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小中学校の生成AI利用、親の37%賛成...迷いも4割 不安は「子どもがトラブルに巻き込まれないか」専門家のアドバイスは

J-CASTニュース / 2024年4月17日 18時17分

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生成AIで遊ぶ子ども

小中学校などの教育現場で導入が検討されている生成AI(人工知能)。子どもが利活用することについて親はどう思っているのだろうか。

NTTドコモの研究機関、モバイル社会研究所(東京都千代田区)が2024年4月11日に発表した調査「小中学生の親が回答 生成AIを学校授業で活用することに賛成37%」によると、「賛成」が「反対」を上回ったが、「わからない」と迷う親が4割以上いる。

しかも、ICTスキルが高いはずの若い親ほど「わからない」と答えた人が多かった。いったいなぜ? 専門家に聞いた。

若い親ほど「生成AI」利用に迷っている

ChatGPTやBing Chatなど生成AIの教育現場の導入に関しては2023年7月、政府が小中学校での活用に関する「暫定的なガイドライン」を発表、リスクに対応できる一部の小中学校で試験的に取り組みが始まっている。

また、また、生成AIの活用にあたっては、多くのサービスが年齢制限や保護者の同意を必要としている。

モバイル社会研究所の調査(2023年11月)は、関東一都6県の小中学生とその親600人が対象だ。

まず、小中学生の親に学校の授業で生成AIを活用することの賛否を聞くと、「賛成」が37%、「反対」が21%、「分からない」が42%に達した【図表1】。

興味深いのは、親の年齢が低くなる(若い)ほど「わからない」人の割合が高くなることだ。34歳未満では76%に達する一方、50歳以上では34%だけだ。

また、「賛成」と「反対」の割合を比較すると、年齢が低い親のほうが、「賛成」の割合が多くなる。34歳未満では「賛成」が「反対」の3倍以上だ【図表2】。

この背景の詳しい分析は、教育メディア研究学会の「学校の授業で生成AIを利用することへの親の賛否及び特性」で報告しているが、親の年収・学歴・年齢などの「属性」や「親のICTスキル」「親が考える子がICT機器を使うことへの期待と不安」との関連が多くみられた。

最後に学校の授業を問わず、小中学生とその親に生成AIを」利用したことがあるかを聞くと、まだ利用率は低かった。小学生低学年が1.6%、小学生高学年が2.5%、中学生が8.2%、そして親が3.9%という結果だった【図表3】。

小中学生が生成AIの活用する場合、保護者の同意を必要するサービスが多いなかで、中学生では親の利用率を上回っていることが目立つ。

「わが子が遅れをとらないために必要?」

今回の結果をどう受け止めたらよいのか。J‐CASTニュースBiz編集部は、調査をまとめたモバイル社会研究所の水野一成さん(子ども・シニア・防災調査担当)に話を聞いた。

――「賛成」が37%、「反対」が21%、「わからない」が46%と、賛成が反対を上回る結果が出ましたが、どうみていますか。

水野一成さん ここでは「わからない」が約半数という点に注目しています。生成AIが何か、また授業でどのように使われるかが、なかなか想像できない親も多く、その結果が表れたのではないでしょうか。

また、「賛成」と答えた親の中にも、もろ手を挙げて賛成というより、いろいろと不安なこともあるが、今後の生成AIの影響力が大きくなっていくと思われるトレンドの中で、「わが子が遅れをとらないために必要」と思い賛成した人も含まれていると思います。

――親の年齢が低い(若い)ほど「わからない」人の割合が多いことが不思議です。スマホの例でもそうですが、若い世代ほどICTスキルが高く、「賛成」か「反対」かがはっきりするのではないでしょうか?

水野一成さん 親の年齢が若いことは、相対的に子どもの学年が低いことが関連している可能性があります。子どもが低学年の場合、自分の子どもが授業で生成AIを利用することが想像しにくい結果かと思われます。

――なるほど。しかし、「賛成」か「反対」かに関しては、年齢が若いほど「賛成」の割合が高いとあります。これはどういう理由が考えられますか。やはり、若い親はICTスキルが高いから、いずれ、子どもの教育には生成AIが必要になると考えているということでしょうか。

水野一成さん 若い親のほうが、ご自身でもスマホ利用に対する抵抗感が少なく、新しいものに対する抵抗感も低いということが要因のひとつであると考えます。

学校・家庭で親子一緒に正しい使い方を考えよう

――リポートには、「親の属性」と「親が考える子のICT機器を使うことへの期待と不安」との関連が多く見られたとありますが、親は生成AIに関してはどんな不安を感じているのでしょうか。

水野一成さん 調査では生成AIの利用に関する不安を直接は聞いていません。ただ、生成AIの賛否に影響を与えた不安は「友人との間でトラブル」「個人情報の漏洩」「不適切なサイトの閲覧」との関連が見られました。これは、子どもがインターネットを使うことに対する、親の共通した不安のトップ3です。

そこから推察するに、生成AIへの直接的な不安もありますが、インターネットを使うことによって「何かトラブルに巻き込まれるのではないか」という不安を抱いている親が「反対」を表明していると考えられます。

――ところで、生成AIの利用率では中学生が8.2%と、親より2倍以上高い結果がでています。年齢制限や親の同意が必要なのに、問題はないのでしょうか。

水野一成さん どのような利用をしているかまで聞いていませんが、親がわが子に学びのため、積極的に使わせている可能性もあります。ですが、子ども自身が口コミなどで使うようになり、親の同意をとっていない可能性もあります。

また、親自身も自分が利用したことがないものに対して同意の判断をしなくてはいけない困難さがうかがえます。

――今回の調査を通じて、学校教育で生成AIを導入するにあたり、どんな課題があると考えますか。

水野一成さん 調査からは、特に子どものICT利活用、ICTリテラシーと親の生成AI導入の賛否との関連は見られませんでした。わが子の情報活用能力に合わせた判断というよりは、親自身のICT利活用の割合などが賛否に影響を与えていました。

課題となるのは、親も子どもも生成AIの仕組み・問題を理解しないまま利用を開始し、ファクトチェックをせず、その結果が正しい、と鵜?みにし続けてしまうことがあると考えます。

今後、学校・家庭で一緒に正しい使い方を考える状況が生まれていくことが望ましいのではないでしょうか。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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