ロス山火事、高級住宅街での鎮火進捗率８％…知事はトランプ氏に視察求める手紙

１０日、米ロサンゼルス近郊のパシフィック・パリセーズで、立ち並んでいた住宅の焼け跡＝ＡＰ

　【ロサンゼルス＝金子靖志】米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で発生した山火事は１０日も続き、州当局などによると死者は１１人となった。川崎市の面積とほぼ同等の１５０平方キロ・メートル超が焼失し、１万棟以上の建物が被害を受けた。バイデン大統領は１０日、ホワイトハウスで「まだ多くの安否不明者がいる」と記者団に述べ、死者数が今後増える可能性があるとの見方を示した。

　地元当局などによると、１１日未明現在、６か所で火災が続き、さらに約５万８０００棟に延焼する危険性があるという。避難指示や警告の対象となっている住民は３０万人超に上っている。

　ロサンゼルスの西側でハリウッド俳優も住む高級住宅街パシフィック・パリセーズと北側のアルタデナで延焼が進み、２か所だけで焼失面積は全体の９割以上を占める。鎮火の進捗（しんちょく）率はパシフィック・パリセーズが８％、アルタデナは３％にとどまり、今後も延焼が続く可能性が高い。ただ、１０日は風が少し弱まったことで多くの現場で火の勢いを抑えつつあるという。

　一方、混乱に乗じて避難指示地域となっている高級住宅地などで空き巣被害が起きている。これを受け、地元当局は一部地域で午後６時～翌朝６時の外出禁止命令を出した。既に山火事に関連した窃盗などの容疑で２０人以上が逮捕されたという。バイデン氏は、被災地での略奪行為を「懸念している」と述べ、警官や兵士の数を増やして治安維持にあたる方針を明らかにした。

　カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事（民主党）は１０日、共和党のトランプ次期大統領に被災地の視察を求める手紙を送ったとＸ（旧ツイッター）で明らかにした。