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「神風連の変」伝える資料館、来館者減で半世紀の歴史に幕…史料の一部は熊本市に寄贈

読売新聞 / 2024年9月3日 10時45分

神風連の変について説明する松井さん

 1876年(明治9年)に熊本で士族が起こした「神風連の変(乱)」を伝える熊本市中央区黒髪の「神風連資料館」が2日閉館し、約半世紀の歴史に幕を下ろした。来館者数が減って資金難となり、運営継続は困難と判断した。所蔵する史料の一部は今後、熊本博物館に寄贈される。(石原圭介)

 資料館は1978年、作家の荒木精之氏(1907~81年)が中心となり、桜山神社の敷地内に開館した。荒木氏が収集したり、士族の子孫らが寄贈したりした史料約500点を所蔵し、荒木氏が書いた「神風連の変」の解説や士族が着用していた腹巻き、士族らの辞世の句などを展示していた。

 一般財団法人「神風連資料館」が会費や入館料などで運営してきたが会員の高齢化が進み、寄付金から年間約100万~150万円を取り崩す状態が続いていた。来館者数も減って年間500~600人にとどまっており、6月に閉館を決めたという。時期は未定だが、史料のうち256点は熊本博物館への寄贈が決まっているという。

 閉館が公になると、8月の来館者数は年間の倍となる約1000人となった。最終日の2日は駐車場が常時埋まり、訪れた人たちが展示物に見入り、写真に収めていた。管理人の松井浩さん(72)によると、「いい展示だから残してほしい」という声も多く寄せられた。

 来館した同市中央区の男性(61)は「社会が変化する時代の中、(士族には)変わらない信念があったのだと思う。熊本の歴史として残しておきたいので残念だ」と話した。

 財団法人理事長を務める湯田栄弘・加藤神社名誉宮司は「本当は閉館したくないが、文化財としての価値を落とさず、後世に伝えていかなければならない。公的施設で保管されれば、いずれ県民、市民に見てもらう機会もあるはず」と語った。

◆神風連の変(乱)=1876年10月24日に起きた士族の反乱。急速な欧米化を進める明治新政府に反発し、太田黒伴雄を首領とする神風連(敬神党)の志士ら約170人が熊本鎮台を襲撃した。種田政明司令長官や安岡良亮県令を殺害したが一晩で政府軍に鎮圧され、自死を含めて約120人が死亡した。

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