバイアス(偏った見方・思い込み)を外すことが肝心だ」と語る。
特に多いのが、年齢に対するバイアスだ。
「自分はもう60代だし、新しいことを覚えるのは無理だ」「70歳を過ぎたから、なるべくおとなしくしていよう」などと、年齢によって自分に制限をかけてしまう。
健康上の問題もなく、体力も十分にあるにもかかわらず、ある年齢や年代に達した途端、急に衰えたように感じて、自ら行動を狭めてしまう人が少なくないというのだ。
「年齢で自分を縛ってしまうと、生き方や働き方の選択肢が狭まってしまいます。
人それぞれ気力や体力、能力には個人差があり、若い人以上に活躍する60代、70代の方もいます。自分にかけた不必要なバイアスを外し、自分自身を正しく、等身大で見ることが大切です」
さらに、「人間には加齢によって衰える能力と衰えにくい能力がある」と中田さん。イギリスの心理学者、レイモンド・キャッテルが提唱した「流動性知能」と「結晶性知能」のことだ。
「流動性知能」とは、直感力や計算力、暗記力、法則を発見する能力など、新しい情報を獲得し、それらをスピーディに処理・操作する能力のこと。20代半ばをピークに60代半ばまで維持され、その後は急速に低下していく。
一方、「結晶性知能」は、言語能力やコミュニケーション力、理解力、洞察力、創造力など、経験や学習によって培われる能力のこと。これらは20歳ごろから上昇を続け、60代以降の高齢になっても維持されやすい。
つまり、「後者の結晶性知能(衰えにくい能力)を活かせる仕事に就ければ、長く活躍することができる」と、中田さんは付け加える。
70代の悩み相談が評判に
74歳のAさんは、後者の能力を活かして働くシニアの一人だ。長年、大手企業で人事経験のあったAさんは、パソナマスターズの紹介により、70歳で中堅機械メーカーの人事部での職を得た。
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