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「野球ビジネスを変えた男」が群馬で挑む球都再生 千葉ロッテ、パ・リーグ、侍ジャパンの次は…

東洋経済オンライン / 2024年4月21日 11時50分

これをきっかけに荒木氏は、桐生市に株式会社ノッティングヒルを設立。この社名は、イギリスの会社に勤務していた時代に出張するたびによく訪れていた町の名前だ。

2022年4月、荒木氏は桐生市の荒木恵司市長に「「球都桐生プロジェクト」の企画提案を行う。ちなみに荒木重雄氏と荒木市長には血縁関係はない。

荒木市長はこの提案を受諾。野球をきっかけとしたスポーツ×地域活性を目指す「球都桐生プロジェクト推進準備委員会」を立ち上げ、「ふるさと納税」のメニューにも加えた。

2023年8月26日、神宮球場以外では初となる東京六大学オールスターゲームが桐生市内の球場で開かれた。

さらに、球都桐生プロジェクトとは別に、荒木氏の母校である閉校した桐生南高校跡地を拠点としたスポーツアカデミーを行うための団体として一般社団法人桐生南スポーツアカデミー(KMSA)を設立。

大谷翔平が使用したことで有名になった機器も設置

そして2024年3月2日、その施設に「球都桐生野球ラボ」が誕生した。これは、桐生市の青少年から大人までが、科学的データに基づいたトレーニングができる施設だ。

旧体育館には、ブルペンが設けられ、弾道計測機「ラプソード3.0」が設置された。この機器は、MLB、NPBをはじめとする野球チームが、投打のデータを録るために導入している。投球の球速だけでなく、回転数、回転角度からリリース位置までのデータが瞬時に表示される。また大谷翔平がWBCで使用したことで有名になった打球のデータを計測できる「ブラスト」も設置された。

お披露目では、少年野球の投手がブルペンで投球を計測していた。「ラプソード」は、距離を調整すれば少年野球でも使える。縫い目の部分に色をつければ軟球でも回転数などを計測できる。その横では「ブラスト」で打球速度や角度を計測する子供もいた。

筆者は、今、野球の最先端のトレーニング施設の取材を続けている。またNPB球団の練習場も見ている。「ラプソード」も「ブラスト」も、そうした施設では「標準装備」ではあるが、使えるのはプロ野球選手や、施設と契約した選手だけ。当然、費用は高額だ。

しかし「球都桐生野球ラボ」では、桐生市の助成もあって、安価でこうした機器が使える。

さらに、施設には体成分分析と栄養評価ができる「Inbody」、ワイヤレス計測デバイスを活用したスプリント/反応測定器「WITTY」、センサー内蔵のマットを使用した跳躍力測定器「ジャンプマット」などが設置されている。

子供たちもデータを確かめながらトレーニングできる

また機器の見方やトレーニング法をアドバイスする大学の専門家とも連携している。

「今のトレーニング施設(ラボ)の多くは、ハイレベルのアスリートのみを対象にしていますが、この施設では野球を含むオールスポーツを楽しむ老若男女が対象です。

この施設で、野球少年たちはフィジカル測定とパフォーマンス測定を繰り返すことで、データで確かめながら、能力アップすることができます」

荒木氏は施設の目的をこう語った。

早くも、これらの機器を利用するために、指導者に引率され、チーム単位で子供たちが施設を訪れていた。

幼いころユニフォームをもらった「球都桐生」の父ともいえる稲川東一郎氏の志は、こういう形で受け継がれたのだ。

「野球離れ」が止まらない中、球都桐生から新しい「野球の歴史」が始まろうとしている。

広尾 晃:ライター

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