テレビのスピリチュアル番組 「民放連の放送基準違反」
J-CASTニュース / 2007年12月1日 12時36分
フジテレビの霊能番組問題を取り上げた週刊文春2007年11月8日号
テレビや女性誌では今、霊視や占いのタレントがひっぱりだこのスピリチュアルブームだ。が、特に公共性が問われるテレビで、これらタレントによる過剰な演出が見られ、放送界から民放連の放送基準に抵触するとの声が出ている。さらに、番組ビデオなどが霊感商法などのPRにも使われているというから事態は深刻だ。
「問題のある番組を作ったという意識がないのでは」
「『善意のボランティア』をペテンにかけた江原啓之とフジテレビ」。週刊文春2007年11月8日号は、こんな大見出しでテレビのスピリチュアル番組を指弾した。文春が問題にしたのは、フジテレビ系で7月28、29日に放送された「FNS27時間テレビ」。この番組では、孫悟空に扮した香取慎吾さんが、震災被害者にリンゴを贈る活動をしていた秋田県の美容院の経営者女性(50)にサプライズを仕掛けて喜ばせる場面が放送された。
ところが、サプライズは、「傷つけられた」と女性を怒らせるものだった。スピリチュアル・カウンセラーの江原啓之さんが、ボランティアに熱を入れて美容院の経営をおろそかにしていると女性を諭す内容だったからだ。それも、亡き父親からのメッセージという弱みを利用したような諭し方だった。女性から抗議を受けたフジテレビでは、10月8日に「27時間テレビその後SP」でフォローする内容を放送した。
一方、この問題は、放送界の自主的機関「放送倫理・番組向上機構(BPO)」でも、審議テーマに取り上げられた。10月12日に開かれた放送倫理検証委員会では、委員から番組への厳しい意見が次々に出されたが、それはフォロー番組にさえ向けられた。
「訂正でも何でもない」「問題のある番組を作ったという意識がないのでは」
さらに、はやりのスピリチュアル番組に対する警告とも言える発言まで飛び出したのだ。
「民放連の放送基準には、迷信、占いの類の表現に関する条文や、個人的な問題を扱う場合は、出演者および関係者のプライバシーを侵してはならないとか、不快な感じを与えてはならないなどいくつか条文がある。これに触れるという言い方はできるのではないか」
J-CASTニュースがフジテレビにこの指摘をどう考えるか質問すると、広報部の担当者は、「BPOからは今月中旬に当該番組について正式に質問書をいただき、弊社としての見解、回答は既に提出しておりますので、現段階でのコメントは差し控えます」と回答してきた。
霊感商法に悪用されるケースも
オウム真理教の事件以降、テレビ各局では、霊能番組などを自粛していた。それが、こうした番組は視聴率が取れると最近になって次々と復活させたようだ。そして、スピリチュアル番組の悪影響は、社会に広がっている。全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士によると、霊感商法の勧誘にも番組ビデオなどが巧みに利用されているというのだ。
「口当たりのいい言葉で被害者に近づき、ビデオを見せたりして、まず霊的な関心を持たせます。そして、次第に心を支配し、金品を奪って骨までしゃぶるようになるのです。それも、被害が顕在化するのは、何年もたってからのことが多い」(紀藤弁護士)
紀藤弁護士によると、スピリチュアルブームになった2006年から、こうした勧誘が増えているという。国民生活センターによると、霊感に訴える「開運商法」は、06年度には全国での相談件数が4年前の倍近い約3000件に達しており、被害金額も約27億円に膨れ上がっている。
前出の連絡会は07年2月21日、タレントらが「霊界やオーラが見える」と断言するなどして、霊感商法の勧誘を容易にする素地を作っているなどとして、民放連や各放送局に対し、行き過ぎの是正を求める要望書を提出した。さらに、12月4日午後1~5時には、この問題における初の電話相談窓口「スピリチュアル・霊感被害110番」(03-3501-7071)を実施することにしている。
霊感商法を手掛けているのは、紀藤弁護士によると、9割以上が世界基督教統一神霊協会(統一教会)だという。
そこで、J-CASTニュースが、統一教会の広報に聞くと、
「一部週刊誌で昨年、タレントビデオで勧誘していると報道されましたが、そういうことは一切ありません。霊感商法で金品を奪っているということも、事実に反しています」
との答えが返ってきた。
この記事に関連するニュース
-
紀藤正樹氏「人としての節度がない」水俣病患者が苦悩訴えるマイクの音絞った環境省職員に怒り
東スポWEB / 2024年5月3日 14時12分
-
旧統一教会との接点も争点に…市長選で大敗の現職 “市が不名誉な形で有名に”との質問に「レッテル貼り過ぎ」
東海テレビ / 2024年4月24日 17時10分
-
紀藤正樹氏 SNSの詐欺広告を放置して利益を得るメタを痛烈に批判「強制捜査できるレベル」
東スポWEB / 2024年4月19日 11時2分
-
強引、巧妙勧誘を疑似体験 消費者庁、VRで悪質商法回避
共同通信 / 2024年4月17日 5時31分
-
24億送金容疑の水原一平容疑者は「一生刑務所」の可能性も 紀藤正樹弁護士が指摘「捜査協力と司法取引などしない限りは」
よろず~ニュース / 2024年4月12日 13時22分
ランキング
-
1「パパを切りつけたことは、間違いない」60代の父親、頭の骨を折る重傷か…23歳の無職の息子その場で逮捕、凶器とみられる包丁は自宅の外で確保 北海道斜里町
北海道放送 / 2024年5月6日 10時56分
-
2テントの中で男性が死亡 数日間同じ場所にテントと車があると通報 滋賀の国道脇
京都新聞 / 2024年5月6日 10時5分
-
3伊東市の雑木林で60代の女性を殺害した容疑 75歳の男の身柄を送検(静岡)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年5月6日 12時13分
-
4北海道の阿寒湖の2人目の遺体、帯広市の38歳の会社員と判明…先に発見の札幌市の39歳とモーターボートで釣り、2人とも救命胴衣の着用なし
北海道放送 / 2024年5月6日 11時26分
-
5横浜のマンションで、群馬の高2女子生徒を3カ月近く誘拐か 男2人逮捕
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年5月6日 5時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください