1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「ガチャで借金200万円」唯一の居場所とその代償 頼りにされている、期待されていると感じた

東洋経済オンライン / 2024年4月19日 12時0分

ユウイチさんはゲームにはまっていった経緯や心情について取り繕うことなく話してくれた。理路整然とした語り口と、「普通の人」への渇望や借金、就職難という現実とのギャップ。執拗ないじめは今もユウイチさんの人生に影を落としている(筆者撮影)

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

今回紹介するのは「ゲームで借金200万円、アルバイトにもまったく受からない」と編集部にメールをくれた34歳の男性だ。

スマホゲームの課金で初めて人と関わる

「人とのかかわりって、普通は小さいころから当たり前にありますよね。それを自分は20代になってお金を払うことで初めて経験させてもらったんです」

【写真】ユウイチさんが課金で200万円近い借金を負った、スマホゲームの画面

ユウイチさん(仮名、34歳)はスマホゲームへの課金で200万円近い借金を負ったときのことをこう振り返る。2015年に配信が始まった「バトルガール ハイスクール」。女子校の生徒たちを育成しながら敵と戦うロールプレイングゲーム(RPG)で、かわいらしい絵柄の少女たちが大勢登場する。

ユウイチさんは小学校から高校まで毎日のようにいじめを受けた。働き始めてからも友達は1人もできなかったという。両親以外の人との会話は、唯一ネットの匿名掲示板にその日にあったことを書き込むことくらい。ただ返事がないことも多く、コミュニケーションとは程遠かった。

そんなある日、利用していた掲示板で「バトルガール――」が始まることを知る。早速アプリをダウンロードし、掲示板でプレイの進み具合や少女たちの様子を報告し合うようになった。

「楽しかったです。毎日だれかと話をするなんて初めての経験でしたから」

しかし、ほどなくして「埋もれてしまう」という焦燥感にさいなまれるようになる。会話を続けるには、強力な武器や珍しい衣装を獲得して話題を提供しなくてはならない。そのためには課金をし、ガチャと呼ばれるくじを引く必要がある。

お金さえかければ、すぐに反応が返ってきた。「全部そろえたんだ!」「すごいね」「いくら使ったの?」。

抵抗感があった「リボ払い」だが…

パート勤務で、毎月の給料は約10万円。実家住まいだったとはいえ、自由になるお金は多くなかった。最初はクレジットカードのショッピング枠を使って10万円を工面した。限度額を超えると、今度はキャッシングに手を出した。返済が滞りそうになると、スマホの単発バイトで日銭を稼いだ。初めて返済をリボ払いにしたときには強い抵抗感があったが、それもすぐにマヒしたという。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください